21 / 86
2章
サンタナ家の馬車で・1
しおりを挟む
前話『最強の婚約者』の最後の一文を訂正しました。(2023.11.17 18:40)
海竜様の祝福もあったことをご感想を受けて思い出した作者でした。
ありがとうございます!!
すみません……最強の理由まだあったな、と。
ーーーーー
婚約届が無事受理され、正式に僕とレオリムの婚約が結ばれた。
これから、スーリア学園に向けて出発する。
州侯様は、ここで見送る失礼を許してくれ、と外まで見送りに行けないのを残念がった。気のせいか、秘書官さんの目がぎらりと光る。
偶さかに良くしてもらっている州侯様の言葉に恐縮しつつ、州侯様や秘書官さん、登記係の人たちに見送られて執務室を後にした。
車寄せで、サンタナ家の馬車を待つ間、父さんが深呼吸をして、ようやく肩の力を抜いた。
「州侯様は気安い方だが、こういうのは慣れないなぁ」
僕はレオリムと目配せをして、ふふ、と笑った。
マウリの街に来ると、州侯様はずいぶんと振舞いを崩されていると思う。何年も前、初めてマリーアの街を訪れた時、それまで知っていた州侯様と全然違って、州侯様然としていて、別人?と混乱したことを思い出した。
ラドゥ様もそうなんだろうか。
マウリの街に時折やってきて、レオリムの顔を見て帰ってゆく。ついこの間、レオリムの養父だと知ったばかり。
そう言えば、その辺の詳しい事情はまだ聴いてないな。訊いてもいいのかな?
サンタナ家の馬車がやってくると、レオリムがさっと扉を開けて、僕の手を取って一緒に乗り込む。
中に入ると、木の匂いがする。新しい馬車の匂い。もしかして、新品の馬車なのかな。さっき乗った時は、婚約届を出すことに気がいっていて、この新しい馬車のことまで気が回らなかったな。
天鵞絨の座席に腰を降ろして、改めて、馬車の中を見渡す。
わぁ……レオリムが僕のお尻のためにと拘ったのも頷けてしまう乗り心地の馬車だね。
州侯様のおうちの馬車も素晴らしいけど、あちらはどちらかというか内装に拘ってる感じで、ラドゥ様の馬車は乗り心地に拘ってる感じ。
柔らかすぎず固すぎず、絶妙な感触の座席の触り心地を確かめていると、父さんとラドゥ様も乗り込んだ。
ラドゥ様が馬車の中から馭者台に向かって声を掛けると、しばらくして、がたがたと動き出して、出発した。
走り出して、そう言えば、とびっくりした。窓から見える街並みが滑らかに流れていく。ほとんど揺れない。
「気に入ったかい、シーラン」
僕は顔を上げてラドゥ様を見た。ニコニコと嬉しそう。
「はい。まるで走っていると思えないくらい揺れは少ないし、座席もふかふかです」
「良かった。レオリムの珍しいおねだりに応えた甲斐があるよ」
「え……?」
びっくりしてレオリムを見る。
レオリムは、当然、という顔をして僕を見て、こくりと首を縦に振った。
「レオリムが、シーランのために最高の乗り心地の馬車を用意してほしいと言うからね。北崚州の優秀な職人に依頼して造ってもらったのだよ。いやぁ、私も楽しみでね。自ら受け取りに行ってしまったよ」
そう言って、はははと笑い、うんうんとにこやかに首を縦に振るラドゥ様と、満足気なレオリムの顔へ何度か視線を彷徨わせた。
もしかして北崚州まで自ら馬車を受け取りに行って、その足で南海州まで迎えに来たのかな……?
父さんを見ると……うん、引き攣ってる。
そこまでしているとは聞いてなかったみたい。
貴族って、貴族って……。
レオってば、僕と一緒に育ったわりに、時々そういうとこ、すごく上流階級っぽいんだよなぁ……。
「……気に入った? シーラ」
僕が若干引いていることに気が付いたみたいで、眉尻を下げて不安そうに訊いてくるレオリム。
「うん。レオ、ありがと」
僕のために、馬車を一台仕立ててもらうなんて、やり過ぎな気はしないでもない。
でも、レオリムの気持ちは素直にうれしい。
馬車はほんとに乗り心地が良くて、遠くスーリアまでの旅の快適さを予感させる。
僕は、レオリムの少し硬めの黒髪をよしよしと撫でた。
曇っていたレオリムの顔が一瞬で晴れる。う、可愛い。ぱたぱた揺れる尻尾と、ぴんと張った耳が見える。
「相変わらず仲が良いねぇ」
ラドゥ様にも、レオリムの尻尾と耳が見えたのかも。
「はぁ……うらやましいよ」
思わず、という風に、ラドゥ様の溜息が零れる。
「……父上も早く魂の伴侶を見つけると良い」
「それは私も心底願っているけれどね。そんなに簡単に出逢えるなら、こんなに長く独りでいないよ」
ラドゥ様、ほんとに独身なんだ。それにしてもおいくつなんだろう。
父さんより若いかも?
