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31.大切な連絡
DV被害に遭ってたこと、ちゃんとご両親にも話せ
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美鳥は、結葉が長いこと想に片想いしていたのを知っているし、今みたいに傷心の身で彼の近くにいたら、その想いが再燃しかねないのではないか?と思って。
それに、いくら想が良識のある子でも、彼だって立派な成人男子なのだ。
結葉がその気になったなら、間違いが起こらないとは言い切れないではないか。
(想くんが、彼女とどうなったのかも結局分からず終いだし)
もしも、いま仮に想がフリーだとしたら、二人を止めるものは何もない気がしてしまった美鳥だ。
結葉が偉央と本当に離婚するつもりならば、想との同棲は、結葉にとって不利にしかならないだろう。
いくら幼馴染みで、小さい頃からお互いの家を行き来している仲とは言っても、若い男女が一つ屋根の下にいて、世間一般の人が何も思わないわけがないのだから。
『……たっ、確かに想ちゃんのお世話にはなってるけど……住んでるのは想ちゃんのアパートじゃない……』
結葉の言葉はまるで要領を得なくて。
美鳥は娘をそばで見守れない焦燥感に
「じゃあどういう……」
つい次々に畳み掛けるように自分の思いを話してしまいそうになる。
さっきから結葉が何かを言おうとするたびに、それを遮って質問を投げかけてしまっている自分に気が付いた美鳥は、グッと堪えて言葉を飲み込んだ。
ダメだ、マシンガンみたいに一方的に話してしまって、娘の言葉を聞いてあげられていない。
これが、日本にいる頃にも結葉の異変に気づけなかった理由かもしれない。
今更だけど、そんな風に思った美鳥だった。
***
「美鳥さんに、思ってることちゃんと話せたか?」
結葉をすぐそばで見ていて、彼女が通話口に向かって「でもっ」とか「違うの」とか、そんな言葉ばかりを言っているように思えた想だ。
結葉は決して無口な方ではないけれど、熟考して話すところがある。
相手から余りにも矢継ぎ早に畳み掛けられると、上手く話せないところがあるのを知っているから、ちょっと気になってしまった。
「うん。最初はなかなか聞いてもらえなかったんだけど……途中から私のペースに合わせてくれて。――ちゃんと話せた……と……思う」
実家に一人で住むのが心細くて、山波家で家事手伝いをしながらお世話になっていること。
ほんのちょっと前に偉央から離婚届などが送られてきたこと。
恐らくは、そんなに揉めずに離婚できるであろうこと。
因みに離婚の理由は、〝子供に対する考え方の相違〟とだけ伝えるに留めた結葉だ。
「私は子供、欲しかったんだけど、偉央さんは欲しくないって。ずっと話し合ってきたけど……どうしても折り合いがつかなかったの。私ももう若くはないし……我が子を望むなら、このまま偉央さんとは一緒にいられないって思ったの」
結葉の言葉に、美鳥は『そこが擦り合わせられないなら、確かに婚姻生活を継続するのは難しいかも知れないわね』と納得してくれて。
『でも……。それでももう少しちゃんとお話ししたら何とかなったりしないのかな?』
と続けたのだ。
結葉は「ごめんね、お母さん……」と、まるで上手く立ち回れなかった自分が悪かったみたいに謝っていた。
想も横で聞いていたからそのやり取りはなんとなく把握していたのだけれど。
「それはそれとして――旦那からのDVの事、本当に伝えなくてよかったのか?」
想は(そこを曖昧にしたままにするから、美鳥さん、娘の離婚に対して煮え切らない感じになっちまってんだよな?)と思ったのだけれど。
当の結葉は「済んだ事で両親に心配を掛けたくないの」と淡く微笑むばかり。
「けど――」
それでも更に言い募ろうとしたら、結葉にゆるゆると首を振られてしまった。
「どうしても……話さなきゃいけない時が来たらちゃんと話すから。そうならない限りは……内緒にしておきたいの」
再会直後にすぐ、結葉の異変に気付いた想としては、ずっとそばで結葉のことを見ていたくせに彼女のSOSに気付けなかった小林夫妻に対してどうしても思うところがある。
こんな風に、結葉が事実をひた隠しにしようとしただろうことは分かった上で。
でも、だからこそ尚のこと気付いてやれよ!と思わずにはいられなかったのだ。
「なぁ結葉。もし……いつか真実を告げなきゃいけなくなったとして……知るのが遅れれば遅れるほどお前の親御さん、知った時しんどいんじゃねぇか?」
両親に真実を知られることは、結葉にとってとても辛いことだというのは分かっているつもりだ。
だから事細かに起こったことを全部話す必要はないと想だって思っている。
だけど……。
せめて。
せめて結葉が何に苦しんで、今回の結論に達したのか。
その片鱗ぐらいは伝えておいた方がいいんじゃないかと思うのだ。
今はたまたま結葉の両親は遠方にいるからバレずに済んでいるけれど、結葉の足首についた足枷による傷跡は、アザになってくっきりと彼女の脚に残っている。
年々薄くなっていくことはあっても、きっとすぐに消えることはないだろう。
監禁のことを話さずにそれを誤魔化せるかどうか。
正直想にもいい案は思い浮かばないけれど、夫から精神的にも肉体的にも暴力を受けていたと少しでも話しておけば、皆まで言わなくても察してくれる部分というのはあるはずだから。
変に隠し立てした方が、人は詮索したくなる。
「けど……想ちゃん。お母さんたち、言ったらきっと傷付く……よね?」
結葉に偉央との見合いを勧めたのは他ならぬ両親たちなのだから。
想の指摘に対して、結葉がソワソワと落ち着かない様子でそう言ってきて。
想は、あえてそんな結葉に、「逆に誰も傷付かない〝離婚〟なんてあんのか?」と、突き放すような物言いをした。
想としては、結葉ばかりが辛いのやしんどいのを一人で背負うくらいなら、みんなで分担したんでいいじゃねぇかと思っている。
それが、血を分けた親なら尚更だ。
「それにな、結葉。人の口に戸は立てらんねぇぞ? 親御さんが日本に戻ってきた時、思わぬルートで真実を知る可能性だって否定出来ねぇじゃねぇか。もちろんいますぐに、とは言わねぇよ。追々で構わねぇから……DV被害に遭ってたこと、ちゃんとご両親にも話せ。――な?」
それに、いくら想が良識のある子でも、彼だって立派な成人男子なのだ。
結葉がその気になったなら、間違いが起こらないとは言い切れないではないか。
(想くんが、彼女とどうなったのかも結局分からず終いだし)
もしも、いま仮に想がフリーだとしたら、二人を止めるものは何もない気がしてしまった美鳥だ。
結葉が偉央と本当に離婚するつもりならば、想との同棲は、結葉にとって不利にしかならないだろう。
いくら幼馴染みで、小さい頃からお互いの家を行き来している仲とは言っても、若い男女が一つ屋根の下にいて、世間一般の人が何も思わないわけがないのだから。
『……たっ、確かに想ちゃんのお世話にはなってるけど……住んでるのは想ちゃんのアパートじゃない……』
結葉の言葉はまるで要領を得なくて。
美鳥は娘をそばで見守れない焦燥感に
「じゃあどういう……」
つい次々に畳み掛けるように自分の思いを話してしまいそうになる。
さっきから結葉が何かを言おうとするたびに、それを遮って質問を投げかけてしまっている自分に気が付いた美鳥は、グッと堪えて言葉を飲み込んだ。
ダメだ、マシンガンみたいに一方的に話してしまって、娘の言葉を聞いてあげられていない。
これが、日本にいる頃にも結葉の異変に気づけなかった理由かもしれない。
今更だけど、そんな風に思った美鳥だった。
***
「美鳥さんに、思ってることちゃんと話せたか?」
結葉をすぐそばで見ていて、彼女が通話口に向かって「でもっ」とか「違うの」とか、そんな言葉ばかりを言っているように思えた想だ。
結葉は決して無口な方ではないけれど、熟考して話すところがある。
相手から余りにも矢継ぎ早に畳み掛けられると、上手く話せないところがあるのを知っているから、ちょっと気になってしまった。
「うん。最初はなかなか聞いてもらえなかったんだけど……途中から私のペースに合わせてくれて。――ちゃんと話せた……と……思う」
実家に一人で住むのが心細くて、山波家で家事手伝いをしながらお世話になっていること。
ほんのちょっと前に偉央から離婚届などが送られてきたこと。
恐らくは、そんなに揉めずに離婚できるであろうこと。
因みに離婚の理由は、〝子供に対する考え方の相違〟とだけ伝えるに留めた結葉だ。
「私は子供、欲しかったんだけど、偉央さんは欲しくないって。ずっと話し合ってきたけど……どうしても折り合いがつかなかったの。私ももう若くはないし……我が子を望むなら、このまま偉央さんとは一緒にいられないって思ったの」
結葉の言葉に、美鳥は『そこが擦り合わせられないなら、確かに婚姻生活を継続するのは難しいかも知れないわね』と納得してくれて。
『でも……。それでももう少しちゃんとお話ししたら何とかなったりしないのかな?』
と続けたのだ。
結葉は「ごめんね、お母さん……」と、まるで上手く立ち回れなかった自分が悪かったみたいに謝っていた。
想も横で聞いていたからそのやり取りはなんとなく把握していたのだけれど。
「それはそれとして――旦那からのDVの事、本当に伝えなくてよかったのか?」
想は(そこを曖昧にしたままにするから、美鳥さん、娘の離婚に対して煮え切らない感じになっちまってんだよな?)と思ったのだけれど。
当の結葉は「済んだ事で両親に心配を掛けたくないの」と淡く微笑むばかり。
「けど――」
それでも更に言い募ろうとしたら、結葉にゆるゆると首を振られてしまった。
「どうしても……話さなきゃいけない時が来たらちゃんと話すから。そうならない限りは……内緒にしておきたいの」
再会直後にすぐ、結葉の異変に気付いた想としては、ずっとそばで結葉のことを見ていたくせに彼女のSOSに気付けなかった小林夫妻に対してどうしても思うところがある。
こんな風に、結葉が事実をひた隠しにしようとしただろうことは分かった上で。
でも、だからこそ尚のこと気付いてやれよ!と思わずにはいられなかったのだ。
「なぁ結葉。もし……いつか真実を告げなきゃいけなくなったとして……知るのが遅れれば遅れるほどお前の親御さん、知った時しんどいんじゃねぇか?」
両親に真実を知られることは、結葉にとってとても辛いことだというのは分かっているつもりだ。
だから事細かに起こったことを全部話す必要はないと想だって思っている。
だけど……。
せめて。
せめて結葉が何に苦しんで、今回の結論に達したのか。
その片鱗ぐらいは伝えておいた方がいいんじゃないかと思うのだ。
今はたまたま結葉の両親は遠方にいるからバレずに済んでいるけれど、結葉の足首についた足枷による傷跡は、アザになってくっきりと彼女の脚に残っている。
年々薄くなっていくことはあっても、きっとすぐに消えることはないだろう。
監禁のことを話さずにそれを誤魔化せるかどうか。
正直想にもいい案は思い浮かばないけれど、夫から精神的にも肉体的にも暴力を受けていたと少しでも話しておけば、皆まで言わなくても察してくれる部分というのはあるはずだから。
変に隠し立てした方が、人は詮索したくなる。
「けど……想ちゃん。お母さんたち、言ったらきっと傷付く……よね?」
結葉に偉央との見合いを勧めたのは他ならぬ両親たちなのだから。
想の指摘に対して、結葉がソワソワと落ち着かない様子でそう言ってきて。
想は、あえてそんな結葉に、「逆に誰も傷付かない〝離婚〟なんてあんのか?」と、突き放すような物言いをした。
想としては、結葉ばかりが辛いのやしんどいのを一人で背負うくらいなら、みんなで分担したんでいいじゃねぇかと思っている。
それが、血を分けた親なら尚更だ。
「それにな、結葉。人の口に戸は立てらんねぇぞ? 親御さんが日本に戻ってきた時、思わぬルートで真実を知る可能性だって否定出来ねぇじゃねぇか。もちろんいますぐに、とは言わねぇよ。追々で構わねぇから……DV被害に遭ってたこと、ちゃんとご両親にも話せ。――な?」
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