愛の照明

長井瑞希

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「本当は結束バンドのほうが効果があるらしいんだけどね? やっぱり雰囲気も大切かなって思って手錠にしてみたの」

「うん」

「でも、安い手錠は鍵がなくても外せるらしいの。でもそれって雰囲気的には台無しじゃない? やっぱりガチャガチャって鎖の音を鳴らしながらあがくのが風情というか」

「まぁわからなくもない」

「だから日本の警察で使われてる手錠を買ったの」

「……うん?」

 そういう手錠って一般人が買えるものなの? いや手錠にそういうも何もないと思うんだけどさ。

「それに百円で売ってるやつはピンクのもこもこがついてたりしてださかったし」

「あ、それは僕も見たことあるなぁ」

 作りもちゃちくて女子高生の戯れでしか使わないようなデザインだったと思う。いや手錠で遊ぶ女子高生って割と世紀末なんかじゃないかと思うんだけどね。

「で、これから何をするのかなんだけどさ」

「そう、それを聞きたかったんだよね」

「サプラーイズ、まだ秘密。というか準備に時間がかかるんだよね」

「……え、もしかして準備できるまで僕拘束されたまま?」

「そうだが?」

 いや何当たり前だけど? って顔でこっちをのぞき込んでるのさ、顔がきれいだなあ!

「でも私も鬼じゃないからね、退屈しないようにあるものを用意したよ?」

「へぇ」

 さっきまでの言動は普通に鬼だったけどね。

「じゃじゃーん、ム〇デ人間のVRバージョン! 今闇市場で大人気の逸品だよ!」

「……え?」

 およそ後世に残してはいけない作品が、どうしてVRなんてものに……?

「もしかしたらム〇デ人間が本当の愛かもしれないと思って、VRを探したらなかなか見つからなくてね……」

「でしょうね」

「でも実物を見ないと愛かどうかは判断できないでしょ? だから自作しました」

「…………は? このおぞましいものを作ったの?」

「うん。だから今市場にあふれてるのは私が作ったデータのコピー。なんか連邦警察が動いてるとかいないとか聞いたけど……まぁ気のせいよ」

 まぁ見た人間が発狂する危険性をはらんでいるからね、さもありなんって感じだ。

「それじゃあとりあえず、90分後の世界までごきげんよう」

 有無を言わさず僕はヘッドホンとVR装置を付けられ、強制的にム〇デ人間の世界へと旅立ったのだった。

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