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■特典②『花々里の瓶詰め』

瓶詰め3

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「貴方がお探しの女の子もこのお嬢さん――花々里かがりさんでお間違いないですね?」


 久遠くおんさんが、私を手にした頼綱にそう問いかけて、頼綱が「ああ」とうなずく。


「花々里さん、目覚めてからずっと、小瓶の中で貴方のことを恋しがっていらしたみたいです。相思相愛ですね」

 サラリと恥ずかしいことを久遠さんにバラされて、私は慌てて首を横に振る。

 違います、違います、誤解ですっ!


 けれど、久遠さんは何もかもお見通しみたいに、「うちのお店は商品に呼ばれた人、品物が選んだ人にしか道が開かれないようになっていますので」
 とダメ押しをして。

 それって頼綱がどんなに私を探してくれていたとしても、私が頼綱に見つけて欲しいって願わない限り会えなかったってことだよね。


 もぉ、ヤダ。
 めちゃくちゃ恥ずかしい……。


 私は、真っ赤になって顔を覆った。



 ちょうどその時、視界の片隅――。
 目覚めた直後は見つけられなかった緑のエコバックを見つけた私は、これだ!と思ってそれに手を伸ばす。

「や、八千代さんからお使いのお品、持って帰らなきゃって思っただけだからっ!」

 その絡みで頼綱あなたのこと、思い出しただけよ?

 そう言い張って買い物袋を指さしながら、「こぉー・れぇー・のぉー・たぁー・めっ!」と叫んで頼綱よりつなに向けて袋を振り回してみせる。


 中には鳥もも肉とチーズが入っているけれど、腐ったりしていないかな。

 ちょっぴり不安だし、何よりこのサイズじゃあ、持ち帰った所で何にもなりはしないのだと分かってはいるけれど。



花々里かがり、元気そうで安心した。俺が必ず元に戻してあげるからね」

 言われて、今度は私がキョトンとする。

「元に、戻れる……の?」

 聞こえないのは承知でつぶやいたのに、まるでちゃんと聞き取ってくれたみたいに「戻せますよね、久遠くおんさん」ってここの店主に問いかける頼綱を見て、ソワソワする。

 戻れないって言われてしまったら、頼綱は今度こそ私を見限ってしまうのかな。

 不安になる私に、
「もちろん、お客様のご希望とあらば方法はございます。――ですが、少々危険を伴います」

 と返してくださった久遠さんの声は、内容の不穏さはさておき、その時の私にはまるで天啓てんけいみたいに聞こえたの。


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