スキかキライかしかえらべません!

鷹槻れん

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18.気持ちの方向/written by 市瀬 雪

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 ……多分、みんなそれぞれ目当ての相手がその中にいるからだろう。

 林田さんは僕。楓馬ふうまは林田さん(普段の接し方を見てれば分かる)。
 僕は当然萌々ももちゃん。そして萌々ちゃんは……僕。だと思っているんだけど、よく考えたらあれからその話をちゃんとする機会は得られていなかった。

「ねぇ、萌々ちゃん。林田さんから……話、聞いた?」

 だからその日の帰り、僕は思いきって切り出してみることにした。

 はっきり言って、萌々ちゃんは恋愛には疎そうな印象がある。 
 高校の時だって、彼氏ができたことはなかったはずだ。
 まぁ、その頃の同級生は、どちらかと言うと林田さんみたいなタイプを好む傾向もあったしね。……僕は萌々ちゃん一筋だったけど。

「え……えっと」
「……聞いたんだ?」

 駅へと続く歩道を並んで歩く先には、林田さんと楓馬の姿がある。
 最近特に楓馬は林田さんに優しくて、林田さんもそれを厭っているようには見えなかった。
 そのことにほっとしてしまう自分に少しばかりの罪悪感を抱きながら、それでもこのまま二人が上手くいいくよう応援したいと思う気持ちも嘘じゃなかった。

「僕、ちゃんと話したから。好きな人がいるってところまで」
「うん……それは、聞いた……」
「名前ははっきり言ってないけど……でも、この4人の中にいるとは言ったから。まぁ言ったも同じだよね」

 内容のわりに、どこか淡々とした会話を続けながら、僕は少しだけ俯きがちに歩く萌々ももちゃんを横目に垣間見る。
 その表情は、顔にかかる髪に隠れてよく見えない。もしかしたらまだしっかり切り替えられていないのかもしれない。
 思ったものの、今日こそはという気でいた僕はそのまま続けようとした。

「だから、これからは――」
「ご、ごめん。それ、なんだけど……」
「ん?」

 だけど、それを一旦萌々ちゃんに止められる。
 そのどこか惑うような声に、思わず嫌な予感がよぎったけれど、

「えっちゃん……勘違いしてるかも」
「え?」

 そう聞いたとたん、僕の思考は一瞬固まった。

 思いがけず大きな声を上げてしまったけれど、幸い、前の二人には聞こえなかったようだ。向こうは向こうで話が弾んでいるらしい。

 僕は内心ほっと息をつき、それから改めて萌々ちゃんを見た。今度は少し声を落として。

「どういうこと?」
「うん……それが……」
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