55 / 86
3章
闇の魔石
しおりを挟む
食後のお茶が済むと、僕とレオリムは、ラドゥ様に話があると言われて残り、父さんと騎士さんたちは部屋へ引き上げて行った。
「引き留めてすまないね。早く休みたいだろうが、先にこれを済ませてしまおうと思ってね」
ラドゥ様は、懐から小さな袋を出して逆さにした。コロン、と闇色の魔石がラドゥ様の手の平の上に飛び出した。ここへ来る途中で、ラドゥ様の騎士さんたちが斃した魔獣が残した、闇色の魔石。
魔獣は、斃されると黒い塵となって消えてしまうのだという。そして魔獣は、その際、魔石を残す。魔石の大きさは、魔獣の強さに比例するので、小さくて見つからない事もあるそうだけど。
闇から生まれた魔の力は、取り憑いた獣の中で結晶化していく。それは魔獣の核として、魔獣が強くなれば、より大きな魔力結晶石となる。魔獣は、核の魔石を砕くか、魔石に宿る闇を祓うと消滅するそうだ。
そう聞いて、『闇』も『同じ魂』と言った時のラドゥ様の表情を思い出した。
「これに今から、隠蔽と結界の魔法を籠めて、二人に渡そう」
以前、闇色の魔石を見詰めながら、悲し気に呟いたラドゥ様の声を思い出していたら、なんだか、わくわくとした声色が聞こえた気がして、魔石からラドゥ様のお顔へ視線を移した。
「これを二つに分けて、隠蔽と結界の魔法を籠めるには、少々複雑な手順が必要でね! 私も触媒なしではさすがに難しくてね!」
弾んだ声でそう言ったラドゥ様は、魔石を乗せた手とは、反対の手を上げた。
すると、執事さんが、何かを乗せた盆を掲げて近付いてきて、ラドゥ様の隣まで来ると、恭しくその盆を卓の上に置いた。
静かに置かれた盆の上には、小さなクッションに置かれたの二つの小さな魔石と、羊皮紙。
ありがとう、と執事さんに言って、ラドゥ様は、魔石と羊皮紙を手に取った。執事さんは、感激を抑えた表情で、数歩下がって、その場に控えた。
「これは、昔、水の巫覡殿の作られた魔石でね。天人水晶と呼ぶのが正しいな。これを触媒として……」
ラドゥ様がうきうきとと説明してくれたところによると、闇の魔石を砕いて2つにすることも可能だけど、どうせなら、より強固なお護りにしたい。そのために、魔力結晶石を魔力へ戻し、2つに分けて再結晶化する、それに、羊皮紙に描かれた魔法陣と天人水晶を使う。それから隠蔽と結界の魔法を籠める、そうだ。
ラドゥ様の説明に熱が入るにつれ、後ろに控える執事さんの表情も輝き出した。
魔法バカだ……魔法バカが少なくとも二人はいる。
「元々ひとつの魔石だから、互いの場所を感知も出来るハズだよ!」
レオリムも、魔法が好きだから、熱心に聞いていたけど、ラドゥ様のこの言葉に身を乗り出した。
「それを身に着けていれば、シーラの場所がいつでも分かるってこと?」
「そうなるね」
僕も魔法や魔石のことは好きだから、確かに興味深い。どんなお護りになるか気になる。でもレオのそれは、違うね?!
ラドゥ様は、羊皮紙に描かれた魔法陣の中央に闇の魔石を置いた。ふたつの天人水晶は、魔石の両隣りに、一列になる様に並べられた。それぞれの魔石の下には小さい円が描かれていて、魔法陣はそれらの円と、文字と模様がいくつも重なり合い、複雑に絡み合うように描き込まれている。魔法陣は、描かれた線のひとつひとつに意味がある。いくつかは読み取れるものもあるけど、はっきり言って全然分からない魔法式だった。
「時の魔法と、魔力構築の魔法式が組み込まれた魔法陣だよ。時を遡って結晶を解き、魔力そのものに戻して、二つの天人水晶を触媒に再結晶化させることが出来る」
ラドゥ様は、目を閉じて、神経を集中させるように呼吸を繰り返した。
僕たちは、黙ってその様子を見ていた。
やがて、ラドゥ様から、ゆらりと陽炎の様に、魔力が立ち昇る。
「それじゃあ、はじめよう」
パチリと目を開けて、魔法陣の上に手を翳した。
「滔々たる流れ、逆巻き凍解け、叡智なる光の環へ」
詠唱を始めると、ラドゥ様の手の平から魔法陣へ向けて魔力が流れ輝き始めた。全体に魔力が行き渡り、魔法陣に描かれた線に沿って光が浮かび上がる。魔法陣の上を魔力が行き交い、魔力が渦巻いた。魔力のうねりは、最初は小さくゆっくりと中央の闇の魔石へ向かって流れ、やがてぐんぐんと、魔石へ集まっていく。パチパチと魔力が弾ける。
ゆらりと、闇の魔石が揺れた。じわりと輪郭が溶けて、魔石だったものが、ふわりと浮き上がり、魔法陣の中央でゆらゆらと揺蕩う。魔力そのもの、光の塊になった魔石は、左右の天人水晶へ、水が流れるように分かれて、それぞれの天人水晶を覆い、混ざり合った。光の塊は、透明な粘土のようになって、しばらくぐねぐねと動いて、ゆっくりと形を変えていった。真ん中にぽかりと穴が開いて、それらは丸い環になった。
魔法陣に満ちていた魔力が、二つの環へ集約していく。
眩い光が弾ける様に膨らんで、目の前が真っ白になった。
思わず目を閉じて、光の気配が消えてから目を開いても、しばらく視界は真っ白のままだった。
「……指輪になった」
隣のレオリムが、ぼそりと呟く。
僕も目を凝らしてよく見ると、確かに、魔法陣の中、二つの薄い水色の小さな天人水晶が置かれていた場所に、闇の魔石と同じ色合いの、指輪の形をしたものがあった。中央にあった闇の魔石はなくなっていた。
「うん、うまく分けられたね」
ラドゥ様は、二つの指輪を手に取って、検分するように眺めた。
「レオリム、シーラン、手を出して」
ラドゥ様に言われて、両手を出す。レオリムと僕、それぞれに指輪を渡された。
ひんやりとした感触が不思議だった。
「どの指でもいいよ。大きさは大丈夫かな」
そう言われて、左の中指に嵌めてみる。レオリムは、僕の様子を見て、同じ指に嵌めた。
「良さそうだね。それじゃあ、隠蔽と結界の魔法を籠めるから、貸してごらん」
指輪をラドゥ様へ返す。
ラドゥ様は、左右の手の平にそれぞれ一つずつ指輪を乗せ、目を閉じた。すぐに手の平から魔力が立ち昇り、螺旋の渦を作って指輪を覆った。螺旋の渦は幾筋もの光になって、指輪の内側と外側をぐるぐると渦巻き、刻まれていき、すぅーっと指輪に吸い込まれていった。
ラドゥ様は、また指輪を指で摘んで、検分して、満足気に頷いた。
「見るかい?」
執事さんに向けて、ラドゥ様が声を掛けると、執事さんは、失礼します、と告げて、ラドゥ様が手の平に置いた二つの指輪を食い入るように見詰めた。
「素晴らしい魔法を拝見させて頂き、ありがとうございます……!」
感激したように言って、執事さんは、深く礼をした。
ラドゥ様は、ふふふ、と笑って僕たちに向き直り、ぽい、ぽい、と指輪を渡した。
「当分は、肌身離さず、つけておくんだよ」
これ、国家予算くらい、しない?
「引き留めてすまないね。早く休みたいだろうが、先にこれを済ませてしまおうと思ってね」
ラドゥ様は、懐から小さな袋を出して逆さにした。コロン、と闇色の魔石がラドゥ様の手の平の上に飛び出した。ここへ来る途中で、ラドゥ様の騎士さんたちが斃した魔獣が残した、闇色の魔石。
魔獣は、斃されると黒い塵となって消えてしまうのだという。そして魔獣は、その際、魔石を残す。魔石の大きさは、魔獣の強さに比例するので、小さくて見つからない事もあるそうだけど。
闇から生まれた魔の力は、取り憑いた獣の中で結晶化していく。それは魔獣の核として、魔獣が強くなれば、より大きな魔力結晶石となる。魔獣は、核の魔石を砕くか、魔石に宿る闇を祓うと消滅するそうだ。
そう聞いて、『闇』も『同じ魂』と言った時のラドゥ様の表情を思い出した。
「これに今から、隠蔽と結界の魔法を籠めて、二人に渡そう」
以前、闇色の魔石を見詰めながら、悲し気に呟いたラドゥ様の声を思い出していたら、なんだか、わくわくとした声色が聞こえた気がして、魔石からラドゥ様のお顔へ視線を移した。
「これを二つに分けて、隠蔽と結界の魔法を籠めるには、少々複雑な手順が必要でね! 私も触媒なしではさすがに難しくてね!」
弾んだ声でそう言ったラドゥ様は、魔石を乗せた手とは、反対の手を上げた。
すると、執事さんが、何かを乗せた盆を掲げて近付いてきて、ラドゥ様の隣まで来ると、恭しくその盆を卓の上に置いた。
静かに置かれた盆の上には、小さなクッションに置かれたの二つの小さな魔石と、羊皮紙。
ありがとう、と執事さんに言って、ラドゥ様は、魔石と羊皮紙を手に取った。執事さんは、感激を抑えた表情で、数歩下がって、その場に控えた。
「これは、昔、水の巫覡殿の作られた魔石でね。天人水晶と呼ぶのが正しいな。これを触媒として……」
ラドゥ様がうきうきとと説明してくれたところによると、闇の魔石を砕いて2つにすることも可能だけど、どうせなら、より強固なお護りにしたい。そのために、魔力結晶石を魔力へ戻し、2つに分けて再結晶化する、それに、羊皮紙に描かれた魔法陣と天人水晶を使う。それから隠蔽と結界の魔法を籠める、そうだ。
ラドゥ様の説明に熱が入るにつれ、後ろに控える執事さんの表情も輝き出した。
魔法バカだ……魔法バカが少なくとも二人はいる。
「元々ひとつの魔石だから、互いの場所を感知も出来るハズだよ!」
レオリムも、魔法が好きだから、熱心に聞いていたけど、ラドゥ様のこの言葉に身を乗り出した。
「それを身に着けていれば、シーラの場所がいつでも分かるってこと?」
「そうなるね」
僕も魔法や魔石のことは好きだから、確かに興味深い。どんなお護りになるか気になる。でもレオのそれは、違うね?!
