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2章
20。飼い猫に回収されました
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「フィア~、たっだいまー!」
「遅くなりました、すみません」
背後からそれぞれ絡みついて、動きを封じてくる腕が四本。
「マゼンタ、シアン。おかえりなさい。…苦しい上に鬱陶しいから離れてくれない?」
だから人前でくっつくのはやめて頂戴。いや、人前でなくても遠慮したいのだけど。
「ちょっ、酷っ!第一声がそれ?!」
「半日振りの再会なんですから、もう少し喜んでくださいよ」
「いやいや、どう喜べって言うのよ…」
「お帰りなさいのキスは?」
「誰がするか!」
うっ、思わず全力で言い返してしまってふらふらする……。
お砂糖食べただけだと応急処置にしかなってないわ。クレイの言う通り、ちゃんとご飯食べないと。
「ーーコイツら誰。お前のネコなの?」
それまで黙ってたクレイが心底呆れたような顔でツッコミを入れた。
うん、ごめん。放置して会話しちゃって。
「あん?そーゆーオマエこそ誰だよ?」
「ボクは城の書庫番。次はそっちが質問に答えて」
「…僕達は彼女の飼い猫ですよ。それで、書庫番の方がなんで彼女といるんです?」
「シアン、違うの。私が書庫の閉館時間まで居座っちゃって」
だからクレイは何も悪くないわと言えば、二匹がさらに不機嫌になった。
「クレイさん、とおっしゃるのですね。それで、どうしてソフィーと連れだって歩いていらっしゃるのですか?」
「…メイドがいなかったから、食堂まで案内しようとしただけ」
「なら、オレらが道知ってるから。手間掛けたな?」
「……そう。じゃあさっさとソイツ回収してってくれる?」
そう言って、クレイはそのまま書庫の方に戻っていく。
「クレイ戻っちゃうの?あなたもご飯食べに行くって話だったんじゃ…」
「休憩室にカップ出しっぱにしてたから。その片付け」
クレイはさっさと戻って鍵を回し、開けた扉に体を滑り込ませた。
「じゃ、また今度。…次は倒れないようにね?」
扉が閉まる寸前、そんな言葉を残して。
ああぁ…言っちゃった。そんな置き土産を残さなくてもいいでしょうに。
今の聞かれてないーーワケないわよね。
「ソフィー…まさか倒れたんですか」
「えっ、と。今のはクレイの言葉の綾というか。ーー倒れてはいないわよ?」
倒れかけはしたけど、あれは未遂だもの。
「ひょっとして倒れてなくても、倒れかけたって事じゃねーの?」
あ、マゼンタが妙に鋭い。そんな勘の良さを今発揮してほしくなかったわ…。
「ちょっと糖分が不足しただけっていうか…その、ちゃんとご飯食べたら大丈夫だから!」
「…つまり、碌に食事を摂ってなくて、倒れかけたと」
「うっ…ハイ……」
「マジかよ。フィア何やってんの……」
飼い猫二匹にジットリとした視線を向けられる。…ううっ、居た堪れない…。
「あの…今回のことは私が全面的に悪かったってことで、後で反省もたっぷりするからーーとりあえず、ご飯食べに行ってもいい?」
「ーーはあ。まあソッチが優先ですね」
「…だな。飯が遅れてまた倒れかけるとかマズいし」
さっさと食堂行くか、と言われて心底ホッとする。
再び歩き出そうとして、邪魔をしていた二匹の腕を剥がそうと手を掛けたがーーあれ、全然動かない?
それどころか逆に顔を近づけてきて、首の後ろにどちらのものとも判らない息が掛かる。
ちょっ!首のとこでスンスンとニオイを嗅ぐの、ほんとヤメて…!恥ずかしすぎるから‼︎
「なーんか、オレら以外の獣のニオイがする…ひょっとして、さっきのウサギ?」
「…本当ですね、いつの間にマーキングされてるんです?全く油断も隙もない」
ちょっとさっきのウサギ、シメてきますね……ってストップストップ!シアン目が怖い!
「さっき、倒れかけた時に支えてもらっただけだから!不可抗力だから、クレイに何かするのはヤメて!」
シアンがシメるって言うと、お肉として〆る方に聞こえるから!それ洒落にならないから!
「そ、それより食堂!早く食堂行こう!」
「そうでしたね、じゃあマゼンタはソフィーを一刻も早く食堂に案内してください。僕は後で合流するので…」
「さ、三人!三人で一緒に行ってご飯食べたいな!」
こんなところに私のせいでウサギの屠殺体ができるとか、真剣に嫌だ…!
シアンの手をキュッと握って、必死になってお願いする。
やってる自分が精神的にダメージをくらうが、上目遣いも忘れない。
ここはなんとしても止めなくては…!
「ソフィー…仕方ないヒトですね」
シアンがちょっとビックリした顔をした後、ふっと笑って手を握り返してきた。
そのままチュッと手首のあたりにキスを落とし、「じゃあ行きましょうか」と食堂に向かって歩き出す。
ーーえ、うそ……こんなんで効いたの?やっといてなんだけど、ホントに?
シアンーーあなたが将来悪い女に騙されやしないか、飼い主としては心配になってしまうのだけど…ほんと大丈夫?
