164 / 174
4章
37★ 食べてあげる条件
しおりを挟む
さっきの『食べる』はそういう意味かと遅ればせながら理解した三人だが、理解したからといって納得できるかはまた別の話なワケで。
「理由を伺ってもいいでしょうか?」
そう問うシアンの口調は変わらず丁寧なものだが、その実苛立ちを隠そうともせず真っ正面からジュリアスを睨みつけた。
だが射殺しそうな視線を平然と受け止めて、ジュリアスは無邪気に言葉をつむぐ。
「犬猫はーー特に飼われているのは、大して面白くもない生を送ってることが多くってね~。何回か味見をしたことはあるんだけど、どれも似たりよったりで飽きちゃった!」
「は! 人間は違うって言うのかよ?」
「んー、人間も大して変わらないんだけど。でもたまにすっごい当たりが出るんだよね! それがガチャ回してるみたいで、射幸心をくすぐられるっていうかー」
エリザベスとかSSRキター! って感じだったよ~と意味不明な単語を連発され、同じく不機嫌そうにしていたはずのマゼンタは煙に巻かれて黙り込んでしまう。
そんな短気な猫二匹とお巫山戯のすぎる神様に挟まれ、気の進まない様子を見せながらもエリザが仲裁に入った。
「おい、ジュリアス。あんまりこやつらを煽るな。猫らもイチイチ突っかかるでない、話が進まんではないか。ーー飼い猫は口に合わんと言うがな、こやつらはつい最近まで野良猫だったのじゃ」
「うん、それでー?」
「こやつらに名を与えて首輪を付けたのは迷い子じゃ。マヤとも懇意にしておるしーー以前こやつらをロクでもない組織から解放したのも、迷い子の娘じゃったの」
「ーー! おい、女王様っ?!」
驚愕で目を見開くマゼンタと、ギリッと歯軋りをして女王を睨みつけるシアン。どうやら触れて欲しくない話題だったらしい。
一方ジュリアスは興味を惹かれたらしく、猫たちの方へトテトテと近づいて来た。
二匹の周りをぐるりと一周しながらあちこち視線を巡らせる。
「うーん、色がちょーっと派手なだけで、普通の猫に見えるけど……君たちその歳で迷い子に三人も会ったんだ? 引き寄せやすいタイプなのかなぁ?」
「オマエ、ジロジロ見んじゃねーよ。失礼な神様だな」
「あっはは! そっちこそ神様に向かって失礼な猫だよね! ふふ、面白いな~」
「どうじゃ、興味が湧いたじゃろう?」
ちょっとくらい味見してみないかと誘うエリザに少し考える素振りを見せるジュリアスだったが、しばらくしてにこりと頷いた。
「いいよぉ。猫くんたち、わざわざ修行だか特訓だかまでして時間もたーっぷり掛けてここに来てくれたみたいだし? それに他ならぬエリザベスの推薦だしね! でも~口直しは欲しいかな?」
「なんじゃ? 何が欲しいんじゃ」
「そうだな……君と同じくらい破天荒で、面白い人生送ってる人間がいいなー。食い出がある方がいいから、年がいってると尚いいね! 君の知り合い? というか身内にちょうどいいのがいるでしょ?」
前から美味しそうだと思ってたんだよねーとうっとりする神様に、エリザは頬を引きつらせる。
「まさかお主……サイラスのことを言っておるのか?」
「正解っ! あっはは、ぼくってとっても親切でしょー?」
なんならエリザと同じくらいの年にしてあげるよ! これで三人でまだまだ長ーく遊べるよねっ! とご機嫌になるジュリアスに対し、なんて事を言い出すのかとふるふる拳を震わせる女王様。若干涙目である。
「嫌がらせか? 嫌がらせじゃな!? 全くもって余計なお世話じゃっ!」
「あれ、いい案だと思ったんだけど、乗らないの? じゃあ猫くんたちの話もナシでいーい?」
「ぐっ……それは困るが……わらわができるのは話を持って行くことだけじゃ。確約はできん」
「いーよそれで。ふふっ、じゃあ交渉成立ってことで! ああ、もちろん今すぐとは言わないから、そのうちに、ね」
いやあ、今日は良い日だなぁ! と歌い出しそうな表情で宙返りを決めていたジュリアスは、がくりと膝をついた女王を放置して、改めてシアンとマゼンタの方に向き合った。
そのまま良い笑顔で二匹の手を掴む。
「それじゃあーー食べてあげるね、君たちの時間」
「理由を伺ってもいいでしょうか?」
そう問うシアンの口調は変わらず丁寧なものだが、その実苛立ちを隠そうともせず真っ正面からジュリアスを睨みつけた。
だが射殺しそうな視線を平然と受け止めて、ジュリアスは無邪気に言葉をつむぐ。
「犬猫はーー特に飼われているのは、大して面白くもない生を送ってることが多くってね~。何回か味見をしたことはあるんだけど、どれも似たりよったりで飽きちゃった!」
「は! 人間は違うって言うのかよ?」
「んー、人間も大して変わらないんだけど。でもたまにすっごい当たりが出るんだよね! それがガチャ回してるみたいで、射幸心をくすぐられるっていうかー」
エリザベスとかSSRキター! って感じだったよ~と意味不明な単語を連発され、同じく不機嫌そうにしていたはずのマゼンタは煙に巻かれて黙り込んでしまう。
そんな短気な猫二匹とお巫山戯のすぎる神様に挟まれ、気の進まない様子を見せながらもエリザが仲裁に入った。
「おい、ジュリアス。あんまりこやつらを煽るな。猫らもイチイチ突っかかるでない、話が進まんではないか。ーー飼い猫は口に合わんと言うがな、こやつらはつい最近まで野良猫だったのじゃ」
「うん、それでー?」
「こやつらに名を与えて首輪を付けたのは迷い子じゃ。マヤとも懇意にしておるしーー以前こやつらをロクでもない組織から解放したのも、迷い子の娘じゃったの」
「ーー! おい、女王様っ?!」
驚愕で目を見開くマゼンタと、ギリッと歯軋りをして女王を睨みつけるシアン。どうやら触れて欲しくない話題だったらしい。
一方ジュリアスは興味を惹かれたらしく、猫たちの方へトテトテと近づいて来た。
二匹の周りをぐるりと一周しながらあちこち視線を巡らせる。
「うーん、色がちょーっと派手なだけで、普通の猫に見えるけど……君たちその歳で迷い子に三人も会ったんだ? 引き寄せやすいタイプなのかなぁ?」
「オマエ、ジロジロ見んじゃねーよ。失礼な神様だな」
「あっはは! そっちこそ神様に向かって失礼な猫だよね! ふふ、面白いな~」
「どうじゃ、興味が湧いたじゃろう?」
ちょっとくらい味見してみないかと誘うエリザに少し考える素振りを見せるジュリアスだったが、しばらくしてにこりと頷いた。
「いいよぉ。猫くんたち、わざわざ修行だか特訓だかまでして時間もたーっぷり掛けてここに来てくれたみたいだし? それに他ならぬエリザベスの推薦だしね! でも~口直しは欲しいかな?」
「なんじゃ? 何が欲しいんじゃ」
「そうだな……君と同じくらい破天荒で、面白い人生送ってる人間がいいなー。食い出がある方がいいから、年がいってると尚いいね! 君の知り合い? というか身内にちょうどいいのがいるでしょ?」
前から美味しそうだと思ってたんだよねーとうっとりする神様に、エリザは頬を引きつらせる。
「まさかお主……サイラスのことを言っておるのか?」
「正解っ! あっはは、ぼくってとっても親切でしょー?」
なんならエリザと同じくらいの年にしてあげるよ! これで三人でまだまだ長ーく遊べるよねっ! とご機嫌になるジュリアスに対し、なんて事を言い出すのかとふるふる拳を震わせる女王様。若干涙目である。
「嫌がらせか? 嫌がらせじゃな!? 全くもって余計なお世話じゃっ!」
「あれ、いい案だと思ったんだけど、乗らないの? じゃあ猫くんたちの話もナシでいーい?」
「ぐっ……それは困るが……わらわができるのは話を持って行くことだけじゃ。確約はできん」
「いーよそれで。ふふっ、じゃあ交渉成立ってことで! ああ、もちろん今すぐとは言わないから、そのうちに、ね」
いやあ、今日は良い日だなぁ! と歌い出しそうな表情で宙返りを決めていたジュリアスは、がくりと膝をついた女王を放置して、改めてシアンとマゼンタの方に向き合った。
そのまま良い笑顔で二匹の手を掴む。
「それじゃあーー食べてあげるね、君たちの時間」
0
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる