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『とり服』短編集
『俺だけのヒミツ』
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✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
【作品紹介】
会社で羽理が転んだところを見かけた大葉は、即座に駆け寄ったのだが。
自分の前でくらい〝ありのままの羽理〟でいて欲しい。でも…!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
「ひゃう!」
会社の廊下の数メートル先。何にもつまずくものなんてなかったのに、靴裏がキュッ!となって突っかかってしまったのだろうか。羽理がつんのめって転んでしまった。
すぐさま起き上がって恥ずかしそうに目撃者の有無を確認するみたいにキョロキョロする姿を見て、怪我はなさそうだとホッとしつつも、俺は我慢できずに「大丈夫か!?」と声をかけながら走り寄った。
(それにしても……悲鳴、可愛すぎだろ!)
心底転んだ羽理のことを心配している。だが、転んだ瞬間に彼女の口から飛び出した「ひゃう!」という愛らしい悲鳴が頭の中を何度も何度も去来してはニヤけそうになってしまう。
俺の可愛い恋人は、会社では〝出来る女風〟なのに、ふとした時に顔を出す〝本性〟が何ともギャップ萌えで、俺は正直メロメロなのだ。
血相を変えて走り寄る俺に、羽理が「ぎゃー、や、くみの部長っ! お願い! 平社員がずっこけたのなんて、スルーして下さい!」と、わけの分からないことを言って逃げ出してしまう。
「いや、それだと俺、すっげぇ人でなしだろーが! ……っていうか何故逃げる!」
もっともらしい理由をでっち上げながら、心の中で『少しは心配させろ!』と本音を叫びつつ追いかければ、またしても羽理が俺の手が届かない距離で「ふぎゃっ!」と愛くるしい悲鳴とともにつんのめって、前のめりにビタン!とすっ転んだ。
そのすきに今度こそ羽理のそばまで近付いた俺は、鼻を押さえて涙目になった羽理を否応なく横抱きに抱え上げた。
「やだっ! 大葉! 会社でこんなっ! ダメですっ!」
「とか言いながらお前、俺の呼び名が役職名じゃなくなってるぞ?」
ククッと笑いながら指摘したら、いまさらのように真っ赤になって照れるとか。
可愛すぎか!
「ま、とりあえずこのまま医務室な?」
「だとしても自分で歩けます!」
「二度も転んだのに?」
「ぐぬぬっ!」
そんな漫画の中の擬音みたいなの、口に出すやつ、初めて見たぞ?
荒木羽理と言う女性は、会社ではキリリとした、仕事が出来る部類の一目置かれる存在だ。だが俺の前ではどこか抜けたところのある、年下の憎めない女性でしかない。
「本当かわいいな、羽理」
「はわわっ」
俺の言動にいちいち振り回されて、真っ赤になる羽理が愛しくてたまらない。
「俺はお前のそう言うところが死ぬほど好きだ。俺の前ではそのままのお前でいろ」
そう口にしたと同時、
「あれっ? 屋久蓑部長……? あ! ひょっとして腕の中にいるのは荒木先輩じゃないですか!?」
営業先から戻ってきたばかりの、油断のならないワンコ系社員――五代懇乃介に声をかけられて、俺は思わず舌打ちをする。
そうしてすぐさま自分の腕の中の羽理に、彼女だけに聞こえるくらいの声音で囁かずにはいられない。
「デレるな。ビシッとしろ」
「え!?」
すまんな、言ってること、無茶苦茶だと俺だって自覚してる。
けど、仕方ねぇだろ?
お前の抜けてて可愛いところは、俺だけのヒミツにしたいんだから。
他の男には絶対見せるな!
END(2024/11/07)
【作品紹介】
会社で羽理が転んだところを見かけた大葉は、即座に駆け寄ったのだが。
自分の前でくらい〝ありのままの羽理〟でいて欲しい。でも…!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
「ひゃう!」
会社の廊下の数メートル先。何にもつまずくものなんてなかったのに、靴裏がキュッ!となって突っかかってしまったのだろうか。羽理がつんのめって転んでしまった。
すぐさま起き上がって恥ずかしそうに目撃者の有無を確認するみたいにキョロキョロする姿を見て、怪我はなさそうだとホッとしつつも、俺は我慢できずに「大丈夫か!?」と声をかけながら走り寄った。
(それにしても……悲鳴、可愛すぎだろ!)
心底転んだ羽理のことを心配している。だが、転んだ瞬間に彼女の口から飛び出した「ひゃう!」という愛らしい悲鳴が頭の中を何度も何度も去来してはニヤけそうになってしまう。
俺の可愛い恋人は、会社では〝出来る女風〟なのに、ふとした時に顔を出す〝本性〟が何ともギャップ萌えで、俺は正直メロメロなのだ。
血相を変えて走り寄る俺に、羽理が「ぎゃー、や、くみの部長っ! お願い! 平社員がずっこけたのなんて、スルーして下さい!」と、わけの分からないことを言って逃げ出してしまう。
「いや、それだと俺、すっげぇ人でなしだろーが! ……っていうか何故逃げる!」
もっともらしい理由をでっち上げながら、心の中で『少しは心配させろ!』と本音を叫びつつ追いかければ、またしても羽理が俺の手が届かない距離で「ふぎゃっ!」と愛くるしい悲鳴とともにつんのめって、前のめりにビタン!とすっ転んだ。
そのすきに今度こそ羽理のそばまで近付いた俺は、鼻を押さえて涙目になった羽理を否応なく横抱きに抱え上げた。
「やだっ! 大葉! 会社でこんなっ! ダメですっ!」
「とか言いながらお前、俺の呼び名が役職名じゃなくなってるぞ?」
ククッと笑いながら指摘したら、いまさらのように真っ赤になって照れるとか。
可愛すぎか!
「ま、とりあえずこのまま医務室な?」
「だとしても自分で歩けます!」
「二度も転んだのに?」
「ぐぬぬっ!」
そんな漫画の中の擬音みたいなの、口に出すやつ、初めて見たぞ?
荒木羽理と言う女性は、会社ではキリリとした、仕事が出来る部類の一目置かれる存在だ。だが俺の前ではどこか抜けたところのある、年下の憎めない女性でしかない。
「本当かわいいな、羽理」
「はわわっ」
俺の言動にいちいち振り回されて、真っ赤になる羽理が愛しくてたまらない。
「俺はお前のそう言うところが死ぬほど好きだ。俺の前ではそのままのお前でいろ」
そう口にしたと同時、
「あれっ? 屋久蓑部長……? あ! ひょっとして腕の中にいるのは荒木先輩じゃないですか!?」
営業先から戻ってきたばかりの、油断のならないワンコ系社員――五代懇乃介に声をかけられて、俺は思わず舌打ちをする。
そうしてすぐさま自分の腕の中の羽理に、彼女だけに聞こえるくらいの声音で囁かずにはいられない。
「デレるな。ビシッとしろ」
「え!?」
すまんな、言ってること、無茶苦茶だと俺だって自覚してる。
けど、仕方ねぇだろ?
お前の抜けてて可愛いところは、俺だけのヒミツにしたいんだから。
他の男には絶対見せるな!
END(2024/11/07)
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