でも今そんな事を突っ込んだら、さっきの努力が水の泡になる。
両手を飼い猫に繋がれたまま、私はお口にチャックで大人しく食堂までの道のりを辿ったのだった。
「遅くなりました、すみません」
背後からそれぞれ絡みついて、動きを封じてくる腕が四本。
「マゼンタ、シアン。おかえりなさい。…苦しい上に鬱陶しいから離れてくれない?」
だから人前でくっつくのはやめて頂戴。いや、人前でなくても遠慮したいのだけど。
「ちょっ、酷っ!第一声がそれ?!」
「半日振りの再会なんですから、もう少し喜んでくださいよ」
「いやいや、どう喜べって言うのよ…」
「お帰りなさいのキスは?」
「誰がするか!」
うっ、思わず全力で言い返してしまってふらふらする……。
お砂糖食べただけだと応急処置にしかなってないわ。クレイの言う通り、ちゃんとご飯食べないと。
「ーーコイツら誰。お前のネコなの?」
それまで黙ってたクレイが心底呆れたような顔でツッコミを入れた。
うん、ごめん。放置して会話しちゃって。
「あん?そーゆーオマエこそ誰だよ?」
「ボクは城の書庫番。次はそっちが質問に答えて」
「…僕達は彼女の飼い猫ですよ。それで、書庫番の方がなんで彼女といるんです?」
「シアン、違うの。私が書庫の閉館時間まで居座っちゃって」
だからクレイは何も悪くないわと言えば、二匹がさらに不機嫌になった。
「クレイさん、とおっしゃるのですね。それで、どうしてソフィーと連れだって歩いていらっしゃるのですか?」
「…メイドがいなかったから、食堂まで案内しようとしただけ」
「なら、オレらが道知ってるから。手間掛けたな?」
「……そう。じゃあさっさとソイツ回収してってくれる?」
そう言って、クレイはそのまま書庫の方に戻っていく。
「クレイ戻っちゃうの?あなたもご飯食べに行くって話だったんじゃ…」
「休憩室にカップ出しっぱにしてたから。その片付け」
クレイはさっさと戻って鍵を回し、開けた扉に体を滑り込ませた。
「じゃ、また今度。…次は倒れないようにね?」
扉が閉まる寸前、そんな言葉を残して。
ああぁ…言っちゃった。そんな置き土産を残さなくてもいいでしょうに。
今の聞かれてないーーワケないわよね。
「ソフィー…まさか倒れたんですか」
「えっ、と。今のはクレイの言葉の綾というか。ーー倒れてはいないわよ?」
倒れかけはしたけど、あれは未遂だもの。
「ひょっとして倒れてなくても、倒れかけたって事じゃねーの?」
あ、マゼンタが妙に鋭い。そんな勘の良さを今発揮してほしくなかったわ…。
「ちょっと糖分が不足しただけっていうか…その、ちゃんとご飯食べたら大丈夫だから!」
「…つまり、碌に食事を摂ってなくて、倒れかけたと」
「うっ…ハイ……」
「マジかよ。フィア何やってんの……」
飼い猫二匹にジットリとした視線を向けられる。…ううっ、居た堪れない…。
「あの…今回のことは私が全面的に悪かったってことで、後で反省もたっぷりするからーーとりあえず、ご飯食べに行ってもいい?」
「ーーはあ。まあソッチが優先ですね」
「…だな。飯が遅れてまた倒れかけるとかマズいし」
さっさと食堂行くか、と言われて心底ホッとする。
再び歩き出そうとして、邪魔をしていた二匹の腕を剥がそうと手を掛けたがーーあれ、全然動かない?
それどころか逆に顔を近づけてきて、首の後ろにどちらのものとも判らない息が掛かる。
ちょっ!首のとこでスンスンとニオイを嗅ぐの、ほんとヤメて…!恥ずかしすぎるから‼︎
「なーんか、オレら以外の獣のニオイがする…ひょっとして、さっきのウサギ?」
「…本当ですね、いつの間にマーキングされてるんです?全く油断も隙もない」
ちょっとさっきのウサギ、シメてきますね……ってストップストップ!シアン目が怖い!
「さっき、倒れかけた時に支えてもらっただけだから!不可抗力だから、クレイに何かするのはヤメて!」
シアンがシメるって言うと、お肉として〆る方に聞こえるから!それ洒落にならないから!
「そ、それより食堂!早く食堂行こう!」
「そうでしたね、じゃあマゼンタはソフィーを一刻も早く食堂に案内してください。僕は後で合流するので…」
「さ、三人!三人で一緒に行ってご飯食べたいな!」
こんなところに私のせいでウサギの屠殺体ができるとか、真剣に嫌だ…!
シアンの手をキュッと握って、必死になってお願いする。
やってる自分が精神的にダメージをくらうが、上目遣いも忘れない。
ここはなんとしても止めなくては…!
「ソフィー…仕方ないヒトですね」
シアンがちょっとビックリした顔をした後、ふっと笑って手を握り返してきた。
そのままチュッと手首のあたりにキスを落とし、「じゃあ行きましょうか」と食堂に向かって歩き出す。
ーーえ、うそ……こんなんで効いたの?やっといてなんだけど、ホントに?
シアンーーあなたが将来悪い女に騙されやしないか、飼い主としては心配になってしまうのだけど…ほんと大丈夫?
でも今そんな事を突っ込んだら、さっきの努力が水の泡になる。
両手を飼い猫に繋がれたまま、私はお口にチャックで大人しく食堂までの道のりを辿ったのだった。
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