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1章

5。迷い子と呼ばれました

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「え、ウッソ?!こいつ『迷い子』なの?!」
今度は赤猫お兄さんが、距離を詰めて顔を覗き込んできた。


ちっ、近い。距離感おかしい。おでこくっつきそう。


「マジで?オレ初めて見たよ!」
「本当にいたんですね。こんなとこで拾うなんて……」

と猫耳二人はびっくりしたまん丸おめめで大興奮。
嬉しそうに目をキラキラ、ギラギラさせている。

ーー本当にいたって、人を天然記念物か何かのように言わなくても。
そりゃこんな大きな迷子は珍しいかもしれないけど。


とりあえず今すぐ移動って雰囲気じゃなくなったので、一旦地面に下ろしてもらえた。

慌てて距離を取って、深呼吸をする。
すってー、はいてー。すってー、はいてー。

よし、落ち着いた。平常心、平常心。

もう一回、二人と話をしてみよう。きっと何か勘違いをしているんだろう。


「あの……迷子になったって、先にもう言いましたよね」

少なくとも、内容として同じ事はすでに伝えたはず。

「迷子じゃなくて、『迷い子まよいご』な」
「『惑い子まどいご』とも言いますね」

それぞれ訂正してくる二人。

「だから、迷子のことでしょ」

ちゃんと自覚しているから、何度も言わないでほしい。
自分でも恥ずかしいとは思っているんだから。

「迷子と『迷い子』は別モノです。迷子は普通に道が分からなくなったり、親からはぐれたりしている子供のことでしょう」
「『迷い子』ってのは、別の世界から迷い込んでくる子供のこと。オマエは『迷い子』の方だろ」


ーーはい?

別の世界、ですと?


…………。

……えー。さすがにそれは設定盛りすぎじゃない?

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