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33.久々の我が家
捨て犬みたいな偉央と、優柔不断な結葉
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***
さっきトレイを載せたサイドテーブルは、下がコロになっていて、そのまま高さを調整して向きを変えたら、ベッドに座ったまま食事が出来るようになる仕様だ。
結葉は偉央から酷く責め立てられて起き上がれなくなった時なんかに、このテーブルでよく食事を摂っていた。
結葉がダウンした時、偉央は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたから。
でも元を正せばその原因を作ったのは偉央だったので、罪滅ぼしの気持ちが強かったのかも知れない。
動くのが辛かった時にはとても便利だったけれど、風邪など以外でこれを使った回数の方が圧倒的に多かったことを思うと、結葉はどうしても複雑な気持ちになってしまう。
なるべくそのことは考えないようにして、偉央の前にテーブルを設置すると、偉央の背後にある枕をムギュッと押し潰して厚みを調整して彼がすがれるようにした。
これも、偉央が結葉のためによくやっていてくれたのをなぞったに過ぎない。
「辛くないですか?」
結葉の一挙手一投足から目を離したくないみたいにじっと自分の動きを目で追ってくる偉央に、何だか居心地の悪い結葉だ。
それを払い除けるみたいに問いかけたら、「大丈夫だよ、有難う」と穏やかに微笑み掛けられて。
今日の偉央は付き合っていた頃を彷彿とさせられる柔らかな表情をよく向けてくる。
そのたびに、結葉は胸の奥がざわついてしまう。
ともすると偉央のその雰囲気にほだされてしまいそうな気持ちになるけれど、結葉はその柔和さの奥に秘められた、偉央の激情を知っているから。
だからギュッと拳を握り締めると気持ちを切り替えた。
「あの、熱いので気を付けて食べてくださいね」
そこまで言って、お茶を忘れていたことに気が付いた結葉は、「お茶、用意してきます」と踵を返す。
「結葉っ、待って」
途端、不安そうに偉央が呼び止めてきて、出し掛けた足を引き止められてしまう。
「大丈夫です。お茶を淹れてくるだけです」
捨て犬みたいな目でじっと見つめてくる偉央に、自分がこの家を逃げ出した後、偉央がどれだけ寂しい思いをしたかを垣間見た気がして、胸の奥がズキッと痛んだ結葉だ。
「私も偉央さんのそばで一緒にお茶、飲みますから」
――それなら不安じゃないですよね?と言外に含ませたら、偉央が小さく頷いた。
いまの偉央には、何だか放っておけないオーラがある。
だけど、彼が自分にしたことを思い出すと、結葉はそれでもやっぱりこのままずっとここに居ることは出来ないと思って。
でも、だったらせめて――。
偉央がご飯を食べて眠りにつくまでの束の間の時間だけは……出来る限りのことをしてあげようと……そんなことを考えてしまった。
自分はつくづく色んなことに流されやすい性格だと……結葉は心の中で小さく嘆息する。
そうして、そんな自分の優柔不断さが想に物凄く心配を掛けてしまうことになるだなんて、その時の結葉は思いもしなかったのだ。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
章の変わり目のため、今回は更新量少なめです。
すみません。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
さっきトレイを載せたサイドテーブルは、下がコロになっていて、そのまま高さを調整して向きを変えたら、ベッドに座ったまま食事が出来るようになる仕様だ。
結葉は偉央から酷く責め立てられて起き上がれなくなった時なんかに、このテーブルでよく食事を摂っていた。
結葉がダウンした時、偉央は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたから。
でも元を正せばその原因を作ったのは偉央だったので、罪滅ぼしの気持ちが強かったのかも知れない。
動くのが辛かった時にはとても便利だったけれど、風邪など以外でこれを使った回数の方が圧倒的に多かったことを思うと、結葉はどうしても複雑な気持ちになってしまう。
なるべくそのことは考えないようにして、偉央の前にテーブルを設置すると、偉央の背後にある枕をムギュッと押し潰して厚みを調整して彼がすがれるようにした。
これも、偉央が結葉のためによくやっていてくれたのをなぞったに過ぎない。
「辛くないですか?」
結葉の一挙手一投足から目を離したくないみたいにじっと自分の動きを目で追ってくる偉央に、何だか居心地の悪い結葉だ。
それを払い除けるみたいに問いかけたら、「大丈夫だよ、有難う」と穏やかに微笑み掛けられて。
今日の偉央は付き合っていた頃を彷彿とさせられる柔らかな表情をよく向けてくる。
そのたびに、結葉は胸の奥がざわついてしまう。
ともすると偉央のその雰囲気にほだされてしまいそうな気持ちになるけれど、結葉はその柔和さの奥に秘められた、偉央の激情を知っているから。
だからギュッと拳を握り締めると気持ちを切り替えた。
「あの、熱いので気を付けて食べてくださいね」
そこまで言って、お茶を忘れていたことに気が付いた結葉は、「お茶、用意してきます」と踵を返す。
「結葉っ、待って」
途端、不安そうに偉央が呼び止めてきて、出し掛けた足を引き止められてしまう。
「大丈夫です。お茶を淹れてくるだけです」
捨て犬みたいな目でじっと見つめてくる偉央に、自分がこの家を逃げ出した後、偉央がどれだけ寂しい思いをしたかを垣間見た気がして、胸の奥がズキッと痛んだ結葉だ。
「私も偉央さんのそばで一緒にお茶、飲みますから」
――それなら不安じゃないですよね?と言外に含ませたら、偉央が小さく頷いた。
いまの偉央には、何だか放っておけないオーラがある。
だけど、彼が自分にしたことを思い出すと、結葉はそれでもやっぱりこのままずっとここに居ることは出来ないと思って。
でも、だったらせめて――。
偉央がご飯を食べて眠りにつくまでの束の間の時間だけは……出来る限りのことをしてあげようと……そんなことを考えてしまった。
自分はつくづく色んなことに流されやすい性格だと……結葉は心の中で小さく嘆息する。
そうして、そんな自分の優柔不断さが想に物凄く心配を掛けてしまうことになるだなんて、その時の結葉は思いもしなかったのだ。
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章の変わり目のため、今回は更新量少なめです。
すみません。
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