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4-3.ハッピーハロウィン!―後編―
せぇーの、で見せ合いっこしましょうねっ♪
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「ひ、ぁ⁉︎」
くるみに悪戯っぽくウインクされて、実篤は手にしていたコンビニの袋をドサリと床に落としてしまって。
それに驚いて、変な声が出てしまった。
もちろん、それだけが奇声の原因の全てではないけれど、そこは悔しいのでスルーすると決めた実篤だ。
(そっ、そう言えばそうじゃった。今日はハロウィンパーティーっちゅう名目だったんじゃ!)
今更のようにそれを思い出すとか、実篤も大概惚けている。
というより、本当に〝くるみが家に来た〟と言うだけで一杯一杯だっただけなのだが。
「五分したらココ開けて、せぇーの、で見せ合いっこしましょうねっ♪」
襖の向こうからくるみの嬉しそうな声が聞こえてきて――。
実篤は慌てて足元の袋を拾い上げると、台所にダッシュした。
***
上着を脱いで、例の爪付きモフモフ手袋と、大きなフワフワの耳を頭に付ける。
台所に鏡がないのが幸いかもしれん、と思った実篤だったけれど、残念。
しっかりと食器棚のガラス戸に自分の恥ずかしい姿が映っていて、見たくもないのに己れの全貌を見てしまった。
(いや、マジ、何なんこれ)
田岡と野田が「社長よく似合うちょってですよ~?」とクスクス笑う声が聞こえてきた気がした。
***
「実篤さぁ~ん。用意はええですか~?」
応接室の方からくるみの呼ぶ声がして、実篤はビクッと身体を跳ねさせる。
「ひゃいっ!」
はい!が思わず「ひゃい!」になってしまって、「俺のバカ!」と頭を抱えたら、その手がモフモフで泣きたくなった。
だけどくるみはそんな実篤を落ち込ませてくれる気なんてさらさらないみたいで。
「いきますよぉ~? せぇーのっ!」
と、とってもとっても楽しそうだ。
(くるみちゃん、シラフよな?)
ビールを応接室に置いてきたけれど、まさか勝手に開けて、ひとりで飲んだりする子ではないと思う。
それなのに、だ。
やたらテンションが高いくるみに、実篤はずっと押され気味。
スパーン!と襖が勢いよく開いて……薄暗い廊下にいた実篤は、応接間の灯りに一瞬だけ目を眇めた。
と――。
くるみに悪戯っぽくウインクされて、実篤は手にしていたコンビニの袋をドサリと床に落としてしまって。
それに驚いて、変な声が出てしまった。
もちろん、それだけが奇声の原因の全てではないけれど、そこは悔しいのでスルーすると決めた実篤だ。
(そっ、そう言えばそうじゃった。今日はハロウィンパーティーっちゅう名目だったんじゃ!)
今更のようにそれを思い出すとか、実篤も大概惚けている。
というより、本当に〝くるみが家に来た〟と言うだけで一杯一杯だっただけなのだが。
「五分したらココ開けて、せぇーの、で見せ合いっこしましょうねっ♪」
襖の向こうからくるみの嬉しそうな声が聞こえてきて――。
実篤は慌てて足元の袋を拾い上げると、台所にダッシュした。
***
上着を脱いで、例の爪付きモフモフ手袋と、大きなフワフワの耳を頭に付ける。
台所に鏡がないのが幸いかもしれん、と思った実篤だったけれど、残念。
しっかりと食器棚のガラス戸に自分の恥ずかしい姿が映っていて、見たくもないのに己れの全貌を見てしまった。
(いや、マジ、何なんこれ)
田岡と野田が「社長よく似合うちょってですよ~?」とクスクス笑う声が聞こえてきた気がした。
***
「実篤さぁ~ん。用意はええですか~?」
応接室の方からくるみの呼ぶ声がして、実篤はビクッと身体を跳ねさせる。
「ひゃいっ!」
はい!が思わず「ひゃい!」になってしまって、「俺のバカ!」と頭を抱えたら、その手がモフモフで泣きたくなった。
だけどくるみはそんな実篤を落ち込ませてくれる気なんてさらさらないみたいで。
「いきますよぉ~? せぇーのっ!」
と、とってもとっても楽しそうだ。
(くるみちゃん、シラフよな?)
ビールを応接室に置いてきたけれど、まさか勝手に開けて、ひとりで飲んだりする子ではないと思う。
それなのに、だ。
やたらテンションが高いくるみに、実篤はずっと押され気味。
スパーン!と襖が勢いよく開いて……薄暗い廊下にいた実篤は、応接間の灯りに一瞬だけ目を眇めた。
と――。
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