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番外編
おまけ1。真剣に誤解されました
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スプラッタな話が続いたので息抜きのオマケ。
3章1話目に絡んで、その翌日くらいのお話です。
************************
「なあ、フィアってさ……元の世界に恋人いるんだよな?」
「ーーはい? いないわよ。というか恋人がいた事がないわ」
午後のお茶をした後にまったりソファーでくつろいでいたのにマゼンタの唐突な質問に邪魔されてしまい、ちょっと不機嫌に返事をする。
というか、何なのよその質問。
残念ながらこちとら恋人がいない歴=年齢だ。言いたくないんだから聞かないでほしい。
「え? ーーいやいや、今はともかく昔は男いたんだろ? 別に咎めたりしねーから正直にーー」
「だから、さっきから何言ってるの?」
ホントちょっと待って。一体これはどういう状況なの?
なんで浮気を疑われている彼女みたいに詰問されなきゃいけないんだ。
「だって! フィア昨日ベッドの上でオレのこと『マーティ』って呼んだじゃねーか!」
「……は?」
この感じだとどうやらマゼンタは病室での寝言の件で責めているらしいーーけど、思いっきりズレている。
「それ完全に勘違いだからね?! マーティは私が小さい頃に飼っていた猫の名前よ。そんな元カレみたいな言い方しないでくれる?」
「ーー!! やっぱ男じゃねーか!」
「だから猫だって言ってんでしょ!?」
「オレだって猫だし!」
寝ぼけて抱き締めてきた挙句、他の猫の名前を呼ぶなんて酷いよッ、と責められるのだが……え、何コレ。私が悪いの? おかしくない?
ああでも、そもそもこちらとあちらでは根本的に常識が違っているから勘違いされるのか。
この世界だと動物と人間が結婚しているケースすらあるわけだし。
「ええと……私が居た場所では猫はヒト型にならないし、人間と動物は恋人になったりしないのよ?」
だから猫はあくまで猫で、愛でる気持ちはあってもそういう意味での対象にはなり得ないのだと必死に説明する。
「……でも、そいつとは一緒のベッドで寝てたりしたんじゃねーの?」
「してないわよ。私、マーティにはあんまり懐いてもらえなかったし……抱っこすらさせてもらってないわ」
思い出してちょっとブルーになる。
猫だけでなく動物全般大好きだったんだけど、本当に全く好かれなかったわね。
「むぅ……でもやっぱ納得いかない。フィアはソイツがベッドに居ても嫌がらないんだろ?」
「そりゃま、猫と一緒に寝られるとかご褒美だもの」
「ーー!? オレが入ったらめっちゃ怒るのに!」
なんでオレじゃダメなんだよー! とわあわあ喚きながらソファーに飛び乗り、腰の辺りにしがみつくマゼンタ。
まだ言うかコイツ。勘違いだって言ってるのに。
……仕方がないわね、そろそろ黙ってもらいましょう。
「ねえマゼンタ」
「……なんだよ」
「拗ねないでよ。あなたがダメなのにはちゃんと理由があるのよ?」
「……一応聞く……」
しょんぼりと伏せた猫耳を撫でながら、一つ深呼吸する。
これ言うの、かなりこっぱずかしいんだけど……。
「あのね、一緒のベッドで寝ても平気ってことは、異性として見てないってことよ? だからマーティはそういう対象じゃないの」
「ーーそう、なのか?」
「そうよ。ーー多少なりとも意識している男のヒトと添い寝するなんてできないわ」
そう言えば、マゼンタは目をまん丸にしてキラキラさせて飛び起きた。
「じゃ、オレは男って意識されてる?」
「……ええまあ」
「なら、フィアはオレのこと好き?」
「好きだけど、恋愛的な意味じゃないわよ?」
「えー、残念ー」
ま、意識されてるなら第一段階はクリアって事だよな!
