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4章
23。先に確かめない方が悪いそうです
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こ、これってその?! ひょっとしなくてもキスされる流れですか?!?!
確かにできることなら、とは言ったけど。言いましたけど!
大混乱のままギュッと目を閉じていると、長めのシアンの前髪が頬に触れ、吐息が顔にかかるのを感じる。
こんなゆっくり焦らすようにされると、余計にこれから起こることを意識してしまって居た堪れなさが半端ない。
いっそ早く済ませて欲しいと考えているうちに、ふにっと柔らかな感触が唇に当たった。
そのまま五秒、十秒ーー触れた部分の体温が同じになっても離されることなく重なり続ける。
……えっと。これ、いつ止めればいいの? というか、キスってこんな長いものなの?
あれ、そういえば息継ぎってどうしたらーーあ、ダメだ。酸欠で頭が回らない……。
くらりと意識が落ちそうになったその瞬間、ドォンとお腹に響く音が届いて瞑った目の裏が白く染まった。
それが合図となったかのように、ようやくシアンが唇を離す。
慌てて息を吸い込みつつ音がした方に顔を向けると、そこには予想もしていなかった光景が広がっていた。
「えっ……これって……!」
「もう少し後だと嬉しかったんですが。ーー今日はこれを見せたかったんですよ」
目の前の空一面に、大輪の花火が上がっていた。
◇
シアンと一緒に次々と打ち上げられる花火に見入る。
赤、緑、ピンク、オレンジーー様々な色の炎が夜空を流れては消えていく。
打ち上げ場所が近いのか、上から星が降ってくるみたいだった。
「ーーこっちの世界でも花火ってあるのね……」
「昔の迷い子が伝えたそうですよ。祝典の時なんかにはよく上がりますね」
「何かお祝いするようなことがあったの?」
「もともとこの領地の収穫祭が今日なんですが、行方不明だった領主の娘が無事に戻ったとかでいつもよりも盛大にやっているみたいです」
その言葉にオルトさんと妹さんのことが思い浮かんだ。
エリザはオルトさんへの処罰は自領での謹慎で済ますと言っていたけど、無事に家に帰れていたみたいで良かった。
オルトさんには酷い目に遭わされた気がしなくもないけどーーまあ痛めつけられたとかではないし、結果的に全員無事だったから良しとしよう。
間接的にはシアンが怪我をした原因にもなっているわけだけど、多分さっきの……で、シアンも耳の傷をちゃんと治してくれるだろうし。うん、問題ないわ。
今日はもう遅いから、明日にでも治療を受けにーーって、何処に頼めばいいのかしら。
「ねえシアン。そのキズって、結局どうやったら綺麗に治るの?」
「え、教えないって言ったじゃないですか」
「なっ!? さ、さっきアナタ私にキスしたじゃない!」
「キスさせてくれたら言う事を聞くなんて言ってないでしょう?」
……
…………
……嘘ーーまさかの引っ掛け!?
「確認しない方が悪いんですよ」とニヤニヤ笑ってくるシアンに、やっぱりこの猫変わってないわーーとガックリと肩を落としたのだった。
確かにできることなら、とは言ったけど。言いましたけど!
大混乱のままギュッと目を閉じていると、長めのシアンの前髪が頬に触れ、吐息が顔にかかるのを感じる。
こんなゆっくり焦らすようにされると、余計にこれから起こることを意識してしまって居た堪れなさが半端ない。
いっそ早く済ませて欲しいと考えているうちに、ふにっと柔らかな感触が唇に当たった。
そのまま五秒、十秒ーー触れた部分の体温が同じになっても離されることなく重なり続ける。
……えっと。これ、いつ止めればいいの? というか、キスってこんな長いものなの?
あれ、そういえば息継ぎってどうしたらーーあ、ダメだ。酸欠で頭が回らない……。
くらりと意識が落ちそうになったその瞬間、ドォンとお腹に響く音が届いて瞑った目の裏が白く染まった。
それが合図となったかのように、ようやくシアンが唇を離す。
慌てて息を吸い込みつつ音がした方に顔を向けると、そこには予想もしていなかった光景が広がっていた。
「えっ……これって……!」
「もう少し後だと嬉しかったんですが。ーー今日はこれを見せたかったんですよ」
目の前の空一面に、大輪の花火が上がっていた。
◇
シアンと一緒に次々と打ち上げられる花火に見入る。
赤、緑、ピンク、オレンジーー様々な色の炎が夜空を流れては消えていく。
打ち上げ場所が近いのか、上から星が降ってくるみたいだった。
「ーーこっちの世界でも花火ってあるのね……」
「昔の迷い子が伝えたそうですよ。祝典の時なんかにはよく上がりますね」
「何かお祝いするようなことがあったの?」
「もともとこの領地の収穫祭が今日なんですが、行方不明だった領主の娘が無事に戻ったとかでいつもよりも盛大にやっているみたいです」
その言葉にオルトさんと妹さんのことが思い浮かんだ。
エリザはオルトさんへの処罰は自領での謹慎で済ますと言っていたけど、無事に家に帰れていたみたいで良かった。
オルトさんには酷い目に遭わされた気がしなくもないけどーーまあ痛めつけられたとかではないし、結果的に全員無事だったから良しとしよう。
間接的にはシアンが怪我をした原因にもなっているわけだけど、多分さっきの……で、シアンも耳の傷をちゃんと治してくれるだろうし。うん、問題ないわ。
今日はもう遅いから、明日にでも治療を受けにーーって、何処に頼めばいいのかしら。
「ねえシアン。そのキズって、結局どうやったら綺麗に治るの?」
「え、教えないって言ったじゃないですか」
「なっ!? さ、さっきアナタ私にキスしたじゃない!」
「キスさせてくれたら言う事を聞くなんて言ってないでしょう?」
……
…………
……嘘ーーまさかの引っ掛け!?
「確認しない方が悪いんですよ」とニヤニヤ笑ってくるシアンに、やっぱりこの猫変わってないわーーとガックリと肩を落としたのだった。
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