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21.想からの惜しみない愛
策士からの告白
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そこでスッと手を伸ばして結葉の頭をヨシヨシすると、「ちっさい頃から可愛がってる結葉が少々何かやらかしたくらいじゃ、俺、お前を見捨てたりしねぇぞ?」と付け加えてくる。
「もぉ、想ちゃん、相変わらず私のこと子供扱いしすぎだよっ……?」
想が、今も変わらず妹として自分のことを大切に思ってくれているんだと分かってホッとして。
それと同時にほんのちょっと寂しい気持ちがしたのは昔感じていた恋心の名残がくすぶっているんだろうか。
想の手を昔みたいに振り払おうとしたら、ギュッと手首を掴まれてドキッとしてしまう。
「言っとくけど俺、マトモに彼女がいたことも、誰かと同棲したこともねぇから」
そこで正面からじっと顔を見据えられて、
「――何かずっと勘違いされてるみてぇだからこの際キッチリ訂正しとくけど……。ここだってそういう意図で借りた訳じゃねぇかんな?」
ムスッとした様子でそうつぶやいた想に、結葉は「え?」と声を落として。
あまりの衝撃に、手を握られたままなことにもマトモに反応出来なくなってしまう。
「……え? でも……。だって……。あの……き、公宣さんが」
「ああ、まぁ……、昔、家まで来られちまったからな。……告白」
想はそこで「お前がまだ結婚してなかった頃の話だから、三年以上前のことになるか――」と前置きをして話し出した。
「二十六になった俺の誕生日の日にさ、あんまし話したことなかった高校時代の同級生が何の前触れもなく『誕生日おめでとう』っていきなり家に来たんだわ」
想の誕生日は四月三日だ。
そのちょっと前の三月中旬に、高校時代の同窓会があって、そこで再会したのがきっかけだったんだと思う、と想が言って。
実際、想にとってその同級生――朝沼舞衣歌の訪問は青天の霹靂だったらしい。
同窓会でたまたま近くに座って、たまたまほんの少し話しただけのよく知らない女子。
それが舞衣歌に対する想の評価の全てだったから。
「飲み食いしながら『山波くん、いま恋人いるの?』とか聞かれたからさ。『今はいねぇよ』って答えたりしたから。きっと……だったら丁度いいじゃん、とか思われちまったんだろうな」
恋人がいるかいないかと、好きな女性がいるかどうかはまた別の話なのにな、と小さく付け加えた想の表情がやけに色めいて見えて、結葉はドキッとしてしまう。
「それが結構策士な女子でさ。わざわざ家族が揃ってるような夕方に来て……親父とお袋が見てる目の前で『想くんお誕生日おめでとう! 好きです!』ってやられちまったら恥かかせるわけにもいかねぇし、とりあえず一旦は『おう、有難う』って言うしかねーだろ?」
それまでは〝山波くん〟だったのが、わざわざ親しげに〝想くん〟と呼びかけてきたところにゾワリときた、と想が苦笑して。
結葉の知る山波想という幼なじみのお兄ちゃんは、見た目こそヤンチャ気で怖い印象を持たれがちだけれど、中身はとっても優しくて思いやりがある男だから。
人前で女の子を袖にするという選択肢はなかったんだろうな、と思って。
結葉は「そうだね」と相槌を打って頷いた。
「もぉ、想ちゃん、相変わらず私のこと子供扱いしすぎだよっ……?」
想が、今も変わらず妹として自分のことを大切に思ってくれているんだと分かってホッとして。
それと同時にほんのちょっと寂しい気持ちがしたのは昔感じていた恋心の名残がくすぶっているんだろうか。
想の手を昔みたいに振り払おうとしたら、ギュッと手首を掴まれてドキッとしてしまう。
「言っとくけど俺、マトモに彼女がいたことも、誰かと同棲したこともねぇから」
そこで正面からじっと顔を見据えられて、
「――何かずっと勘違いされてるみてぇだからこの際キッチリ訂正しとくけど……。ここだってそういう意図で借りた訳じゃねぇかんな?」
ムスッとした様子でそうつぶやいた想に、結葉は「え?」と声を落として。
あまりの衝撃に、手を握られたままなことにもマトモに反応出来なくなってしまう。
「……え? でも……。だって……。あの……き、公宣さんが」
「ああ、まぁ……、昔、家まで来られちまったからな。……告白」
想はそこで「お前がまだ結婚してなかった頃の話だから、三年以上前のことになるか――」と前置きをして話し出した。
「二十六になった俺の誕生日の日にさ、あんまし話したことなかった高校時代の同級生が何の前触れもなく『誕生日おめでとう』っていきなり家に来たんだわ」
想の誕生日は四月三日だ。
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恋人がいるかいないかと、好きな女性がいるかどうかはまた別の話なのにな、と小さく付け加えた想の表情がやけに色めいて見えて、結葉はドキッとしてしまう。
「それが結構策士な女子でさ。わざわざ家族が揃ってるような夕方に来て……親父とお袋が見てる目の前で『想くんお誕生日おめでとう! 好きです!』ってやられちまったら恥かかせるわけにもいかねぇし、とりあえず一旦は『おう、有難う』って言うしかねーだろ?」
それまでは〝山波くん〟だったのが、わざわざ親しげに〝想くん〟と呼びかけてきたところにゾワリときた、と想が苦笑して。
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人前で女の子を袖にするという選択肢はなかったんだろうな、と思って。
結葉は「そうだね」と相槌を打って頷いた。
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