「私の顔に何かついているかい、シーラン」
そういえば、ラドゥ様に、魂の伴侶の誓いをしたこと、話したかな?
僕はいいえと首を振りつつ、レオリムを見た。
ん?と首を傾げたレオリムの耳元へ顔を寄せ、確認。
「伴侶の誓いと、海竜様の祝福の話って、した?」
レオリムがふるふると首を振ると、父さんが、あ!という顔をした。
うん、してない。
僕たちは代わる代わる、魂の伴侶の永遠の誓いを交わしたこと、海竜様から祝福をもらった話をした。
最後に、レオリムは、手荷物から小箱を出して、中に仕舞ったはじまりの光の花をラドゥ様に見せた。
ラドゥ様は、レオリムから小箱を受け取ると、中のフィアルクスの白い花を両手に持って大事そうに眺めた。
ふわりと、新緑の季節のような緑の匂いが微かに香る。
ラドゥ様の魔法の気配だと、すぐに分かった。
「あぁ。美しい誓いだね」
ラドゥ様はフィアルクスを顔の高さに掲げて、眩しそうに眺めた。
しばらくそうして眺めて、深く長い溜息を吐くと、手に取った時と同じように丁寧に箱の中へ納めた。
「魂の伴侶同士の綾なす魔法は、やはり素晴らしい」
レオリムへ小箱を返し、レオリムがそれを手荷物に仕舞うと、ラドゥ様はレオの手を握った。
「おめでとう、レオリム。シーランも。二人とも、幸せになるんだよ」
僕の片手を取り、レオリムの手に重ねると、上と下から挟んで、ラドゥ様は震える声でそう言った。
僕とレオリムは、はい、と大きく頷いた。
海竜様の祝福もあったことをご感想を受けて思い出した作者でした。
ありがとうございます!!
すみません……最強の理由まだあったな、と。
ーーーーー
婚約届が無事受理され、正式に僕とレオリムの婚約が結ばれた。
これから、スーリア学園に向けて出発する。
州侯様は、ここで見送る失礼を許してくれ、と外まで見送りに行けないのを残念がった。気のせいか、秘書官さんの目がぎらりと光る。
偶さかに良くしてもらっている州侯様の言葉に恐縮しつつ、州侯様や秘書官さん、登記係の人たちに見送られて執務室を後にした。
車寄せで、サンタナ家の馬車を待つ間、父さんが深呼吸をして、ようやく肩の力を抜いた。
「州侯様は気安い方だが、こういうのは慣れないなぁ」
僕はレオリムと目配せをして、ふふ、と笑った。
マウリの街に来ると、州侯様はずいぶんと振舞いを崩されていると思う。何年も前、初めてマリーアの街を訪れた時、それまで知っていた州侯様と全然違って、州侯様然としていて、別人?と混乱したことを思い出した。
ラドゥ様もそうなんだろうか。
マウリの街に時折やってきて、レオリムの顔を見て帰ってゆく。ついこの間、レオリムの養父だと知ったばかり。
そう言えば、その辺の詳しい事情はまだ聴いてないな。訊いてもいいのかな?
サンタナ家の馬車がやってくると、レオリムがさっと扉を開けて、僕の手を取って一緒に乗り込む。
中に入ると、木の匂いがする。新しい馬車の匂い。もしかして、新品の馬車なのかな。さっき乗った時は、婚約届を出すことに気がいっていて、この新しい馬車のことまで気が回らなかったな。
天鵞絨の座席に腰を降ろして、改めて、馬車の中を見渡す。
わぁ……レオリムが僕のお尻のためにと拘ったのも頷けてしまう乗り心地の馬車だね。
州侯様のおうちの馬車も素晴らしいけど、あちらはどちらかというか内装に拘ってる感じで、ラドゥ様の馬車は乗り心地に拘ってる感じ。
柔らかすぎず固すぎず、絶妙な感触の座席の触り心地を確かめていると、父さんとラドゥ様も乗り込んだ。
ラドゥ様が馬車の中から馭者台に向かって声を掛けると、しばらくして、がたがたと動き出して、出発した。
走り出して、そう言えば、とびっくりした。窓から見える街並みが滑らかに流れていく。ほとんど揺れない。
「気に入ったかい、シーラン」
僕は顔を上げてラドゥ様を見た。ニコニコと嬉しそう。
「はい。まるで走っていると思えないくらい揺れは少ないし、座席もふかふかです」
「良かった。レオリムの珍しいおねだりに応えた甲斐があるよ」
「え……?」
びっくりしてレオリムを見る。
レオリムは、当然、という顔をして僕を見て、こくりと首を縦に振った。
「レオリムが、シーランのために最高の乗り心地の馬車を用意してほしいと言うからね。北崚州の優秀な職人に依頼して造ってもらったのだよ。いやぁ、私も楽しみでね。自ら受け取りに行ってしまったよ」
そう言って、はははと笑い、うんうんとにこやかに首を縦に振るラドゥ様と、満足気なレオリムの顔へ何度か視線を彷徨わせた。
もしかして北崚州まで自ら馬車を受け取りに行って、その足で南海州まで迎えに来たのかな……?
父さんを見ると……うん、引き攣ってる。
そこまでしているとは聞いてなかったみたい。
貴族って、貴族って……。
レオってば、僕と一緒に育ったわりに、時々そういうとこ、すごく上流階級っぽいんだよなぁ……。
「……気に入った? シーラ」
僕が若干引いていることに気が付いたみたいで、眉尻を下げて不安そうに訊いてくるレオリム。
「うん。レオ、ありがと」
僕のために、馬車を一台仕立ててもらうなんて、やり過ぎな気はしないでもない。
でも、レオリムの気持ちは素直にうれしい。
馬車はほんとに乗り心地が良くて、遠くスーリアまでの旅の快適さを予感させる。
僕は、レオリムの少し硬めの黒髪をよしよしと撫でた。
曇っていたレオリムの顔が一瞬で晴れる。う、可愛い。ぱたぱた揺れる尻尾と、ぴんと張った耳が見える。
「相変わらず仲が良いねぇ」
ラドゥ様にも、レオリムの尻尾と耳が見えたのかも。
「はぁ……うらやましいよ」
思わず、という風に、ラドゥ様の溜息が零れる。
「……父上も早く魂の伴侶を見つけると良い」
「それは私も心底願っているけれどね。そんなに簡単に出逢えるなら、こんなに長く独りでいないよ」
ラドゥ様、ほんとに独身なんだ。それにしてもおいくつなんだろう。
父さんより若いかも?
「私の顔に何かついているかい、シーラン」
そういえば、ラドゥ様に、魂の伴侶の誓いをしたこと、話したかな?
僕はいいえと首を振りつつ、レオリムを見た。
ん?と首を傾げたレオリムの耳元へ顔を寄せ、確認。
「伴侶の誓いと、海竜様の祝福の話って、した?」
レオリムがふるふると首を振ると、父さんが、あ!という顔をした。
うん、してない。
僕たちは代わる代わる、魂の伴侶の永遠の誓いを交わしたこと、海竜様から祝福をもらった話をした。
最後に、レオリムは、手荷物から小箱を出して、中に仕舞ったはじまりの光の花をラドゥ様に見せた。
ラドゥ様は、レオリムから小箱を受け取ると、中のフィアルクスの白い花を両手に持って大事そうに眺めた。
ふわりと、新緑の季節のような緑の匂いが微かに香る。
ラドゥ様の魔法の気配だと、すぐに分かった。
「あぁ。美しい誓いだね」
ラドゥ様はフィアルクスを顔の高さに掲げて、眩しそうに眺めた。
しばらくそうして眺めて、深く長い溜息を吐くと、手に取った時と同じように丁寧に箱の中へ納めた。
「魂の伴侶同士の綾なす魔法は、やはり素晴らしい」
レオリムへ小箱を返し、レオリムがそれを手荷物に仕舞うと、ラドゥ様はレオの手を握った。
「おめでとう、レオリム。シーランも。二人とも、幸せになるんだよ」
僕の片手を取り、レオリムの手に重ねると、上と下から挟んで、ラドゥ様は震える声でそう言った。
僕とレオリムは、はい、と大きく頷いた。
33
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
天涯孤独になった少年は、元軍人の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
※2025/11 プロローグを追加しました
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元軍人の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
時の情景
琉斗六
BL
◎あらすじ
中学教師・榎戸時臣は聖女召喚の巻き添えで異世界へ。政治の都合で追放、辺境で教える日々。そこへ元教え子の聖騎士テオ(超絶美青年)が再会&保護宣言。王子の黒い思惑も動き出す。
◎その他
この物語は、複数のサイトに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる