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(11)攻防戦的なアレコレ
盛大な勘違い
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「な、んでっ、そんなこと言うんですかっ」
寝室の扉を背に、パジャマ姿の日和美はスウェット上下の信武と押し問答の真っ最中。
――と言うのも。
「日和美、今夜なんだけどな」
「ご自宅に戻られるんですよね?」
「はぁ!? んなわけねぇだろ!」
記憶も戻ったようだし、夕飯を食べ終えたらてっきり自宅へ戻ってくれると思っていた信武なのに、至極当然のようにそのままここへ留まると言い出して。
この男は、一体全体何を言い出すんでしょうね?と思った日和美だ。
そう言えば夕方にも『一緒に住むことに関しちゃ、日和美も異存はねぇみてぇじゃん?』とか意味不明なことを言っていたのをふと思い出して。
日和美は(え? あれって冗談じゃなかったの?)と背筋を凍らせた。
大体おかしいと思ったのだ。
夕飯後、信武は当然のように風呂へ入ると言い出したのだから。
今から自分のマンションに戻って風呂の湯を溜めたりするのが面倒なのかな?と思い直した日和美は、そのまま外を出歩いても大丈夫そうなスウェットの上下とタオルを用意して。
「なぁ、せっかくだし一緒に入んね?」などと寝言を吐かす信武を「生憎と、せっかくの要素を見つけられません」と溜め息まじりにあしらって風呂場へと押し込んだのだけれど。
風呂から上がるなり日和美の混乱に追い打ちをかけるように一緒の部屋で寝るとか言い出したからたまらない。
「風呂は我慢してやったんだから寝るのはお前が譲歩しろ」
などと訳の分からない持論を振りかざす信武に、冒頭のセリフ。
「な、んでっ、そんなこと言うんですかっ」
を発動した日和美だ。
本当、何故そんな馬鹿なことを言い出したのでしょうね!?と眉根を寄せて、禁断の秘密の花園へと続く扉の前。
信武を寝室へ入れないよう一生懸命通せんぼをしながら、日和美は困惑しながら眉根を寄せる。
「何でって……お前、俺の彼女になっただろーがっ」
言われても、それとこれとは話が別だと思ってしまうのは、日和美の恋愛偏差値が低すぎるからだろうか?
そもそもあれは不破に対して告げた言葉で、信武へのものじゃないと断言できる。
「大体今までだってずっと記憶のねぇ俺と一緒に寝起きしてたんだろ? 何を今更そんなに必死になって拒否る必要があんだよ。そんなに〝俺〟は嫌で〝不破〟なら良いのかよ」
言われて、日和美は信武が盛大な勘違いをしていることに気が付いた。
「ふ、不破さんとも一緒の部屋で寝たりしてません!」
寝室の扉を背に、パジャマ姿の日和美はスウェット上下の信武と押し問答の真っ最中。
――と言うのも。
「日和美、今夜なんだけどな」
「ご自宅に戻られるんですよね?」
「はぁ!? んなわけねぇだろ!」
記憶も戻ったようだし、夕飯を食べ終えたらてっきり自宅へ戻ってくれると思っていた信武なのに、至極当然のようにそのままここへ留まると言い出して。
この男は、一体全体何を言い出すんでしょうね?と思った日和美だ。
そう言えば夕方にも『一緒に住むことに関しちゃ、日和美も異存はねぇみてぇじゃん?』とか意味不明なことを言っていたのをふと思い出して。
日和美は(え? あれって冗談じゃなかったの?)と背筋を凍らせた。
大体おかしいと思ったのだ。
夕飯後、信武は当然のように風呂へ入ると言い出したのだから。
今から自分のマンションに戻って風呂の湯を溜めたりするのが面倒なのかな?と思い直した日和美は、そのまま外を出歩いても大丈夫そうなスウェットの上下とタオルを用意して。
「なぁ、せっかくだし一緒に入んね?」などと寝言を吐かす信武を「生憎と、せっかくの要素を見つけられません」と溜め息まじりにあしらって風呂場へと押し込んだのだけれど。
風呂から上がるなり日和美の混乱に追い打ちをかけるように一緒の部屋で寝るとか言い出したからたまらない。
「風呂は我慢してやったんだから寝るのはお前が譲歩しろ」
などと訳の分からない持論を振りかざす信武に、冒頭のセリフ。
「な、んでっ、そんなこと言うんですかっ」
を発動した日和美だ。
本当、何故そんな馬鹿なことを言い出したのでしょうね!?と眉根を寄せて、禁断の秘密の花園へと続く扉の前。
信武を寝室へ入れないよう一生懸命通せんぼをしながら、日和美は困惑しながら眉根を寄せる。
「何でって……お前、俺の彼女になっただろーがっ」
言われても、それとこれとは話が別だと思ってしまうのは、日和美の恋愛偏差値が低すぎるからだろうか?
そもそもあれは不破に対して告げた言葉で、信武へのものじゃないと断言できる。
「大体今までだってずっと記憶のねぇ俺と一緒に寝起きしてたんだろ? 何を今更そんなに必死になって拒否る必要があんだよ。そんなに〝俺〟は嫌で〝不破〟なら良いのかよ」
言われて、日和美は信武が盛大な勘違いをしていることに気が付いた。
「ふ、不破さんとも一緒の部屋で寝たりしてません!」
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