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40.異能持ちとの戦い
しおりを挟むE's eyes
こんな時は私は何の役にも立たない。
キュメネ邑の様子を見に来て窪みに隠れていたのに突然表れた邑人にケイ君が襲われてしまった。
異能持ちのケイ君は三人に囲まれても対処できると思っていたのだけど。
遠い距離からの攻撃で酷い怪我をしてしまった。それも何発も攻撃を受けて。意識が無いのか囲んだ三人に攻撃を受けてしまっている。
私には戦う力は無い。ケイ君の危地に助けにいけない。巫女であった私も武術は学んだのだけど護身程度。対人戦闘は学んでいない。
私ができるのはこのまま隠れてケイ君の負担にならないようにするだけ。それだけを二人であらかじめ決めていた。
でも無理。
ケイ君は目の前で今にも死にそうになっている。異能で回復しているかもしれないけど回復を上回る負傷、または即死攻撃を受けたら対処できないわ。
私に何かできる事はないの!?
何か・・。
私が力になれるのは自身の異能の力。それしかない。
考えろ。この状況で何ができるかを。
・・・・・
・・・・・
そうだ!
”啓示”だ。
唯一私ができる事!
ケイ君を襲っている三人と遠くで攻撃している者。おそらくだけど全員異能を持っている。
そうでもないと理解できない現象ばかり。
そして私の異能である”啓示”は対象者の異能を確認できる。
異能の詳細な内容まで分かる”天眼”だもの。
完璧な能力を持つ異能は無い。それは今までの経験で分かっている。私が視る事で相手の弱点が分かると思う。
視るには一定の距離が必要で遠くから攻撃している者は多分視れないかもしれない。まずは近くの三人を視る。
その結果に驚いてしまう。
何?この異能・・・。
この三人のうち異能を持っているのは一人だけ。その能力がとんでもない。
背が高い黒髪の男が持っている異能は”支配者”という異能。
他者の能力を格段に上げる能力。能力値の上昇は異能所持者にどれほど忠誠を捧げ隷属しているかで変わる。
また隷属度が高い場合にはランダムで異能を獲得できるみたい。
実質異能を持っているのはこの男だけ。残りの二人はこの男の隷属状態が高いのか異能を所持しているわ。一人は注意しないとわからない程度の弱い異能だけども。
ケイ君に負けた吊り目の男は隷属度が一番高いようで三倍以上能力値が高くなっているわ。異能は”身体能力向上・中”なのだけども隷属で三倍上昇、異能で更に三倍上昇。
この異能にういての弱点は全身疲労。使いすぎると翌日疲労が酷くなって動けないみたい。でも、ケイ君はよくこんな能力を持つ男に勝てたわ。それ程ケイ君の異能は凄いという証明にもなるのかしら。
もう一人の細目で茶色の髪の男は能力値はそれ程高くない。元の能力が低いのかも。だけど持っている異能が特殊すぎ。
”転移”は自身が認識した場所に瞬間移動ができる能力みたい。同行者は四名まで。自分がきちんと認識できた場所でないと瞬間移動はできないみたいだけど。半径500メートル範囲でのみ”転移”可能。
弱点は一日二回しか使えない、自分も移動しないと同行者も移動できない。他にもありそう。じっくり視ている暇はないかも。
投擲があった方向に目を向ける。やっぱり遠いから判別が難しいわ。けれども相当数の異能持ちがいる事が分かる。
これはまずいわね。
今回は無理だけども次回にはじっくり判別しないといけないかも。この数は脅威だと思う。危険すぎる。
まずは目の前の三人。
隷属している二人の異能持ちは戦闘能力だけならケイ君には敵わない。
もう一人の”支配者”を持っている男が問題。元の能力は不明だけども自らケイ君と戦わない以上吊り目の男より戦闘能力は高くない可能性があるわ。
戦闘能力が無いのなら邑から出てケイ君と対峙する必要がないもの。戦いに来たのだけど敵わないと見て戦い方を変えたのだろう。
それにしても”支配者”の異能はとんでもない。忠誠を誓うか、隷属すれば誰にでも能力を与える事ができる。これは相当強い軍団が作れるという事になるわ。
でも予想外な弱点を持っている。その弱点を突く事で”支配者”の異能支配が途切れるみたい。
これに賭けるしかない。
私にできるのだろうか。いいえ、やるしかないのよ。
ケイ君が目の前で殺されてもいいというの?
そんなの良く無いわ!
隠れている窪みに手頃な石をいくつか拾う。
物を投げるのは得意じゃない。と、いうか私は運動が苦手。それなりに近づいて投げないと当たらないと思う。
幸い三人はケイ君を夢中で蹴っている。・・・許せない。
ちかづき石を投げる!
当たらない!
もう!なんでこの距離で!
再び投げる!
あ、当たった!
ち、違う別の人に当てちゃった!気づかれた!まずいわ。
夢中で石をどんどん投げる。もうヤケよ!
あ、当たった。
思った通りダメージが入ったようね。弾けるように転がったわ。ふん!ケイ君を蹴った報いよ!まだ全然足りないけど。
残りの二人は動きが止まったみたい。ここまでは視た通りだわ。
ここからどうなるのかは視れなかった。倒れている男が私を睨んでくる。ふん!怖くないんだから。
「▽△♯★●!」
よく分からない叫びを出しながら一人が私に向かってくる。細目の男だ。倒れている男が何か叫んでいるわ。やっぱり知らせていないのね。私は体を丸めて攻撃に耐えるため備える。
細目の男の攻撃は頬を張りいこうとしたみたいだけど腕でガードしたから顔は守れた。でも力は強いから飛ばされてしまった。
痛いんですけど。
でもちょうどいい。このまま転がって距離を取ろう。これで三人は動けなくなるはず。
案の定倒れている男の付近から絶叫が聞える。
おもったとおりね。
ここからどうでるのかしら?
男の絶叫はまだ続いている。そんなに痛かったのかしら?二人の男はかなり驚いているみたい。
私も結構痛かったから、そんなもんなのかしら?思った以上にダメージがいったみたい。痛かったけどその価値はあったようね。
あら?
三人が消えた。ああ、そうか。細目の異能を使ったのね。
チャンス!
逃げよう。
私もケイ君も油断はしていなかった。でも相手が予測を超える異能集団だったという事だと思う。
確か他にも邑の壁を破壊する異能持ちもいたはず。一体どれだけの異能力者がいるんだろう。
そもそも”支配者”という異能は異能持ちを無限に増やす事は可能。やっぱり特異すぎるわ。
あら?
気づけば周囲に煙が広がっているわ。
次の異能持ちが来たの?
あ・・誰かが近づいてくる。
ケイ君を守らないと。気を失っているなら起こさないと。
「ケイくん。リナさん。助けに来たわ。私はアイナよ。ソリヤ家のアイナ。ここはとても危ないわ。だから逃げるわよ」
この声は・・・たしかにアイナさん?だったかしら。助けに来てくれたと言う事?
あ、まずい。顔を見せる訳にはいかない。この顔を見せたら何を思われるか。
慌ててフードを被りなおす。
ともかく最大の危険は逃れたのかも。
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