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4章
18★ ときには威嚇も必要です?
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※後半シアン視点です
「えっと……あの? シアン?」
あまり理解したくもないけど……これは一体どういう状況?
横抱きで膝の上に乗せられてる、のよね。しかも外で。お店の中で。
ーーどう考えてもマズいじゃない!?
「シアンっ! 降ろして!」
「イヤです」
「即答っ?! 私だってこんなのイヤよ!」
幸か不幸か他の客席は背中側で、今現在他のお客さん達にどう見られているかは私には分からない。
けど、絶対見られてる。さっきまでよりビシバシ視線を感じるし!
「ひ、人に見られてーーお願い、降ろして!」
「ですから、見せつけてるんですよ」
「意味分かんない! 誰によっ!?」
「全員ですよ。威嚇しておかないといけませんから」
それこそ訳が分からない。
周りのお客さんに男性が居て、まずないだろうけど私のことを見ていたりしたら威嚇というのも分かる。
だがこのカフェの客層はほぼ女性、男の人で来ているのは基本カップルばかりだ。
威嚇をする必要がどこにあるっていうの?
いくらお願いしても話が通じないので実力行使に出ることにしたが、普通に逃げようとしても力で叶うはずもなく。
ちょっと悪い気もしたが目の前にある猫耳に狙いをつけた。
思いきり引っ張ってやれば、いくらシアンでも少しぐらい効くはずーー。
そう思ってぱっと手を伸ばしたが、あっさりと手首を捕まえられて固定されてしまった。
そのままシアンの方に引っ張り込まれ、横抱きのまま顔だけシアンの方に向かされると、超至近距離で見つめ合う羽目になってしまった。
「シアン! ふざけないでよ!」
「ふざけてませんよ。僕はソフィーに対してはいつだって真剣に想ってます」
「会話が噛み合ってないわよっ?! とりあえず離してってば!」
「それもお断りします」
言い合いをしながらちらりと横を見ればーーみ、見られてる。やっぱり他の人達にめちゃくちゃ見られてるし!
なんかもう、恥ずかしすぎて泣きそうだ。
その顔を見てようやくシアンが手の拘束を少し緩めた。
「ーー仕方ないですね、じゃあこれで勘弁してあげますよ」
言うが早いが、シアンの顔がさらに近づいてくる。
咄嗟に口元だけは自分の肩口に押し付けて隠したのだが、隠れていない場所にシアンの唇が次々と降ってきた。
目蓋、耳、喉ーー軽いリップ音まで立てながら触れられていく。
吃驚しすぎて抵抗することも忘れて、私はただただ固まっていた。
首筋に噛みつくようにキスされたのを最後にようやく膝から下ろしてもらうと、返そうとしていた本を引っ掴んでその場から逃げ出した。
ーーこれ以上この場に居るのとか普通にムリ!
◇
(うーん、少しやり過ぎましたかね?)
耳まで真っ赤に染めて逃げ出したソフィーを目で追いながら、シアンはうっすらと笑った。
周りの雑音ばかりに気を取られて自分に集中してくれないのが面白くなかったから、少しばかりいじめてしまった。
まあおかげでたくさんキスもできたし、適当な理由に丸め込まれて震えながら耐えてるソフィーも可愛くて、良い目の保養になった。
ーーが、それはそれ、これはこれだ。
しっかりクギは刺しておかないといけない。
シアンはお皿に置いてあったフォークやナイフを拾うと、そのままヒョイっと後ろに向けて投げた。
見てなかったにも関わらずそれは正確にソフィアに悪口を言っていた客のテーブルに刺さり、あちこちから悲鳴が上がる。
そのうちの一つのテーブルに近づいたシアンは、客の女性の顔をひたりと見つめて言葉を紡ぐ。
「先ほどはどうも?」
「えっ……わ、私は何もしてないわ!」
「まだ何も言っていないのに、自覚があるようで何よりです」
そう言って手に持っていたナイフを女性の喉奥まで突っ込む。
「ヒトの悪口を言っちゃいけないって、教えてもらわなかったんですねーー可哀想に」
そのままにっこりと笑って、ナイフを横に引いた。
刃がついていない側だったから実際に切れることはなかったが、脅された女性は完全に白眼を剥いてテーブルに倒れ込んだ。
盛大に皿やらカトラリーやらが散らばる音とともにざわつきだした店内をシアンが笑顔で見渡すと、その場に静寂が戻る。
「引っかかれたくなかったら、猫の恋路は邪魔しないこと。分かりますよね?」
その場の全員が激しく首を縦に振っているなか、荷物をまとめたシアンは悠然とソフィアのあとを追ったのだった。
「えっと……あの? シアン?」
あまり理解したくもないけど……これは一体どういう状況?