ラドゥ様は、羊皮紙に描かれた魔法陣の中央に闇の魔石を置いた。ふたつの天人水晶は、魔石の両隣りに、一列になる様に並べられた。それぞれの魔石の下には小さい円が描かれていて、魔法陣はそれらの円と、文字と模様がいくつも重なり合い、複雑に絡み合うように描き込まれている。魔法陣は、描かれた線のひとつひとつに意味がある。いくつかは読み取れるものもあるけど、はっきり言って全然分からない魔法式だった。
「時の魔法と、魔力構築の魔法式が組み込まれた魔法陣だよ。時を遡って結晶を解き、魔力そのものに戻して、二つの天人水晶を触媒に再結晶化させることが出来る」
ラドゥ様は、目を閉じて、神経を集中させるように呼吸を繰り返した。
僕たちは、黙ってその様子を見ていた。
やがて、ラドゥ様から、ゆらりと陽炎の様に、魔力が立ち昇る。
「それじゃあ、はじめよう」
パチリと目を開けて、魔法陣の上に手を翳した。
「滔々たる流れ、逆巻き凍解け、叡智なる光の環へ」
詠唱を始めると、ラドゥ様の手の平から魔法陣へ向けて魔力が流れ輝き始めた。全体に魔力が行き渡り、魔法陣に描かれた線に沿って光が浮かび上がる。魔法陣の上を魔力が行き交い、魔力が渦巻いた。魔力のうねりは、最初は小さくゆっくりと中央の闇の魔石へ向かって流れ、やがてぐんぐんと、魔石へ集まっていく。パチパチと魔力が弾ける。
ゆらりと、闇の魔石が揺れた。じわりと輪郭が溶けて、魔石だったものが、ふわりと浮き上がり、魔法陣の中央でゆらゆらと揺蕩う。魔力そのもの、光の塊になった魔石は、左右の天人水晶へ、水が流れるように分かれて、それぞれの天人水晶を覆い、混ざり合った。光の塊は、透明な粘土のようになって、しばらくぐねぐねと動いて、ゆっくりと形を変えていった。真ん中にぽかりと穴が開いて、それらは丸い環になった。
魔法陣に満ちていた魔力が、二つの環へ集約していく。
眩い光が弾ける様に膨らんで、目の前が真っ白になった。
思わず目を閉じて、光の気配が消えてから目を開いても、しばらく視界は真っ白のままだった。
「……指輪になった」
隣のレオリムが、ぼそりと呟く。
僕も目を凝らしてよく見ると、確かに、魔法陣の中、二つの薄い水色の小さな天人水晶が置かれていた場所に、闇の魔石と同じ色合いの、指輪の形をしたものがあった。中央にあった闇の魔石はなくなっていた。
「うん、うまく分けられたね」
ラドゥ様は、二つの指輪を手に取って、検分するように眺めた。
「レオリム、シーラン、手を出して」
ラドゥ様に言われて、両手を出す。レオリムと僕、それぞれに指輪を渡された。
ひんやりとした感触が不思議だった。
「どの指でもいいよ。大きさは大丈夫かな」
そう言われて、左の中指に嵌めてみる。レオリムは、僕の様子を見て、同じ指に嵌めた。
「良さそうだね。それじゃあ、隠蔽と結界の魔法を籠めるから、貸してごらん」
指輪をラドゥ様へ返す。
ラドゥ様は、左右の手の平にそれぞれ一つずつ指輪を乗せ、目を閉じた。すぐに手の平から魔力が立ち昇り、螺旋の渦を作って指輪を覆った。螺旋の渦は幾筋もの光になって、指輪の内側と外側をぐるぐると渦巻き、刻まれていき、すぅーっと指輪に吸い込まれていった。
ラドゥ様は、また指輪を指で摘んで、検分して、満足気に頷いた。
「見るかい?」
執事さんに向けて、ラドゥ様が声を掛けると、執事さんは、失礼します、と告げて、ラドゥ様が手の平に置いた二つの指輪を食い入るように見詰めた。
「素晴らしい魔法を拝見させて頂き、ありがとうございます……!」
感激したように言って、執事さんは、深く礼をした。
ラドゥ様は、ふふふ、と笑って僕たちに向き直り、ぽい、ぽい、と指輪を渡した。
「当分は、肌身離さず、つけておくんだよ」
これ、国家予算くらい、しない?
43
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる