26 / 169
(6)やぶをつついてヘビを出す?
ルティ
しおりを挟む
実際には、日和美はただ不破の整い過ぎた寝顔を間近から舐めるように視姦――じゃなくて、凝視して生存確認をしようとしただけ。
何も後ろめたいことなどしていない!……はず、なのだ……ごにょごにょ。
不破が吐息を漏らしたことでビクッと肩を跳ねさせた日和美だったけれど、期せずして彼の生存確認は果たせたことになる。
(不破さん、重たい布団につぶされてなくて良かった)
ホッとしたのと同時、いきなりすぐそばから伸びてきた不破の手が、日和美の後頭部を捕まえてそのままグイッと頭を引き寄せられたから堪らない。
びっくり仰天して「ひきゃっ」と、ヒキガエルがつぶれたみたいな変な声が漏れてしまう。
「もぉ、今日も一緒に寝たいの? キミには別に寝床、ちゃんと準備してあるのに……。ルティは本当困った子だね」
よしよし、とそのまま後頭部を撫で撫でされて、頭を不破の胸元へ乗っけられて。
「ひゃわっ」
あっという間にもう一方の手でしっかり身体もホールドされて、不破の腕の中に閉じ込められてしまった。
(かっ、神様っ。これはっ。これは一体どういう状況なのですかーっ!?)
不破は、現実離れした芸能人みたいな綺麗な顔立ちをしているから華奢なのかと思いきや、全然そんなことはないのだと思い知らされている真っ最中の日和美だ。
要するに――。
(ぬっ、抜け出せないっ!)
そんなに力を込めて抱き締められているようには思えないのに、一生懸命力を込めて逃げようとしても全然ダメで。
そればかりか、彼の胸板が思いのほか厚いことや、二の腕が殊のほか筋肉質なことを思い知らされてドギマギさせられてしまう。
(ふ、不破さん、男の人だっ!)
そんなの最初から分かり切っていたはずなのに、自覚したらやけに恥ずかしくなってしまう。
(ごっ、ごめんなさいっ。もう夜這いなんてしませんからぁ~)
当初の目的は不破の生存確認だったはずなのに、心の中。
何故か日和美は自分の罪状を不埒なものだと認めてしまっていた。
息を吸い込むたびに、不破の甘い香りが肺を満たしてどんどん日和美を恥ずかしい気持ちにしていってしまう。
(なっ、何でこんな甘やかないい匂いさせてるんですかっ。ボディソープもシャンプーもコンディショナーも、みんな私と同じはずですよね!?)
パニックの余り、不破が口走った「ルティ」についての言及をすっかり忘れてしまっている日和美だ。
自分は今、そのルティとやらの代わりに添い寝を余儀なくされていると言うのに――。
きっとこの場に祖母がいたならば「そこ! そこを一番に追及せんと!」と鼻息を荒くされていたことだろう。
何も後ろめたいことなどしていない!……はず、なのだ……ごにょごにょ。
不破が吐息を漏らしたことでビクッと肩を跳ねさせた日和美だったけれど、期せずして彼の生存確認は果たせたことになる。
(不破さん、重たい布団につぶされてなくて良かった)
ホッとしたのと同時、いきなりすぐそばから伸びてきた不破の手が、日和美の後頭部を捕まえてそのままグイッと頭を引き寄せられたから堪らない。
びっくり仰天して「ひきゃっ」と、ヒキガエルがつぶれたみたいな変な声が漏れてしまう。
「もぉ、今日も一緒に寝たいの? キミには別に寝床、ちゃんと準備してあるのに……。ルティは本当困った子だね」
よしよし、とそのまま後頭部を撫で撫でされて、頭を不破の胸元へ乗っけられて。
「ひゃわっ」
あっという間にもう一方の手でしっかり身体もホールドされて、不破の腕の中に閉じ込められてしまった。
(かっ、神様っ。これはっ。これは一体どういう状況なのですかーっ!?)
不破は、現実離れした芸能人みたいな綺麗な顔立ちをしているから華奢なのかと思いきや、全然そんなことはないのだと思い知らされている真っ最中の日和美だ。
要するに――。
(ぬっ、抜け出せないっ!)
そんなに力を込めて抱き締められているようには思えないのに、一生懸命力を込めて逃げようとしても全然ダメで。
そればかりか、彼の胸板が思いのほか厚いことや、二の腕が殊のほか筋肉質なことを思い知らされてドギマギさせられてしまう。
(ふ、不破さん、男の人だっ!)
そんなの最初から分かり切っていたはずなのに、自覚したらやけに恥ずかしくなってしまう。
(ごっ、ごめんなさいっ。もう夜這いなんてしませんからぁ~)
当初の目的は不破の生存確認だったはずなのに、心の中。
何故か日和美は自分の罪状を不埒なものだと認めてしまっていた。
息を吸い込むたびに、不破の甘い香りが肺を満たしてどんどん日和美を恥ずかしい気持ちにしていってしまう。
(なっ、何でこんな甘やかないい匂いさせてるんですかっ。ボディソープもシャンプーもコンディショナーも、みんな私と同じはずですよね!?)
パニックの余り、不破が口走った「ルティ」についての言及をすっかり忘れてしまっている日和美だ。
自分は今、そのルティとやらの代わりに添い寝を余儀なくされていると言うのに――。
きっとこの場に祖母がいたならば「そこ! そこを一番に追及せんと!」と鼻息を荒くされていたことだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
37
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる