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12.家はどうするの?
偉央の火傷
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「偉央さんと結婚してからは私……想ちゃんとは一度も会っていません」
それどころか、電話で話したことすらないのに。
何より、結葉は偉央からのプロポーズを受けると決めた時に言ったはずなのだ。
――偉央さんのことが誰よりも好きです。私、偉央さんしか見えていません、と。
「僕も結葉のこと、信じたいんだよ――? でも……あの家に固執されたら疑いたくもなるじゃないか」
いつの間にかテーブル越し、身を乗り出すようにして伸ばされた偉央の手が、結葉の頬を輪郭をたどるようになぞっていて。
指の腹でやんわりと触れられているだけなはずなのに、何故か偉央の指が通った場所がピリピリと痛む気がして怖くなった結葉だ。
「……偉央、さ……」
思わず夫の名を呼ぶ声が震えて、偉央に目を眇められてしまった。
「結葉。やましいことがないなら、キミは何をそんなに怯えるの? そんな態度を取られたら、ひょっとして図星かな?って勘繰っちゃうんだけど――」
言われたと同時、グイッと腕を引かれて食卓の上に前のめりに引き倒された結葉は、不可抗力で机上にあった様々なものを薙ぎ倒してしまう。
その中に、つい今し方偉央に淹れ直したばかりの熱々の玄米茶入りの湯呑みがあって。
コップが転がった拍子、偉央が咄嗟に結葉を庇って、彼の手に熱いお茶が掛かってしまった。
「――っ‼︎ 偉央さっ!」
思わず悲鳴のような声を上げて起き上がると、偉央の手に触れようとした結葉だ。
でも偉央は、そんな結葉を、お構いなしに再度台上にひれ伏させるように押さえつけてきた。
「……結葉。僕は許さないからね? 僕以外の男の近くにキミが行くなんてこと――」
今まで実家に結葉をやれていたのは、家に美鳥や茂雄がいたからに他ならないのだと偉央が言って。
「誰もいなくなるあの家にキミを一人で近づけるとか……死んでもイヤだ」
言って、グイッと痛いぐらいに結葉の手首を掴んできた偉央の手は真っ赤になっていて、結葉はそれが気になって仕方がない。
「――偉央さっ、もう分かったのでっ。手! 火傷したところ、早く冷やしましょう⁉︎」
偉央のことを怖いと思っていたのも忘れて、結葉は涙目で必死に訴えていた。
それどころか、電話で話したことすらないのに。
何より、結葉は偉央からのプロポーズを受けると決めた時に言ったはずなのだ。
――偉央さんのことが誰よりも好きです。私、偉央さんしか見えていません、と。
「僕も結葉のこと、信じたいんだよ――? でも……あの家に固執されたら疑いたくもなるじゃないか」
いつの間にかテーブル越し、身を乗り出すようにして伸ばされた偉央の手が、結葉の頬を輪郭をたどるようになぞっていて。
指の腹でやんわりと触れられているだけなはずなのに、何故か偉央の指が通った場所がピリピリと痛む気がして怖くなった結葉だ。
「……偉央、さ……」
思わず夫の名を呼ぶ声が震えて、偉央に目を眇められてしまった。
「結葉。やましいことがないなら、キミは何をそんなに怯えるの? そんな態度を取られたら、ひょっとして図星かな?って勘繰っちゃうんだけど――」
言われたと同時、グイッと腕を引かれて食卓の上に前のめりに引き倒された結葉は、不可抗力で机上にあった様々なものを薙ぎ倒してしまう。
その中に、つい今し方偉央に淹れ直したばかりの熱々の玄米茶入りの湯呑みがあって。
コップが転がった拍子、偉央が咄嗟に結葉を庇って、彼の手に熱いお茶が掛かってしまった。
「――っ‼︎ 偉央さっ!」
思わず悲鳴のような声を上げて起き上がると、偉央の手に触れようとした結葉だ。
でも偉央は、そんな結葉を、お構いなしに再度台上にひれ伏させるように押さえつけてきた。
「……結葉。僕は許さないからね? 僕以外の男の近くにキミが行くなんてこと――」
今まで実家に結葉をやれていたのは、家に美鳥や茂雄がいたからに他ならないのだと偉央が言って。
「誰もいなくなるあの家にキミを一人で近づけるとか……死んでもイヤだ」
言って、グイッと痛いぐらいに結葉の手首を掴んできた偉央の手は真っ赤になっていて、結葉はそれが気になって仕方がない。
「――偉央さっ、もう分かったのでっ。手! 火傷したところ、早く冷やしましょう⁉︎」
偉央のことを怖いと思っていたのも忘れて、結葉は涙目で必死に訴えていた。
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