さっきまで凹んでたはずのマゼンタがご機嫌にしっぽを揺らしながらとても満足そうに笑うから、言わされ損になった私は悔しくてそっぽを向いたのだった。
3章1話目に絡んで、その翌日くらいのお話です。
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「なあ、フィアってさ……元の世界に恋人いるんだよな?」
「ーーはい? いないわよ。というか恋人がいた事がないわ」
午後のお茶をした後にまったりソファーでくつろいでいたのにマゼンタの唐突な質問に邪魔されてしまい、ちょっと不機嫌に返事をする。
というか、何なのよその質問。
残念ながらこちとら恋人がいない歴=年齢だ。言いたくないんだから聞かないでほしい。
「え? ーーいやいや、今はともかく昔は男いたんだろ? 別に咎めたりしねーから正直にーー」
「だから、さっきから何言ってるの?」
ホントちょっと待って。一体これはどういう状況なの?
なんで浮気を疑われている彼女みたいに詰問されなきゃいけないんだ。
「だって! フィア昨日ベッドの上でオレのこと『マーティ』って呼んだじゃねーか!」
「……は?」
この感じだとどうやらマゼンタは病室での寝言の件で責めているらしいーーけど、思いっきりズレている。
「それ完全に勘違いだからね?! マーティは私が小さい頃に飼っていた猫の名前よ。そんな元カレみたいな言い方しないでくれる?」
「ーー!! やっぱ男じゃねーか!」
「だから猫だって言ってんでしょ!?」
「オレだって猫だし!」
寝ぼけて抱き締めてきた挙句、他の猫の名前を呼ぶなんて酷いよッ、と責められるのだが……え、何コレ。私が悪いの? おかしくない?
ああでも、そもそもこちらとあちらでは根本的に常識が違っているから勘違いされるのか。
この世界だと動物と人間が結婚しているケースすらあるわけだし。
「ええと……私が居た場所では猫はヒト型にならないし、人間と動物は恋人になったりしないのよ?」
だから猫はあくまで猫で、愛でる気持ちはあってもそういう意味での対象にはなり得ないのだと必死に説明する。
「……でも、そいつとは一緒のベッドで寝てたりしたんじゃねーの?」
「してないわよ。私、マーティにはあんまり懐いてもらえなかったし……抱っこすらさせてもらってないわ」
思い出してちょっとブルーになる。
猫だけでなく動物全般大好きだったんだけど、本当に全く好かれなかったわね。
「むぅ……でもやっぱ納得いかない。フィアはソイツがベッドに居ても嫌がらないんだろ?」
「そりゃま、猫と一緒に寝られるとかご褒美だもの」
「ーー!? オレが入ったらめっちゃ怒るのに!」
なんでオレじゃダメなんだよー! とわあわあ喚きながらソファーに飛び乗り、腰の辺りにしがみつくマゼンタ。
まだ言うかコイツ。勘違いだって言ってるのに。
……仕方がないわね、そろそろ黙ってもらいましょう。
「ねえマゼンタ」
「……なんだよ」
「拗ねないでよ。あなたがダメなのにはちゃんと理由があるのよ?」
「……一応聞く……」
しょんぼりと伏せた猫耳を撫でながら、一つ深呼吸する。
これ言うの、かなりこっぱずかしいんだけど……。
「あのね、一緒のベッドで寝ても平気ってことは、異性として見てないってことよ? だからマーティはそういう対象じゃないの」
「ーーそう、なのか?」
「そうよ。ーー多少なりとも意識している男のヒトと添い寝するなんてできないわ」
そう言えば、マゼンタは目をまん丸にしてキラキラさせて飛び起きた。
「じゃ、オレは男って意識されてる?」
「……ええまあ」
「なら、フィアはオレのこと好き?」
「好きだけど、恋愛的な意味じゃないわよ?」
「えー、残念ー」
ま、意識されてるなら第一段階はクリアって事だよな!
さっきまで凹んでたはずのマゼンタがご機嫌にしっぽを揺らしながらとても満足そうに笑うから、言わされ損になった私は悔しくてそっぽを向いたのだった。
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