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3章
おみやげ探し・1
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ラドゥ様のすごい魔法を見て、特別なお護りの指輪をもらって、興奮したまま部屋に引き上げた。すぐにでもレオリムと魔法の話をしたかったけど、止まらなくなりそうだったから、お風呂に入ってからにした。髪の毛が乾き切るのも待てず、ラドゥ様に聞いた指輪に籠められた魔法を確認した。
指輪を外し、手の平に乗せて魔力を流してみると、刻まれた魔法が、繊細な紋様となって指輪の裏側に浮かび上がった。同時に、二つの指輪が共鳴する気配がした。僕たちは、指輪をそれぞれ嵌めて、別々の部屋に行った。最初はレオリムが魔力を流すと打ち合わせて。指輪を見ながら待っていると、指輪が応えるように震えるような感じがした。音はしないけど、鳴っている感じ。僕も魔力を流す。共鳴の気配が強くなる。腕を水平にしてゆっくり回転すると、共鳴が強くなる方向があった。レオリムのいる部屋の方だ。なるほど、これで指輪の片割れを感知できるってことだ。
共鳴が、段々強くなる。
バタン! と扉が開いて、レオリムが手を翳しながら入って来た。魔力を流すのを止めたら、共鳴は止まる。
「すごいな!」
その後も、流す魔力の強さを変えてみたり、一人で重ね付けしてみたり、一通り試すと、レオリムがポツリと言った。
「ほんとは、指輪も俺が最初に贈りたかった」
父上が作ってくれたすごい指輪だし、お揃いなのも嬉しいけど、と、ちょっと唇を尖らせてレオリムがそう言ったので、笑ってしまった。レオリムって、ほんと、僕のことに関しては欲張りだよね。
最初から、レオリムは僕と同じ指に嵌めたけど、改めて、左手の中指につけようということになった。
「いつか、俺からももっとすごいのを贈るから!」
「うん、その時は、僕もレオに贈りたい」
レオリムの顔が近付いて、ちゅ、と軽く触れた。
話が尽きなくて、同じ寝台に潜り込んでいた僕たちは、目を合わせて笑い合って、それから抱き合って……気が付いたら、朝だった。馬車の旅の疲れが溜まっていたのと、サンタナ侯爵邸の寝具は、今までで一番寝心地が良かったからか、朝の目覚めが良い僕たちが、従僕さんのドアをノックする音で起こされるまでぐっすりだった。
レオリムが、がばりと身体を起こして、従僕さんにドア越しに返事をして、立ち去る気配を感じた。ぽすんと、頭から枕に倒れ込んで、首を廻して、レオリムが僕を見た。
「シーラ、おはよ」
「おはよ」
今朝のおはようのキスは、僕から。
朝餉は、晩餐室とは別の部屋に用意されていた。円卓が三卓並んでいて、その一つで、ラドゥ様と父さんが食事をしていた。他の二卓は、騎士さんたちが食事をしていた。僕たちは、挨拶をしながら横を通って、父さんたちと同じ円卓に着いた。
「おはようございます」
「おはよう」
挨拶をして席に着くと、すぐに従僕さんがお茶を淹れてくれた。レオリムは、父さんたちの前にあるお皿を見て、鼻をヒクヒクさせる。昨日お肉をあんなに食べたのに、燻製肉と腸詰肉に熱い視線を送っている。
「昨日はありがとうございました」
左の手の指輪を撫でながら、指輪のお礼を言うと、ラドゥ様は僕たちの手元を見て、にこっと笑った。うんうんと頷きながら、ぱくりと燻製肉のソテーを口に運んだ。レオリムのお腹が、くぅ、と鳴って、部屋のあちこちから、クスクスと笑い声。
僕たちの元にも、朝餉のお皿が運ばれてきた。目玉焼きが二つ、揚芋、煮豆、燻製肉と腸詰肉、野菜とキノコのソテー、麺麭。レオリムは、さらに鼻をピクピクさせて、従僕さんが席を離れた途端、かぶりついた。まずは腸詰なんだね。パリッと香ばしい音。僕は、揚芋から。
「今日はね、二人に王都の街の散策を勧めようと思っていてね。その前にお護りを用意出来て良かった」
半分くらい食べ進めて、少しお腹が落ち着いた頃合いを見計らったように、ラドゥ様が、そう声を掛けた。父さんは、ラドゥ様の言葉で、何かを思い出したように、シーラン、と僕を呼んだ。
