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9.佳穂とカフェで
ボンキュッボン
「で、結局認めちゃったって言うの?」
はぁ~っと目の前で盛大な吐息を落とされて、「溜め息をつきたいのは僕の方なんだけどね」と思った修太郎だ。
目の前には元許嫁の――というかすぐ下の弟健二の幼なじみで妻の――神崎(旧姓四谷)佳穂が居た。
たまたま入った、神崎の実家近くの喫茶店で偶然出会ったのだ。
「今日は健二と一緒じゃないのか?」
「そっちこそ愛しの日織ちゃんはどうしたのよ」
そんな腹の探り合いみたいな言葉から始まった会話は、いつしか日織のバイトの話に及んでいて。
「何であと数ヶ月で結婚式って時になってバイトなんか」
式の打ち合わせだけでも結構大変な時期でしょ、と至極マトモな感想を漏らす佳穂に、そういえば目の前の彼女も、半年ちょっと前に挙式を済ませたばかりだったな、と思い至った修太郎だ。
「佳穂、結婚式の打ち合わせは楽しかったか?」
少なくとも日織は式の打ち合わせのたび、修太郎の横でキラキラした目をして、担当プランナーの瀬戸さんと嬉しそうに話しているように見える。
ウェディングドレスへの憧れはもちろんあるけれど、修太郎さんの和装が見たいから神社での和婚にしましょう?と言ってきた日織だ。
別に義理立てする必要はないと思うのに、修太郎の父親である神崎天馬が、出来れば和装で格式ある式をして欲しいと打診してきていて。
日織はそれを忖度しているように思えて、修太郎は少し気になっている。
「佳穂たちは着物、着なかったよな?」
天馬の長男は修太郎だが、実質神崎家の跡目は弟の健二なのだ。
修太郎は、天馬と離縁された実母、絢乃の姓である塚田を名乗ることにしたときに、神崎家の跡取りという重荷も捨てた。
父親の後妻との間に生まれた九つ違いの弟・健二に全てを押し付けてしまったという負い目もあるにはあるが、健二と佳穂が叶えなかった夢を今更自分と日織が背負わされるのは納得がいかないとも思っている。
「だって私、ウェディングドレスに憧れが強かったんだもの。それに――」
そこまで言って意味深に口の端に笑みを浮かべると、佳穂がちょいちょいっと修太郎に近付いてくるよう促してくる。
人に聞かれてはまずい話かと顔を寄せた修太郎に、やや低めた声音で佳穂が言った。
「ボンキュッボンのナイスバディーな私には和装、似合いそうになかったんだもの」
わざと日頃使わないような言葉を織り混ぜて、クスッと悪戯っぽく笑った佳穂に、和装を誉められまくっている日織の体型がそうではないと言われたように感じた修太郎は、ムスッとして冷ややかに言い放つ。
「何をバカなことを。僕の妻の方が、佳穂よりは数倍魅力的だと思うけどね?」
それでも、佳穂に負けず劣らずのボンキュッボンだ、とは言えなかった修太郎だ。
悔しいかな、佳穂は彼女が自称するように胸が大きくてメリハリのあるモデル体型だったから。
そこは日織に対して、心の中で「すみません」と謝りつつ、修太郎はあの大き過ぎない、小ぶりな日織の胸が好きなのだとひとりにやけそうになる。
何度抱いても日織の身体は魅力的で、決して飽きがこない。
きっとそれは胸の大きさとかお尻の大きさとか……そういう質感的なものとは別次元の話なのだ。
はぁ~っと目の前で盛大な吐息を落とされて、「溜め息をつきたいのは僕の方なんだけどね」と思った修太郎だ。
目の前には元許嫁の――というかすぐ下の弟健二の幼なじみで妻の――神崎(旧姓四谷)佳穂が居た。
たまたま入った、神崎の実家近くの喫茶店で偶然出会ったのだ。
「今日は健二と一緒じゃないのか?」
「そっちこそ愛しの日織ちゃんはどうしたのよ」
そんな腹の探り合いみたいな言葉から始まった会話は、いつしか日織のバイトの話に及んでいて。
「何であと数ヶ月で結婚式って時になってバイトなんか」
式の打ち合わせだけでも結構大変な時期でしょ、と至極マトモな感想を漏らす佳穂に、そういえば目の前の彼女も、半年ちょっと前に挙式を済ませたばかりだったな、と思い至った修太郎だ。
「佳穂、結婚式の打ち合わせは楽しかったか?」
少なくとも日織は式の打ち合わせのたび、修太郎の横でキラキラした目をして、担当プランナーの瀬戸さんと嬉しそうに話しているように見える。
ウェディングドレスへの憧れはもちろんあるけれど、修太郎さんの和装が見たいから神社での和婚にしましょう?と言ってきた日織だ。
別に義理立てする必要はないと思うのに、修太郎の父親である神崎天馬が、出来れば和装で格式ある式をして欲しいと打診してきていて。
日織はそれを忖度しているように思えて、修太郎は少し気になっている。
「佳穂たちは着物、着なかったよな?」
天馬の長男は修太郎だが、実質神崎家の跡目は弟の健二なのだ。
修太郎は、天馬と離縁された実母、絢乃の姓である塚田を名乗ることにしたときに、神崎家の跡取りという重荷も捨てた。
父親の後妻との間に生まれた九つ違いの弟・健二に全てを押し付けてしまったという負い目もあるにはあるが、健二と佳穂が叶えなかった夢を今更自分と日織が背負わされるのは納得がいかないとも思っている。
「だって私、ウェディングドレスに憧れが強かったんだもの。それに――」
そこまで言って意味深に口の端に笑みを浮かべると、佳穂がちょいちょいっと修太郎に近付いてくるよう促してくる。
人に聞かれてはまずい話かと顔を寄せた修太郎に、やや低めた声音で佳穂が言った。
「ボンキュッボンのナイスバディーな私には和装、似合いそうになかったんだもの」
わざと日頃使わないような言葉を織り混ぜて、クスッと悪戯っぽく笑った佳穂に、和装を誉められまくっている日織の体型がそうではないと言われたように感じた修太郎は、ムスッとして冷ややかに言い放つ。
「何をバカなことを。僕の妻の方が、佳穂よりは数倍魅力的だと思うけどね?」
それでも、佳穂に負けず劣らずのボンキュッボンだ、とは言えなかった修太郎だ。
悔しいかな、佳穂は彼女が自称するように胸が大きくてメリハリのあるモデル体型だったから。
そこは日織に対して、心の中で「すみません」と謝りつつ、修太郎はあの大き過ぎない、小ぶりな日織の胸が好きなのだとひとりにやけそうになる。
何度抱いても日織の身体は魅力的で、決して飽きがこない。
きっとそれは胸の大きさとかお尻の大きさとか……そういう質感的なものとは別次元の話なのだ。
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