【本文非公開】そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜

鷹槻れん

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■特典②『花々里の瓶詰め』

瓶詰め2

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「こちらが、女の子入りの小瓶です。昨日詰めたばかりの新鮮な女の子ですよ。プリザーブドフラワーが一緒に入っているので、このままインテリアとしてお部屋に飾っていただくのもおすすめです」


 え? なに? どういう……意味?

 久遠くおんさんの言葉の意味が分からなくて、私は思わず座り込んだまま顔を上げた。


 と、横合いからヌッと伸びてきた無骨な手に、小瓶ごと持ち上げられて。

 その手の主に、はぁっと大きく溜め息を落とされた瞬間、ガラスが曇って何も見えなくなった。


 ヤダッ、怖いっ!


 さっきの久遠さんの口ぶりからすると、私、この手の持ち主に持ち帰られてしまうかもしれないわけで。


 そんなの嫌だ!
 私、御神本みきもと家に……頼綱よりつなのところに帰りたいし、帰らなきゃいけないのっ!


 どうにか瓶から抜け出せやしないかと上を見上げたら、ジャンプしたくらいじゃ届きそうにない高い位置に、しっかりとフタがされているのが分かった。

 唯一の出口のはずの上部から出るのが無理だと思ったら、絶望的な気持ちになる。


 このまま外の人たちの成すがままにされてしまうのだと気付かされた途端、怖くて怖くて全身がフルフルと小刻みに震えだして。
 ……なのに恐怖ですくんだ身体は曇ったままのガラスから目を逸らせないの。


 私から外が見えないということは、外からもなかが見えないということで。

 もどかしげにガラスを覆った蒸気が指先でこすられて、視界が突然クリアになった。


 相手がどんな人か見るのが怖くて思わずぎゅっと目をつぶったと同時。


花々里かがり、探したぞ! 無事か!?」


 縮こまって小さく身体を震わせていた私は、その声に思わず瞳を見開く。


「頼……綱……?」


 探して……くれて、た?


 頼綱の言葉にホッとしたのと同時に、自分がとんでもなく役立たずのちっぽけな親指姫サイズになっていることに思いが至って、堪らなく不安になる。


「わ、私……」

 泣きそうになりながら小さいなりに何か出来ることはないかと考えて……。


「た、タンスの隙間とか棚の隙間とか……入れるっ!」

 ってガラスを叩きながら懸命に言ったら、キョトンとされてしまった。

 そういうところに何か落っことしてしまった時、きっと役に立てるから。

 だから出て行けって言わないで?

 そう言いたかったのに、気持ちばかりが焦って意味不明なことを口走ってしまった。


 それに、どうやらちゃんと話せたところで、小瓶の中に入れられた上に物凄く小さくなってしまった私の声は、頼綱よりつなには届かないみたい。
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