成仏おたすけ屋

はまのべ

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隼人の悩み事

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「それで、悩み事は何ですか?」
高木志保が尋ねてきた。何でもお見通しというわけか。
「さっきのお客さん、桜田さんを見ていると、かつての自分を見ているような気分になったんです」
「かつての自分……」
恋人を成仏したときの自分と、桜田さんのことが重なっていたのだ。だが、高木志保に説明してまた変に突っ込まれるのも嫌だ。詳しい話はやめておこう。

「はい、まあそれで、桜田さんが変な気を起こさないか心配で」
「変な気? ってそういうことですか?」
高木志保は、遠慮がちに聞いてきた。

「決して桜田さんの彼女、かなえさんが悪さをしようとしているわけじゃありません。でも、かなえさんに再会した時の彼の表情を見ていると……」
「もう離れたくないと思うのではないか、と?」
「そうです。何を投げ打ってでも一緒にいたいと思うのではないかと」
隼人がそう言うと、高木志保はなにかを聞きたそうに口を開いたが少しの間空いたあとこう言った。

「一ヶ月という別れの期間は、あまりにも短いですものね」
隼人は大きく頷く。
「二ヶ月経ってしまうと、悪霊に変わってしまう。一ヶ月でも本当にぎりぎりの商売なんですけどね」
わかってます、という声を聞きながら、隼人は桜田さんのことを思い出し胸がざわめくのを感じた。

「一ヶ月のレンタル期間が過ぎると、時としてお客さんは奇行に走るんです。高木さんの場合はそれが、逃亡でした」
「その節は……」
申し訳なさそうに頭を下げられる。隼人はそれを手で制した。
「いや、まだましな方ですよ。まあとにかく、まともな判断ができなくなる方がいらっしゃるわけです」
「そうなると、心配ですね」
「はい。一ヶ月を過ぎるまでは大丈夫だと思っていますが、そんな保証もない。でも、レンタル期間内なのにお客さんに干渉するのも嫌で」

「なるほど、一ヶ月は干渉しないと決めているけどそれが本当に正しいことなのかわからなくなっているわけですね」
高木志保の言葉は的を得ていた。
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