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6-4.焼けぼっくいに火はつくか?
嘘くさい笑顔
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「さっき、たまたまキミのお兄さんに会うたんじゃけどね、そん時に伝言を言付かったんよ」
もったいつけた口振りで話しながら、自分を廊下の隅っこ――会場の方から思いっきり遠ざけるように誘導してきたのが本当にいけ好かないな、と思った鏡花だ。
「あらっ。そうなんですねっ♪ 実はうちの兄、今日は私と友人のアッシー君してくれちょるんですよ」
ここで鬼塚の言う〝兄〟が、次兄の八雲と言うことはないだろう。
「そっか。それじゃあその絡みかなぁ? 何か至急で連絡欲しいっておっしゃっていらしたよ?」
再度人畜無害そうな笑顔を向けられて、何故かゾクリと寒気を覚えた鏡花だ。
(何なん、この男。笑顔が物凄い嘘くさいんじゃけど!)
お愛想笑いをしている時点で自分も同類なのだけれど、話したくもないのに無理矢理鬼塚と会話せざるを得ない状況にされている自分と、自らこちらに近付いてきた男の営業スマイルを同列に捉えてもらっては困る。
(くるみちゃぁ~ん! この男とは別れて正解よ? うちのお兄ちゃんの気持ち悪い笑顔の方が感情が込もっちょる分、よっぽど気持ち悪ぅないわ)
等とどこか矛盾したことを思いつつ。だけど、今鬼塚が告げてきた言葉はある意味チャンスだな?とも思って。
「わ~。そうなんですね。じゃあ、早速電話してみまぁ~す」
言って、バッグからスマートフォンを取り出した鏡花だったけれど――。
(何でコイツ、私のそばを離れんのん?)
普通電話をする相手からは距離を空けるものなんじゃないん?と思ってしまった鏡花だ。
「あの……」
さすがに距離が近過ぎやしませんか?という思いを込めて非難がましい目で見上げたら、
「ごめんね。今、鏡花ちゃんのそばを離れたらさっきの奴らにまたキミを攫われかねんじゃん? 僕、もう少し鏡花ちゃんと話したい思うちょるけん、悪いけどそばにおらして?」
言われて、内心「ひーっ!」と悲鳴を上げた鏡花だ。
ノーサンキューです!と言いたいところだけど、くるみのことが心配でそれも出来なくて。
「またまたぁ~。女の子を喜ばせるのがお上手ですねっ」
仕方なく自分でも虫唾の走る言葉を口にしつつ、とりあえず兄に電話!と気持ちを切り替えることにした。
確信はないけれど、兄と繋がれたら現状を打開できる気がした鏡花だ。
(何はともあれくるみちゃんの安否確認と、私自身の安全確保優先で)
鬼塚監視のもと、兄に繋がる呼び出し音を聴きながら、鏡花はそんなことを考えていた。
もったいつけた口振りで話しながら、自分を廊下の隅っこ――会場の方から思いっきり遠ざけるように誘導してきたのが本当にいけ好かないな、と思った鏡花だ。
「あらっ。そうなんですねっ♪ 実はうちの兄、今日は私と友人のアッシー君してくれちょるんですよ」
ここで鬼塚の言う〝兄〟が、次兄の八雲と言うことはないだろう。
「そっか。それじゃあその絡みかなぁ? 何か至急で連絡欲しいっておっしゃっていらしたよ?」
再度人畜無害そうな笑顔を向けられて、何故かゾクリと寒気を覚えた鏡花だ。
(何なん、この男。笑顔が物凄い嘘くさいんじゃけど!)
お愛想笑いをしている時点で自分も同類なのだけれど、話したくもないのに無理矢理鬼塚と会話せざるを得ない状況にされている自分と、自らこちらに近付いてきた男の営業スマイルを同列に捉えてもらっては困る。
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等とどこか矛盾したことを思いつつ。だけど、今鬼塚が告げてきた言葉はある意味チャンスだな?とも思って。
「わ~。そうなんですね。じゃあ、早速電話してみまぁ~す」
言って、バッグからスマートフォンを取り出した鏡花だったけれど――。
(何でコイツ、私のそばを離れんのん?)
普通電話をする相手からは距離を空けるものなんじゃないん?と思ってしまった鏡花だ。
「あの……」
さすがに距離が近過ぎやしませんか?という思いを込めて非難がましい目で見上げたら、
「ごめんね。今、鏡花ちゃんのそばを離れたらさっきの奴らにまたキミを攫われかねんじゃん? 僕、もう少し鏡花ちゃんと話したい思うちょるけん、悪いけどそばにおらして?」
言われて、内心「ひーっ!」と悲鳴を上げた鏡花だ。
ノーサンキューです!と言いたいところだけど、くるみのことが心配でそれも出来なくて。
「またまたぁ~。女の子を喜ばせるのがお上手ですねっ」
仕方なく自分でも虫唾の走る言葉を口にしつつ、とりあえず兄に電話!と気持ちを切り替えることにした。
確信はないけれど、兄と繋がれたら現状を打開できる気がした鏡花だ。
(何はともあれくるみちゃんの安否確認と、私自身の安全確保優先で)
鬼塚監視のもと、兄に繋がる呼び出し音を聴きながら、鏡花はそんなことを考えていた。
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