【完結】【R18】キス先② 大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!

鷹槻れん

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2.同窓会

それって結構いるってことだろ?

 連絡先に入っているのは、未だに修太郎しゅうたろう、両親、義父母、修太郎の弟で元許嫁もといいなずけ健二けんじとその恋人の佳穂かほ、修太郎の腹違いの妹たちである百合子ゆりこ籐子とうこ。そうして幼馴染みの葵咲きさきと、市役所で働いた際お世話になった中本さんの11人だけ。あとはお互いの実家の固定電話くらいで。

 ずっと増えなかった電話帳に新しい連絡先が増えるのをちょっぴりくすぐったく感じた日織ひおりだ。

 でも――。


「あ、あのっ」

 久々すぎて、自分の番号の呼び出し方も、相手の番号の登録の仕方も分からなくてドギマギしてしまう。

「ああ、お前もiPhoneか。触ってもいい?」

 聞かれて、ふと見ると、羽住はすみが手にしているのも同じリンゴマークのスマートフォンで。
 日織のと、大きさとデザインこそ微妙に違えど、きっと使い方はほぼ一緒なんだろう。

「お願いします」

 ソワソワしながらロックを解除して羽住はすみに携帯を差し出すと、ササッと操作されて、あっという間に電話帳に「羽住はすみ十升みつたか 080-xxxx-xxxx」という新たな連絡先が追加された。

「藤原の番号も、もらったから」

 羽住はすみのスマートフォンの画面に「藤原ふじわら日織ひおり」の文字を見つけて、小さくうなずいてから、日織は「あっ!」と思う。

「私、もう藤原ではないのですっ。塚田つかだ日織なのですっ」

 言ったら、「塚田とか言われてもピンとこねぇんだよ。そっちで登録しちまったら、電話帳から呼び出すのに名前思い出せなくて苦労すんだろ」と眉根を寄せられる。

「……でもっ」

 それでも「藤原」と登録されてしまうと、修太郎とのご縁を否定されているみたいに思えて、日織は落ち着かないのだ。

「分かったよ。じゃ、これでいいだろ?」

 溜め息とともに差し出された画面には「日織」とだけ記されていて。

「下の名前は結婚しようがすまいが変わんねぇだろ? な? 日織!」

 とか。

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ。勝手に呼びかた変えないでくださいっ」

 言っても、聞く耳持たずと言った調子で、「藤原って呼ばれんのは嫌なんだろ? で、俺は塚田って呼びたくねぇ。だったら譲歩して日織って呼ぶしかねぇじゃねぇか」と、もっともらしく言われてしまう。

「でも、ダメなのですっ。私を下の名前で呼んでもいいのは修太郎さんとお父様とお母様と……幼馴染みのききちゃんと健二さんと……健二さんの許嫁いいなずけ佳穂かほさんと……修太郎さんの妹さんたちとご両親と……それからそれから」


「ん? それって結構いるってことだろ? じゃ、問題ねぇじゃん」


 一生懸命言い募ったら逆にニヤリとされて、結局、羽住はすみから「日織」と呼ばれることは決定事項になってしまった――。
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