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10。異世界転移のススメ
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「大・正・解♪ さっすがシーナ、理解が早くて助かるよ!」
「いや、大正解じゃなくてね……それ、行ったはいいけど帰れないとかじゃないの?」
異世界転移の物語はここでも人気の読み物だけど、だいたい帰りたいのに帰れなくて苦労するっていうのが王道パターンだ。
私はしばらくの間家出をしたいだけで、なにもこのまま出奔したいわけじゃない。
「そうなんだよね~、だからお勧めしないとは言ったんだけど。でもよく考えたら、このままこの世界にいてもシーナ、死んじゃうかもだし?」
「ーーへ?」
なに、今の聞き捨てならないセリフ?!
「ユリウス説明!」
「あーはいはい、ちゃんとするって」
結局ユリウスの説明によると。
溜め込んだ魔力が過剰になり、それが滞ると遂には毒のようなものとなり、そのまま放置すれば身体を壊してしまうということだった。
ただそれがいつ起きるのか、起きたとしてそれが数日寝込むだけで済むのか、それとも死んでしまうほど重症化するのかーー等々は、なってみないと分からないという。
「今みたいに定期的に魔力譲渡ができていればもうしばらく保ちそうだけど。まあそれ以前に魔力が飽和している状態でうっかり上級魔法でも暴発させたら、周りを壊滅させるのはもちろんシーナ自身も無事じゃ済まないからね。どっちが早いかって感じ?」
「……それ、私にこのまま残るって選択肢ないんじゃ……」
「でもそれが来年になるか十年後になるか、それか何も起こらずに寿命を全うできるかって、ボクにもわからないからねー。そんな不確かなことを理由に転移させるのも酷だから、しばらく様子見るつもりだったの。あ、手遅れになる前には強制的にでも転移させるつもりだったよ?」
友達見殺しにしたら寝覚めが悪いからね~とにっこり笑われたけど、ちょっとこれ、人生を左右する一大決心を迫られちゃってるような?
あれ、私、そんなつもりで家出したわけじゃないんだけど……しかもお願い聞いてもらうために軽く脅したつもりが、逆に今脅されてる気がするんだけど……あれれ?
どうしようーーえっと、まずは落ち着いて。深呼吸、深呼吸。
とりあえず、もう少し情報収集しとかないと。
「……そもそも転移自体は安全なの?」
「それは任せて! ボクが責任持って送ってあげるから!」
「あとは……やっぱり、一度転移したら戻ってこれないの? ユリウスに頼んでも?」
「うーん、不可能ではないけど、難しいかな。ボクがシーナの転移先に行ってからこの世界に向かって送るのはできるんだけど、それだと確実に同じ時代に戻せるかは自信ない」
つまり戻ったはいいけど百年後、ってこともあり得るのか。それは嫌だなぁ……。
「あ、でも。ボクがこの時代のこの世界に居れば、シーナを受け取るのはできるよ!」
「受け取る?」
「ボクが座標になって、シーナをボクに向かって送ってもらうの。そうすればピンポイントで戻せるから」
「難しいけど、ユリウスが目印になるってこと? でもそれだと誰に送ってもらえばいいの?」
「行った先の世界の神様だね。神様はどこの世界にも最低一柱はいるから、向こうで探して仲良くなってしまえばいいよ!」
「……ユリウス、自分が無茶を言ってるって自覚ある……?」
「大丈夫だって! シーナならイケるイケる♪」
そんな『向こうでちょっとナンパしてきて』みたいに簡単に言わないで欲しいんだけど?!
ユリウスとだって仲良くなる前には一悶着あったって言うのに……
そう文句を言えば、ユリウスが意地悪な顔をしながら小首を傾げた。
「だったら、この先一生魔法使うの我慢する? それなら少なくとも周りは巻き込まないけど」
「あ、それは無理です」
そんなことができる人間はラミレス家には一人もいない。
三度の飯より、睡眠より。下手すれば仕事や人間関係よりも魔法を選ぶのがこの一族だ。
そこの魔術師にとって、『魔法を使わない』は死刑宣告に等しい。
「分かった……家出先、異世界にする。転移させてユリウス」
私だってまだ死にたくないし、周りを巻き込んでの自爆なんてもってのほか。
何より魔法を使えない人生なんて耐えられない。
だったら、異世界でもどこでも行ってやるんだから‼︎
「いや、大正解じゃなくてね……それ、行ったはいいけど帰れないとかじゃないの?」
異世界転移の物語はここでも人気の読み物だけど、だいたい帰りたいのに帰れなくて苦労するっていうのが王道パターンだ。
私はしばらくの間家出をしたいだけで、なにもこのまま出奔したいわけじゃない。
「そうなんだよね~、だからお勧めしないとは言ったんだけど。でもよく考えたら、このままこの世界にいてもシーナ、死んじゃうかもだし?」
「ーーへ?」
なに、今の聞き捨てならないセリフ?!
「ユリウス説明!」
「あーはいはい、ちゃんとするって」
結局ユリウスの説明によると。
溜め込んだ魔力が過剰になり、それが滞ると遂には毒のようなものとなり、そのまま放置すれば身体を壊してしまうということだった。
ただそれがいつ起きるのか、起きたとしてそれが数日寝込むだけで済むのか、それとも死んでしまうほど重症化するのかーー等々は、なってみないと分からないという。
「今みたいに定期的に魔力譲渡ができていればもうしばらく保ちそうだけど。まあそれ以前に魔力が飽和している状態でうっかり上級魔法でも暴発させたら、周りを壊滅させるのはもちろんシーナ自身も無事じゃ済まないからね。どっちが早いかって感じ?」
「……それ、私にこのまま残るって選択肢ないんじゃ……」
「でもそれが来年になるか十年後になるか、それか何も起こらずに寿命を全うできるかって、ボクにもわからないからねー。そんな不確かなことを理由に転移させるのも酷だから、しばらく様子見るつもりだったの。あ、手遅れになる前には強制的にでも転移させるつもりだったよ?」
友達見殺しにしたら寝覚めが悪いからね~とにっこり笑われたけど、ちょっとこれ、人生を左右する一大決心を迫られちゃってるような?
あれ、私、そんなつもりで家出したわけじゃないんだけど……しかもお願い聞いてもらうために軽く脅したつもりが、逆に今脅されてる気がするんだけど……あれれ?
どうしようーーえっと、まずは落ち着いて。深呼吸、深呼吸。
とりあえず、もう少し情報収集しとかないと。
「……そもそも転移自体は安全なの?」
「それは任せて! ボクが責任持って送ってあげるから!」
「あとは……やっぱり、一度転移したら戻ってこれないの? ユリウスに頼んでも?」
「うーん、不可能ではないけど、難しいかな。ボクがシーナの転移先に行ってからこの世界に向かって送るのはできるんだけど、それだと確実に同じ時代に戻せるかは自信ない」
つまり戻ったはいいけど百年後、ってこともあり得るのか。それは嫌だなぁ……。
「あ、でも。ボクがこの時代のこの世界に居れば、シーナを受け取るのはできるよ!」
「受け取る?」
「ボクが座標になって、シーナをボクに向かって送ってもらうの。そうすればピンポイントで戻せるから」
「難しいけど、ユリウスが目印になるってこと? でもそれだと誰に送ってもらえばいいの?」
「行った先の世界の神様だね。神様はどこの世界にも最低一柱はいるから、向こうで探して仲良くなってしまえばいいよ!」
「……ユリウス、自分が無茶を言ってるって自覚ある……?」
「大丈夫だって! シーナならイケるイケる♪」
そんな『向こうでちょっとナンパしてきて』みたいに簡単に言わないで欲しいんだけど?!
ユリウスとだって仲良くなる前には一悶着あったって言うのに……
そう文句を言えば、ユリウスが意地悪な顔をしながら小首を傾げた。
「だったら、この先一生魔法使うの我慢する? それなら少なくとも周りは巻き込まないけど」
「あ、それは無理です」
そんなことができる人間はラミレス家には一人もいない。
三度の飯より、睡眠より。下手すれば仕事や人間関係よりも魔法を選ぶのがこの一族だ。
そこの魔術師にとって、『魔法を使わない』は死刑宣告に等しい。
「分かった……家出先、異世界にする。転移させてユリウス」
私だってまだ死にたくないし、周りを巻き込んでの自爆なんてもってのほか。
何より魔法を使えない人生なんて耐えられない。
だったら、異世界でもどこでも行ってやるんだから‼︎
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