【本編完結】森で遭難しかけたら獣とおかしな人達に囲まれました 〜飼い猫が私を逃してくれません!〜

夕木アリス

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1章

29。年の差夫婦はラブラブのようです

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「たっだいまぁ~~リュウーー?どこぉーー?」

大事なご主人様のお出迎えはどうしたのよ!とぷりぷり怒りながら、マヤさんがドアを開けて中を見回す。
不動産屋の入り口には『close』の看板が掛かったままで、店内には人気がなかった。

「もうっ、店は閉めたまんまだし、お出迎えもなしなんて!リュウったら、今晩覚悟してなさいよ!」

ーー今晩リュウのおじ様が何を覚悟しないといけないのか。
とっても気になるけど、ここは聞かないでおく。夫婦の問題に立ち入るのはNGだ。地雷かもしれない話題は避けるに限る。

ひとまず近くのテーブルにおみやげを置かせてもらって、二人で椅子に座る。

「悪い、ちょっと上に行ってた」
しばらくすると、とんとんとんと軽い音がして、おじ様が奥のドアから出てきた。
手には書類の束を持っている。

「遅いっ!なんで店の方に居ないのよ!」
「アイツらの相手を上でしながら、賃貸契約の説明と書類の記入。ちゃんと仕事はしてた」

あらそう、なら良いわと言いながらマヤさんは椅子から立ち上がり、腕を広げながら仁王立ちしている。

おじ様が「…どうした?」と聞くと

「飼い主のご帰還には尻尾を振って飛びつく、ってのがセオリーでしょう?待ってるんだから早くしなさいよ!」
「ーー知るかっ!てか知っててもやる訳あるか!」

……落ち着いた印象のおじ様が絶叫した……。
びっくりだわ。目元もほんのり赤いような?

「ケチねぇ~。お帰りなさいのハグは、例え人前だとしても外せない要素なのよ?」

おじ様が頭を押さえて「人前って自覚があるなら自重してくれ……」と呻いている。

多分、人が居なければ普通にハグしてるのよね。ラブラブなご夫婦で羨ましいわ。


ーーそれにしてもマヤさんとリュウのおじ様、随分な年の差カップルよね?
おじ様は五十代に見えるし、マヤさんは多分お姉ちゃんと同じくらい。二十代後半に見える。

親子って言われた方がしっくりくるわね……かたや犬だけど。

私の世界だと驚かれるような年の差でも、この世界では普通なのかもしれない。

それより何より本人達がこんなに仲良さそうに笑ったり甘えたりできているなら、外野がどうこう言うもんじゃないと思う。


ちょっと嫌がっているおじ様には悪いが、仲良し夫婦のジャレ合いって良いわよね、とほっこり鑑賞させていただいたのだった。

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感想 8

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