【本編完結】森で遭難しかけたら獣とおかしな人達に囲まれました 〜飼い猫が私を逃してくれません!〜

夕木アリス

文字の大きさ
173 / 174
番外編

おまけ2。離婚の理由

しおりを挟む
気分転換のオマケ話。
4章で、ソフィアのデートの数日前のお話です。
************************






「そういえば、エリザの離婚の理由ってなんだったの?」


涼しい秋の風が吹き抜ける中庭で、ここいらの権力者に囲まれながらのティータイム。

久しぶりにサイラスさんが同席しているのを見てふと以前答えを聞けなかったお茶会の話題が思い出され、エリザに再度理由を聞いてみる。

エリザは一瞬目を見開いた後、わざとらしくつつぅーっと視線を逸らした。
ーーこの幼女様、話さない気ね。


ふぅん、そう……言ってくれないのなら、ここの料理長に元の世界のピーマン料理を覚えているだけ伝授してやろうかしら。

「なっ、酷いぞソフィア! なんてことを企んどるのじゃ!?」
「あら、これはエリザのためにもなるのよ?」

緑黄色野菜はとっても身体にいいんだから。お肌だって綺麗になるし、成長期に栄養は大事よ?


「何が成長期じゃ! いくら野菜を食べようがわらわはこれ以上歳は取らんわ!!」
「おや、好き嫌いは良くないよエリザ。なんなら私も一緒に食べてあげるから」
「とか言ってヒトの口に押し込む気じゃなかろうなサイラス?!」
「ピーマンだって調理法によっては苦味は消えるのよ?」
「苦いから嫌いなのではない! ピーマンだから嫌いなのじゃ!」


ギャアギャアワーワーと、今日もお茶会は平常運転である。

私は騒がしさの中で戻ってきた平和を噛みしめていたーー



「ーーそれで、結局なんで別れちゃったの? お互いに嫌いになったわけじゃなさそうだしーー」

こうして見ていればエリザとサイラスさんの仲が良好なのは明白だ。

見た目は完全におじいちゃんと孫ではあるが、サイラスさんがエリザを見る眼差しは愛情に満ちている。
エリザもサイラスさんを嫌っていればそもそもお茶会への参加を許したりはしないだろう。なんて言ったって彼女はこの国の最高権力者なのだから。
……まあ相手も隣国の上皇陛下だ。こちらも十二分に権力者なわけだけど。


「それはサイラスが悪いのじゃ! わらわがこの姿になってしまった時、此奴はまだ二十代だったのじゃぞ? その、困る事もあろうからと、側室を取るように勧めたのに断りよったのじゃ!」
「元々ここは君の国だ、入婿の私が側室など取れる訳がないだろう?」
「女王が許可を出しておるのに、できない訳がなかろうが!」
「私は嫌だと断ったよね?」

君以外の妻など求めないと断言したはずだ。

「ーーッ! そ、それでも! 小さくなったわらわではお主の相手ができぬからーー!」


ーー相手? 小さくなったことで相手って、まさかーー


エリザはキレ気味に、真っ赤な顔で言い放った。

「よっ、夜の相手ができぬでは、妻の役目が果たせぬであろう!?」



ーーーーうん。

今のは犯罪だ。


エリザは見た目五歳の美幼女なのだ。

実際の中身が何歳であろうが、そのセリフは言わせちゃダメだろう。

ちなみに、サイラスさんは至極ご機嫌な顔でニコニコしているーーこの人わざと止めなかったわね。


エリザへの申し訳なさもあって少しジト目でサイラスさんを見上げれば、彼は緩めていた顔を戻してエリザに向き直った。

「真面目だなあ君は……妻の役目はそれだけではないだろう? それにあの時点でクロエもエドも生まれていたし、世継ぎの問題もなかったのに」
「元々が政略結婚であったのじゃ。入り婿とはいえ、こちらに瑕疵があれば遠慮なく別れられるであろう?」

ほっぺを膨らましたままそっぽを向くエリザに「本当に生真面目で困る」とサイラスさんは柔らかく微笑んだ。

確かに、エリザって意外と生真面目だ。……色々規格外だからつい忘れちゃうけど。
クロエさんの生真面目さは実はエリザ譲りなのかも。

サイラスさんはお茶目というかーー案外腹黒よね。


その腹黒お爺さんが、少し悲しそうな顔を作りながらため息をついた。

「あの時も今も、私はこれっぽっちも別れたいとは思ってなかったのだけどね」
「……我慢させているのかもしれんと思うたら、居た堪れなくなったのじゃ」
「身体が小さくなっても、愛し合えないわけではないよ?」
「ーーッ! こっ、このたわけがっ! 茶会でなんちゅうことを言うのじゃ!」
「おやおや、何を想像したんだいエリザベス?」
「ーーーー!?!? 巫山戯るのもいい加減にせんか! お主今すぐ国に帰れーーっ!」

あー……私が帰った方がいい気がしてきたわ。



それにしても。

エリザは今も昔もサイラスさんのことが好きなんだろう。それはサイラスさんも。
それなのに別れてしまったり、復縁もしなかったり。でもこうして一緒にお茶をしていたり。

夫婦ってよく分からない。


けれどーーとてもとても、羨ましく思えたのだった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

処理中です...