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12.家はどうするの?
相談相手
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両親の引っ越しまでニ十日を切った頃、父・茂雄の有給休暇に合わせる形で実家に行きたいとお願いしたら、案外すんなり偉央が了承してくれた。
偉央の火傷の一件があってから、結葉は〝偉央とともに〟実家に住むという希望を捨てざるを得なくなってしまっていて。
両親には偉央の職場への利便性などを考えると私たちは実家には住めそうにないと当たり障りのない理由を伝えてある。
偉央が結葉の実家に住みたくない本当の理由は、想が隣に出入りしているからなのだが、それは敢えて伝える必要がないと判断して言わなかった結葉だ。
そんなことを言ったら、両親に変な心配をかけてしまうかもしれないと思ったから。
もちろん、想のことは今でも頼り甲斐のある大好きな幼なじみだとは思っている。
ふとした時に、「偉央さんとのことを想ちゃんに相談出来たら」と思わないこともないけれど、結婚した身の結葉としては、自分にとって最優先すべき相手は偉央しかいないことも理解しているつもりだ。
だから、偉央が望まないことをするのはタブー。
それに、大学卒業を機に実家に戻ってきた芹とは違い、想はまだアパートから実家には戻っていないと風の噂で聞いている結葉だ。
きっと自分が偉央と結婚するきっかけになった彼女との交際が順調か、もしくは別の彼女と仲良くしているんだろう。
そんな想に、幼なじみだからと自分が連絡を取ることは、想にとっても、彼の彼女さんにとってもきっと迷惑に違いないと思っている。
結局、結婚してからの結葉が気持ちを整理するために会話できていた相手は、両親の他だと琳奈を始めとした同性の友人たち数名のみで。
その子たちも、結葉自身の不手際で一人、また一人と偉央にブロックされて行った結果、気が付けば誰もいなくなってしまっていた。
もうじき、両親の引越しで結葉の相談相手はゼロになってしまう。
結葉は一度だけ偉央に、相談相手がいなくなる不安を(偉央とのことが主な心配事だとは告げずに)、やんわりとオブラートに包んで伝えてみたことがある。
「お父さんとお母さんが遠くに行ってしまったら私、困ったことがあった時に相談できる相手がいなくなっちゃうなって思ってて……。それで……」
「不安なんだね」
偉央に優しく頭を撫でられて、結葉としてはそのまま彼に、「だから琳奈ちゃんたちと再度連絡を取り合うことを許して欲しいんです」と続けたかったのだけど――。
「気づかなくてごめんね。――僕が今まで以上に努力して、結葉の話し相手になるようにするから。それでいいよね?」
と畳み掛けられて、「ごめんなさい。――ご迷惑をお掛けします」と答えるしかない雰囲気にされてしまった。
結局結葉は、じきに唯一のガス抜きの相手である両親がいなくなるというのに、何の手立ても講じられないままに今日まで来てしまったのだ。
両親の引っ越しまでニ十日を切った頃、父・茂雄の有給休暇に合わせる形で実家に行きたいとお願いしたら、案外すんなり偉央が了承してくれた。
偉央の火傷の一件があってから、結葉は〝偉央とともに〟実家に住むという希望を捨てざるを得なくなってしまっていて。
両親には偉央の職場への利便性などを考えると私たちは実家には住めそうにないと当たり障りのない理由を伝えてある。
偉央が結葉の実家に住みたくない本当の理由は、想が隣に出入りしているからなのだが、それは敢えて伝える必要がないと判断して言わなかった結葉だ。
そんなことを言ったら、両親に変な心配をかけてしまうかもしれないと思ったから。
もちろん、想のことは今でも頼り甲斐のある大好きな幼なじみだとは思っている。
ふとした時に、「偉央さんとのことを想ちゃんに相談出来たら」と思わないこともないけれど、結婚した身の結葉としては、自分にとって最優先すべき相手は偉央しかいないことも理解しているつもりだ。
だから、偉央が望まないことをするのはタブー。
それに、大学卒業を機に実家に戻ってきた芹とは違い、想はまだアパートから実家には戻っていないと風の噂で聞いている結葉だ。
きっと自分が偉央と結婚するきっかけになった彼女との交際が順調か、もしくは別の彼女と仲良くしているんだろう。
そんな想に、幼なじみだからと自分が連絡を取ることは、想にとっても、彼の彼女さんにとってもきっと迷惑に違いないと思っている。
結局、結婚してからの結葉が気持ちを整理するために会話できていた相手は、両親の他だと琳奈を始めとした同性の友人たち数名のみで。
その子たちも、結葉自身の不手際で一人、また一人と偉央にブロックされて行った結果、気が付けば誰もいなくなってしまっていた。
もうじき、両親の引越しで結葉の相談相手はゼロになってしまう。
結葉は一度だけ偉央に、相談相手がいなくなる不安を(偉央とのことが主な心配事だとは告げずに)、やんわりとオブラートに包んで伝えてみたことがある。
「お父さんとお母さんが遠くに行ってしまったら私、困ったことがあった時に相談できる相手がいなくなっちゃうなって思ってて……。それで……」
「不安なんだね」
偉央に優しく頭を撫でられて、結葉としてはそのまま彼に、「だから琳奈ちゃんたちと再度連絡を取り合うことを許して欲しいんです」と続けたかったのだけど――。
「気づかなくてごめんね。――僕が今まで以上に努力して、結葉の話し相手になるようにするから。それでいいよね?」
と畳み掛けられて、「ごめんなさい。――ご迷惑をお掛けします」と答えるしかない雰囲気にされてしまった。
結局結葉は、じきに唯一のガス抜きの相手である両親がいなくなるというのに、何の手立ても講じられないままに今日まで来てしまったのだ。
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