【完結】【R18】溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜

鷹槻れん

文字の大きさ
130 / 169
(20)事後のあれこれ

修行僧信武

しおりを挟む
 信武しのぶは顔を伏せてこちらを見ようとしてくれない日和美ひなみをそっと抱き上げて風呂場へ向かいながら、「あれはそういうもんじゃねぇんだよ」と説明した。

 初心者の日和美が失禁と勘違いしてしまったのは仕方がないことなのかも知れないが、女性が感じた時なんかに起こる現象で、珍しいことではないのだと説明したら「それって……『誘いかける蜜口みつくち』に書いてあったやつですか?」と腕の中から見上げられた。

 先程の情事の余韻が、身体の方はもちろん精神の方にも作用しているんだろう。

 日和美がしっかり覚醒してしまったなら、こんな風に何の覆いもなく信武の腕に抱き上げられている現状を容認しなかったはずだから。

 何せ日和美だけじゃなく、彼女を抱き上げている信武自身も素っ裸なのだ。
 
 スライドドア全面が鏡面になっているウォークインクローゼット前を通過しながら、信武は日和美の視線がそちらへ向かわなくて良かったと内心ホッとする。

 日和美だって自分の裸は見慣れているだろうけれど、臀部でんぶや局所、下肢のあちこちに破瓜はかの痕跡を残した姿は、恐らく刺激が強過ぎるはずだ。

 信武はなるべく日和美が覚醒しきる前に、風呂場でそういうものを綺麗に洗い流してやりたいと思った。

 ついでにその後は自分だけサッと身体を清めてから、日和美にはゆっくり湯船に浸かるよう言い渡して、寝室のシーツなども気づかれずに綺麗なものへ整え直しておきたいとも考えていたりする。

 日和美の初体験が、彼女のなかで負の記憶と結び付いてしまいそうなことは事前に取っ払っておいてやりたい。

 お漏らし疑惑なんてその最たるものではないか。

「ああ。あん中で清佳さやかたくみの手技で潮を吹いたってあったろ……。あれと一緒。お前が吹いたのはアポクリン腺液ってやつだ。――尿とは違う」

 まさか自作に助けられるとは思っていなかった信武しのぶは、そんな説明をしながら日和美ひなみを浴室の床へそっと降ろしてやる。

「ひゃっ」
 思いのほか床が冷たかったのだろう。
 途端キュッと身体をすくませた日和美が、温もりを求めるみたいに信武にしがみ付いてきた。

(可愛すぎかっ)

 なんて思いが溢れすぎると息子が再度みなぎってしまいそうでヤバイので、信武はそんな日和美をそっと抱き寄せてやりながら、湯張りスイッチを押す。
 ついでにシャワーヘッドを壁の方へ向けてからシャワーコックをひねった。

 足元を湯になる前の冷たい水が流れるからだろう。日和美のしがみ付きが一層強くなって。

 柔らかな日和美の身体がキューッと肌に吸い付いてくるのを感じた信武は、内心(勘弁してくれ)と思ってしまった。

(また抱きたくなっちまうだろーがっ)

 初心者相手、立て続けにそんなことをするのは鬼畜の所業だと思う。

 だから理性を総動員して我慢しているというのに。

 日和美の無自覚爆弾ぶりに、タジタジの信武だ。


 湯気が立ち込め始めた浴室内で、日和美の下半身中心にシャワーを当てて優しく撫でさするように汚れを落としてやりながら、信武は心の中で仏説ぶっせつ阿弥陀経あみだきょうを唱え続けている。

 とはいえ経文きょうもんの全てを知っているわけではないので、ラストの辺りに出る「南無阿弥陀仏なまんだぶ」の繰り返しに過ぎなかったのだが。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫のつとめ

藤谷 郁
恋愛
北城希美は将来、父親の会社を継ぐ予定。スタイル抜群、超美人の女王様風と思いきや、かなりの大食い。好きな男のタイプは筋肉盛りのガチマッチョ。がっつり肉食系の彼女だが、理想とする『夫』は、年下で、地味で、ごくごく普通の男性。 29歳の春、その条件を満たす年下男にプロポーズすることにした。営業二課の幻影と呼ばれる、南村壮二26歳。 「あなた、私と結婚しなさい!」 しかし彼の返事は…… 口説くつもりが振り回されて? 希美の結婚計画は、思わぬ方向へと進むのだった。 ※エブリスタさまにも投稿

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~

美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。 貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。 そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。 紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。 そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!? 突然始まった秘密のルームシェア。 日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。 初回公開・完結*2017.12.21(他サイト) アルファポリスでの公開日*2020.02.16 *表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

処理中です...