20 / 86
1章
最強の婚約者
しおりを挟む
翌朝、僕たちはマリーア州侯様宅の美味しい朝餉に預かってお腹を満たした後、旅支度を整えた。
でも、出立の前にひとつ、大事なことが。
ラドゥ様に続いて、スーリアへ向かう荷物を持ってサンタナ家の馬車に乗り込んで、州侯様の馬車の後について、一緒に州府へ向かった。
これからマリーアの州府で、婚約届を提出する予定。両家の親公認、証人欄には、南海州マリーア州侯様の署名入り、立会人もマリーア州侯様。
僕たちは正式な婚約者になる。
婚約届の提出がなんだかとっても大事になっている気がして、僕は少し緊張していた。
州侯様の執務室へ通されたりしたら、緊張して当然だよね? ラドゥ様はもちろん堂々とされているし、レオリムは物珍し気に周りを見渡してるだけだったけど。
場違いな気がしていたところに、ガチガチの父さんを見て更に緊張しちゃって、州侯様に笑われちゃった。
「自邸にいるように、とは言わないが、そんなに緊張するものではないよ。こちらまで緊張してしまうよ。はは。気を楽にしなさい」
州侯様はそんな風に言ってくれたけど、州侯様の執務室には、公吏の人たちが出たり入ったりして落ち着けない。
朝一で確認しないといけない仕事をいくつか、少し失礼するよ、と州侯様が書類に目を通す間、僕たちは、それを見守りながら秘書官さんの淹れてくれたお茶を頂いた。
貴族に様々な届けが義務なのは、国が、課税と任用のために必要だから。
貴族には特権が与えられ、同時に民のため、国のために働かなくてはならない。
それらの働きを管理、運用するために、貴族の届けには、魔力の登録が必須なのだと、州府に向かう馬車の中でラドゥ様が教えてくれた。魔力は一人一人違う波長を持っているから、個人を識別するのに利用しているのだそう。
これを平民にも広げたいとがんばっている官吏もいるけど、最近は魔力の弱い、ほとんど持たない子も増えているから、なかなか難しいなぁと、顎を摩りながら言った。
『闇』が封じられる前、魔は、今よりも多く人々を脅かしていた。魔力が強く、魔を祓える者たちが、頼られ、周囲の人々を庇護していき、集団の中で有力者となり、彼らの多くが今、貴族と呼ばれている。
『闇』が封じられた今でも、封印された西の果てより魔が這い出て、獣に憑りつき魔獣となって人々を襲うことがある。それらを排し、魔を祓うには魔法が必須だ。
封印の隙間から漏れ出てくる魔。
封印を破り、再び世界を『闇』で覆おうとしているかもしれない。
いつかもしかしたら。
そんな恐れから、我々は魔力の強い者を、我々の知るところに置きたいのかもしれないね。
そう言ってラドゥ様は、馬車の窓から遠くを見詰めていた。
貴族と言うのは、色々気苦労も多いのかもしれない……ほとんど平民と同じ暮らしをしてきた僕では分からないような。
魔力をもたない人が増えたら、どうなるんだろう。
少し、背筋に冷たいものが走った。
そんな僕の様子を気にしたように、レオリムが僕の手を握った。
レオリムの温かい手に握られて、不安な気持ちが消えていく。
やがて、ひと段落着いたらしい州侯様が、待たせたね、と貴族専用の登記係という人を紹介して、手続きが始まった。
貴族の届けの提出には魔力の登録が必要で、手続きには魔力の扱いに長けた専用の係の人が当たる。
それらを知識として知ってはいたけど、自分のこととなると、妙に緊張する。
この人は、フィアルクスに宿った誓約の証を読み取れそうだな。
ふと、白い花のことを思い出してレオリムを見たけど、いつも通りの表情で、登記係の人から届けと、署名に必要な専用のペンというのを受け取っていた。
まぁ、誓約の魔法は今は滅多に使われない古い魔法だし、魂の伴侶の誓いをしたといっても、婚姻届を出せるわけでもない。報告することもないか。
ラドゥ様も、魔力の登録は適当でいいよ、個人識別みたいなものだから、と言っていたし。
それに、なんとなく、僕たちと、大事な人たちの間だけ、大切にしておきたい気持ち。
「シーラ」
レオリムが僕の名前を呼んで、ペンを差し出した。
それを受け取って、ペンに付けられた魔石に魔力を流した。透明な魔石が淡い青の光を放つ。レオリムは、燃えるような赤の光だった。
レオリムの光を見た時、ごくりと喉を鳴らした登記係の人は、僕のを見て、思わずと言った感じで、あぁ、すごいですね……と呟いた。
州侯様が、ふふ、だろう? よろしく頼むよ、とにこりと笑って、彼は、はい、もちろん、承知いたしましたと頭を下げた。
レオリムも僕の光を見て、シーラの光は綺麗だなぁと嬉しそうに言った。
レオのも、強くて綺麗な光だった。一番得意な魔法の属性の色に光るんだね。
光が消えないうちに、自分の名前を書く。
書き終えると、二人の名前が光を放った。
それぞれの魔法の色が、文字の上をなぞるように、名前の一文字目から最後の文字まで光った後、同時に金色に光って浮かび上がり、やがてじわじわと書面に浸透するように光が吸い込まれていった。
それを見届けると、登記係の人が書類を受け取り、ラドゥ様、父さん、最後に州侯様へと渡した。
それぞれが魔石のついたペンで魔力を流し、署名をする。
ラドゥ様は緑の光で、父さんは僕と同じ淡い青、州侯様は赤の光だった。
そっか、ラドゥ様は木の魔法が強いんだ。父さんは僕と同じ水の魔法。州侯様はレオと同じ火の魔法だね。
最後に、登記係の人が魔力を流すと、三人の署名が光って消えた。
それを見届けて、厳かに、正式に登録されました、と告げた。
これで、僕とレオリムは正式な婚約者。
幼馴染で、赤ちゃんの時から一緒にいる、大事な、大事な、婚約者。大好きな人。
「俺たち、なかなか最強の婚約者だな」
ふふっ。ほんとだね。
この国に4人しかいない州侯様が二人も署名してる!
海竜様の祝福まで受けてる、魂の伴侶として永遠を誓い合った立派な夫夫だしね!
ーーーーー
最後の一文を訂正しました。(2023.11.17 18:40)
海竜様の祝福もあったことをご感想を受けて思い出した作者でした。
ありがとうございます!!
すみません……最強の理由まだあったな、と。
でも、出立の前にひとつ、大事なことが。
ラドゥ様に続いて、スーリアへ向かう荷物を持ってサンタナ家の馬車に乗り込んで、州侯様の馬車の後について、一緒に州府へ向かった。
これからマリーアの州府で、婚約届を提出する予定。両家の親公認、証人欄には、南海州マリーア州侯様の署名入り、立会人もマリーア州侯様。
僕たちは正式な婚約者になる。
婚約届の提出がなんだかとっても大事になっている気がして、僕は少し緊張していた。
州侯様の執務室へ通されたりしたら、緊張して当然だよね? ラドゥ様はもちろん堂々とされているし、レオリムは物珍し気に周りを見渡してるだけだったけど。
場違いな気がしていたところに、ガチガチの父さんを見て更に緊張しちゃって、州侯様に笑われちゃった。
「自邸にいるように、とは言わないが、そんなに緊張するものではないよ。こちらまで緊張してしまうよ。はは。気を楽にしなさい」
州侯様はそんな風に言ってくれたけど、州侯様の執務室には、公吏の人たちが出たり入ったりして落ち着けない。
朝一で確認しないといけない仕事をいくつか、少し失礼するよ、と州侯様が書類に目を通す間、僕たちは、それを見守りながら秘書官さんの淹れてくれたお茶を頂いた。
貴族に様々な届けが義務なのは、国が、課税と任用のために必要だから。
貴族には特権が与えられ、同時に民のため、国のために働かなくてはならない。
それらの働きを管理、運用するために、貴族の届けには、魔力の登録が必須なのだと、州府に向かう馬車の中でラドゥ様が教えてくれた。魔力は一人一人違う波長を持っているから、個人を識別するのに利用しているのだそう。
これを平民にも広げたいとがんばっている官吏もいるけど、最近は魔力の弱い、ほとんど持たない子も増えているから、なかなか難しいなぁと、顎を摩りながら言った。
『闇』が封じられる前、魔は、今よりも多く人々を脅かしていた。魔力が強く、魔を祓える者たちが、頼られ、周囲の人々を庇護していき、集団の中で有力者となり、彼らの多くが今、貴族と呼ばれている。
『闇』が封じられた今でも、封印された西の果てより魔が這い出て、獣に憑りつき魔獣となって人々を襲うことがある。それらを排し、魔を祓うには魔法が必須だ。
封印の隙間から漏れ出てくる魔。
封印を破り、再び世界を『闇』で覆おうとしているかもしれない。
いつかもしかしたら。
そんな恐れから、我々は魔力の強い者を、我々の知るところに置きたいのかもしれないね。
そう言ってラドゥ様は、馬車の窓から遠くを見詰めていた。
貴族と言うのは、色々気苦労も多いのかもしれない……ほとんど平民と同じ暮らしをしてきた僕では分からないような。
魔力をもたない人が増えたら、どうなるんだろう。
少し、背筋に冷たいものが走った。
そんな僕の様子を気にしたように、レオリムが僕の手を握った。
レオリムの温かい手に握られて、不安な気持ちが消えていく。
やがて、ひと段落着いたらしい州侯様が、待たせたね、と貴族専用の登記係という人を紹介して、手続きが始まった。
貴族の届けの提出には魔力の登録が必要で、手続きには魔力の扱いに長けた専用の係の人が当たる。
それらを知識として知ってはいたけど、自分のこととなると、妙に緊張する。
この人は、フィアルクスに宿った誓約の証を読み取れそうだな。
ふと、白い花のことを思い出してレオリムを見たけど、いつも通りの表情で、登記係の人から届けと、署名に必要な専用のペンというのを受け取っていた。
まぁ、誓約の魔法は今は滅多に使われない古い魔法だし、魂の伴侶の誓いをしたといっても、婚姻届を出せるわけでもない。報告することもないか。
ラドゥ様も、魔力の登録は適当でいいよ、個人識別みたいなものだから、と言っていたし。
それに、なんとなく、僕たちと、大事な人たちの間だけ、大切にしておきたい気持ち。
「シーラ」
レオリムが僕の名前を呼んで、ペンを差し出した。
それを受け取って、ペンに付けられた魔石に魔力を流した。透明な魔石が淡い青の光を放つ。レオリムは、燃えるような赤の光だった。
レオリムの光を見た時、ごくりと喉を鳴らした登記係の人は、僕のを見て、思わずと言った感じで、あぁ、すごいですね……と呟いた。
州侯様が、ふふ、だろう? よろしく頼むよ、とにこりと笑って、彼は、はい、もちろん、承知いたしましたと頭を下げた。
レオリムも僕の光を見て、シーラの光は綺麗だなぁと嬉しそうに言った。
レオのも、強くて綺麗な光だった。一番得意な魔法の属性の色に光るんだね。
光が消えないうちに、自分の名前を書く。
書き終えると、二人の名前が光を放った。
それぞれの魔法の色が、文字の上をなぞるように、名前の一文字目から最後の文字まで光った後、同時に金色に光って浮かび上がり、やがてじわじわと書面に浸透するように光が吸い込まれていった。
それを見届けると、登記係の人が書類を受け取り、ラドゥ様、父さん、最後に州侯様へと渡した。
それぞれが魔石のついたペンで魔力を流し、署名をする。
ラドゥ様は緑の光で、父さんは僕と同じ淡い青、州侯様は赤の光だった。
そっか、ラドゥ様は木の魔法が強いんだ。父さんは僕と同じ水の魔法。州侯様はレオと同じ火の魔法だね。
最後に、登記係の人が魔力を流すと、三人の署名が光って消えた。
それを見届けて、厳かに、正式に登録されました、と告げた。
これで、僕とレオリムは正式な婚約者。
幼馴染で、赤ちゃんの時から一緒にいる、大事な、大事な、婚約者。大好きな人。
「俺たち、なかなか最強の婚約者だな」
ふふっ。ほんとだね。
この国に4人しかいない州侯様が二人も署名してる!
海竜様の祝福まで受けてる、魂の伴侶として永遠を誓い合った立派な夫夫だしね!
ーーーーー
最後の一文を訂正しました。(2023.11.17 18:40)
海竜様の祝福もあったことをご感想を受けて思い出した作者でした。
ありがとうございます!!
すみません……最強の理由まだあったな、と。
31
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
天涯孤独になった少年は、元軍人の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
※2025/11 プロローグを追加しました
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元軍人の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
時の情景
琉斗六
BL
◎あらすじ
中学教師・榎戸時臣は聖女召喚の巻き添えで異世界へ。政治の都合で追放、辺境で教える日々。そこへ元教え子の聖騎士テオ(超絶美青年)が再会&保護宣言。王子の黒い思惑も動き出す。
◎その他
この物語は、複数のサイトに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる