64 / 230
5-2. 桃色狼とほろ酔い兎*
いっぱい待たせてごめんね
しおりを挟む
「えっと……くるみちゃん、ひょっとして……いや、ひょっとせんでも……酒飲んだん?」
(一人で二缶も!)
などと心の中で付け加えつつ。
スリスリと実篤の胸元に額を擦り付けて甘えてくるくるみをそっと抱きしめながら問いかけたら、
「だって実篤しゃ、お風呂から全然上がって来んのんじゃもん。一人で待っちょったら緊張しれきらんじゃけ、仕方ないじゃろ?」
呂律の回らない口調でぷぅっと唇を突き出すくるみをあやすように、実篤は「うん、うん」と相槌を打った。
くるみはそんな実篤を、酔いで潤んだ大きな目で見上げながら思いの丈をぶつけてくる。
「喉も乾いちょっらし丁度ええかなぁって一缶目開けたらわけわからんなったんよ。温ぅ~てあんまし美味しゅうなかったぁ~」
(いや、温くて美味しゅーないって感じた時点で二缶目にいくのやめませんかね、くるみちゃん!)
などと思った実篤だったけれど、何せ腕の中のくるみがふにゅふにゅして可愛くてそれどころではない。
そもそも酔っ払いのやることに意図なんて見出せるわけがないのだ。
(まぁ案外飲んでくれちょる方が緊張も解れて痛みとかあんましないかもしれんし……そう考えたらある意味怪我の功名よな?)
なんて、屈託のない表情で実篤の腕の中に収まるくるみを見下ろしながら、頭の中はそんなことで一杯に染められていく実篤だ。本当に男の性というのは業が深い。
「いっぱい待たせてごめんね。気持ち悪ぅない?」
ホワホワと気持ち良さそうではあるけれど、空きっ腹にやらかしていることが気になって問い掛けた実篤に、「全然」とくるみがにっこり笑う。
(かっ、可愛すぎるっ!)
いつも小悪魔で実篤を翻弄しまくりのくるみだけれど、今のくるみは無防備百%で、通常の可愛さの九割増し以上。
警戒心なんて皆無で、ギュウギュウと身体を実篤に押し付けてくるのが堪らない。
しかも失念してはいけないのがくるみの服装!
(彼シャツ、有難う!)
つい実篤が心の中でガッツポーズをしたのも無理はない。
(一人で二缶も!)
などと心の中で付け加えつつ。
スリスリと実篤の胸元に額を擦り付けて甘えてくるくるみをそっと抱きしめながら問いかけたら、
「だって実篤しゃ、お風呂から全然上がって来んのんじゃもん。一人で待っちょったら緊張しれきらんじゃけ、仕方ないじゃろ?」
呂律の回らない口調でぷぅっと唇を突き出すくるみをあやすように、実篤は「うん、うん」と相槌を打った。
くるみはそんな実篤を、酔いで潤んだ大きな目で見上げながら思いの丈をぶつけてくる。
「喉も乾いちょっらし丁度ええかなぁって一缶目開けたらわけわからんなったんよ。温ぅ~てあんまし美味しゅうなかったぁ~」
(いや、温くて美味しゅーないって感じた時点で二缶目にいくのやめませんかね、くるみちゃん!)
などと思った実篤だったけれど、何せ腕の中のくるみがふにゅふにゅして可愛くてそれどころではない。
そもそも酔っ払いのやることに意図なんて見出せるわけがないのだ。
(まぁ案外飲んでくれちょる方が緊張も解れて痛みとかあんましないかもしれんし……そう考えたらある意味怪我の功名よな?)
なんて、屈託のない表情で実篤の腕の中に収まるくるみを見下ろしながら、頭の中はそんなことで一杯に染められていく実篤だ。本当に男の性というのは業が深い。
「いっぱい待たせてごめんね。気持ち悪ぅない?」
ホワホワと気持ち良さそうではあるけれど、空きっ腹にやらかしていることが気になって問い掛けた実篤に、「全然」とくるみがにっこり笑う。
(かっ、可愛すぎるっ!)
いつも小悪魔で実篤を翻弄しまくりのくるみだけれど、今のくるみは無防備百%で、通常の可愛さの九割増し以上。
警戒心なんて皆無で、ギュウギュウと身体を実篤に押し付けてくるのが堪らない。
しかも失念してはいけないのがくるみの服装!
(彼シャツ、有難う!)
つい実篤が心の中でガッツポーズをしたのも無理はない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
83
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる