スキかキライかしかえらべません!

鷹槻れん

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14.まきまきの公園で/written by 市瀬雪

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 そう聞いていた上、ちょうど出勤時刻を遅くに設定していた俺は、様子見がてら実家に立ち寄っていた。そして母親の用意したお茶とお菓子を前に、目眩がするように頭を押さえていた。

「……ということでね。できれば是非お呼びしたいところなんだけど、実はその萌々ももちゃんのお父さまからは遠慮しますと言われてしまって……」

 ということってなんだよ……。

「……だから萌々を?」
「いいと思わない?」

 いいと思う。
 って、俺が言うと思うのか。

 俺は緩く首を振りながら、密やかに息をつく。
 そんな俺の反応に構わず、母親は更ににこにこと続けた。

正臣まさおみさんはもちろんOKなのよ。和臣かずおみだってお母さんたちに任せるって言ってくれたし」

 和臣……。
 兄貴の名前、久々に聞いたな。
 ……いや、今はそんなことどうでもいいんだけど。

「だけどね。このまま普通にご招待しても……萌々ちゃん、来てくれない気がして。ほら、お父さまが断ったのに、っていうこともあるし。だから、先にあなたから話してみてほしいのよ。どうしても、是非とも出席してほしいって」

 そうつらつらと言葉を並べた母さんは、最後に「ということで、お願いね」とそこだけ妙に威圧的に、念を押すように言って俺のカップに落としたばかりのコーヒーを注いだ。

(いや、お願いねって言われても……)

 俺は次第に収まっていくチョコレート色の波紋を見つめながら、はぁ……と隠す気のない溜息をつく。それでも目の前の母親は、ただにっこりと微笑んでいただけだったけれど――。


***

 萌々ももの連絡先は知っている。
 いつだったか、萌々に交換させられたのだ。
 理由はなんだったか……何かの写真を送るとかなんとかだったっけ?

 はっきり覚えていないけれど、とにかくまぁそんなわけで、そこからメッセージアプリを繋ぐこともでき、今に至る。
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