横抱きで膝の上に乗せられてる、のよね。しかも外で。お店の中で。
ーーどう考えてもマズいじゃない!?
「シアンっ! 降ろして!」
「イヤです」
「即答っ?! 私だってこんなのイヤよ!」
幸か不幸か他の客席は背中側で、今現在他のお客さん達にどう見られているかは私には分からない。
けど、絶対見られてる。さっきまでよりビシバシ視線を感じるし!
「ひ、人に見られてーーお願い、降ろして!」
「ですから、見せつけてるんですよ」
「意味分かんない! 誰によっ!?」
「全員ですよ。威嚇しておかないといけませんから」
それこそ訳が分からない。
周りのお客さんに男性が居て、まずないだろうけど私のことを見ていたりしたら威嚇というのも分かる。
だがこのカフェの客層はほぼ女性、男の人で来ているのは基本カップルばかりだ。
威嚇をする必要がどこにあるっていうの?
いくらお願いしても話が通じないので実力行使に出ることにしたが、普通に逃げようとしても力で叶うはずもなく。
ちょっと悪い気もしたが目の前にある猫耳に狙いをつけた。
思いきり引っ張ってやれば、いくらシアンでも少しぐらい効くはずーー。
そう思ってぱっと手を伸ばしたが、あっさりと手首を捕まえられて固定されてしまった。
そのままシアンの方に引っ張り込まれ、横抱きのまま顔だけシアンの方に向かされると、超至近距離で見つめ合う羽目になってしまった。
「シアン! ふざけないでよ!」
「ふざけてませんよ。僕はソフィーに対してはいつだって真剣に想ってます」
「会話が噛み合ってないわよっ?! とりあえず離してってば!」
「それもお断りします」
言い合いをしながらちらりと横を見ればーーみ、見られてる。やっぱり他の人達にめちゃくちゃ見られてるし!
なんかもう、恥ずかしすぎて泣きそうだ。
その顔を見てようやくシアンが手の拘束を少し緩めた。
「ーー仕方ないですね、じゃあこれで勘弁してあげますよ」
言うが早いが、シアンの顔がさらに近づいてくる。
咄嗟に口元だけは自分の肩口に押し付けて隠したのだが、隠れていない場所にシアンの唇が次々と降ってきた。
目蓋、耳、喉ーー軽いリップ音まで立てながら触れられていく。
吃驚しすぎて抵抗することも忘れて、私はただただ固まっていた。
首筋に噛みつくようにキスされたのを最後にようやく膝から下ろしてもらうと、返そうとしていた本を引っ掴んでその場から逃げ出した。
ーーこれ以上この場に居るのとか普通にムリ!
◇
(うーん、少しやり過ぎましたかね?)
耳まで真っ赤に染めて逃げ出したソフィーを目で追いながら、シアンはうっすらと笑った。
周りの雑音ばかりに気を取られて自分に集中してくれないのが面白くなかったから、少しばかりいじめてしまった。
まあおかげでたくさんキスもできたし、適当な理由に丸め込まれて震えながら耐えてるソフィーも可愛くて、良い目の保養になった。
ーーが、それはそれ、これはこれだ。
しっかりクギは刺しておかないといけない。
シアンはお皿に置いてあったフォークやナイフを拾うと、そのままヒョイっと後ろに向けて投げた。
見てなかったにも関わらずそれは正確にソフィアに悪口を言っていた客のテーブルに刺さり、あちこちから悲鳴が上がる。
そのうちの一つのテーブルに近づいたシアンは、客の女性の顔をひたりと見つめて言葉を紡ぐ。
「先ほどはどうも?」
「えっ……わ、私は何もしてないわ!」
「まだ何も言っていないのに、自覚があるようで何よりです」
そう言って手に持っていたナイフを女性の喉奥まで突っ込む。
「ヒトの悪口を言っちゃいけないって、教えてもらわなかったんですねーー可哀想に」
そのままにっこりと笑って、ナイフを横に引いた。
刃がついていない側だったから実際に切れることはなかったが、脅された女性は完全に白眼を剥いてテーブルに倒れ込んだ。
盛大に皿やらカトラリーやらが散らばる音とともにざわつきだした店内をシアンが笑顔で見渡すと、その場に静寂が戻る。
「引っかかれたくなかったら、猫の恋路は邪魔しないこと。分かりますよね?」
その場の全員が激しく首を縦に振っているなか、荷物をまとめたシアンは悠然とソフィアのあとを追ったのだった。
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