「イラーゼたちへのおみやげを、買って来てくれないか」
「おみやげ?」
「そうだ。アランカと、赤ん坊の分も忘れずに頼む」
「分かった」
確かに。学園都市より、王都の方が、おみやげ色々ありそう。
レオリムと顔を見合わせ頷き合う。港や、学校のみんなの分も買って良いかな。
「王都に詳しいのと一緒に行くと良いよ。誰が良いかな」
ラドゥ様が横の円卓を見ながら言うと、騎士さんの一人が、騎士のみんなを見渡してから答えた。
「マーチナーとエイプハラフはどうでしょう。王都出身です」
名前を挙げられたマーチナーさんが、苦笑しながら手を上げた。
「喜んでお供しますが、詳しくはないですよ。王都にいたのは、もうずいぶん昔なので」
「エイプハラフは、王都邸の警備もしていたろう」
エイプハラフさんは、いなかった。今、ここで朝餉を摂っている騎士さんは、半数の6人だ。マーチナーさんは、エイプハラフもどうかなぁ、アイツも王都を離れてずいぶん経つだろうと言うと、最初に二人の名前を挙げた騎士さんが、俺たちよりはマシだろうと言った。それで、マーチナーさんは、立ち上がり、胸に手を当てて頭を下げた。
「拝命致します。エイプハラフには私から伝えます。昼餉はどうなさいますか」
レオリムを見ると、ぱぁっと明るい笑顔。ラドゥ様は、美味しいものを見つけておいで、と笑った。
指輪を外し、手の平に乗せて魔力を流してみると、刻まれた魔法が、繊細な紋様となって指輪の裏側に浮かび上がった。同時に、二つの指輪が共鳴する気配がした。僕たちは、指輪をそれぞれ嵌めて、別々の部屋に行った。最初はレオリムが魔力を流すと打ち合わせて。指輪を見ながら待っていると、指輪が応えるように震えるような感じがした。音はしないけど、鳴っている感じ。僕も魔力を流す。共鳴の気配が強くなる。腕を水平にしてゆっくり回転すると、共鳴が強くなる方向があった。レオリムのいる部屋の方だ。なるほど、これで指輪の片割れを感知できるってことだ。
共鳴が、段々強くなる。
バタン! と扉が開いて、レオリムが手を翳しながら入って来た。魔力を流すのを止めたら、共鳴は止まる。
「すごいな!」
その後も、流す魔力の強さを変えてみたり、一人で重ね付けしてみたり、一通り試すと、レオリムがポツリと言った。
「ほんとは、指輪も俺が最初に贈りたかった」
父上が作ってくれたすごい指輪だし、お揃いなのも嬉しいけど、と、ちょっと唇を尖らせてレオリムがそう言ったので、笑ってしまった。レオリムって、ほんと、僕のことに関しては欲張りだよね。
最初から、レオリムは僕と同じ指に嵌めたけど、改めて、左手の中指につけようということになった。
「いつか、俺からももっとすごいのを贈るから!」
「うん、その時は、僕もレオに贈りたい」
レオリムの顔が近付いて、ちゅ、と軽く触れた。
話が尽きなくて、同じ寝台に潜り込んでいた僕たちは、目を合わせて笑い合って、それから抱き合って……気が付いたら、朝だった。馬車の旅の疲れが溜まっていたのと、サンタナ侯爵邸の寝具は、今までで一番寝心地が良かったからか、朝の目覚めが良い僕たちが、従僕さんのドアをノックする音で起こされるまでぐっすりだった。
レオリムが、がばりと身体を起こして、従僕さんにドア越しに返事をして、立ち去る気配を感じた。ぽすんと、頭から枕に倒れ込んで、首を廻して、レオリムが僕を見た。
「シーラ、おはよ」
「おはよ」
今朝のおはようのキスは、僕から。
朝餉は、晩餐室とは別の部屋に用意されていた。円卓が三卓並んでいて、その一つで、ラドゥ様と父さんが食事をしていた。他の二卓は、騎士さんたちが食事をしていた。僕たちは、挨拶をしながら横を通って、父さんたちと同じ円卓に着いた。
「おはようございます」
「おはよう」
挨拶をして席に着くと、すぐに従僕さんがお茶を淹れてくれた。レオリムは、父さんたちの前にあるお皿を見て、鼻をヒクヒクさせる。昨日お肉をあんなに食べたのに、燻製肉と腸詰肉に熱い視線を送っている。
「昨日はありがとうございました」
左の手の指輪を撫でながら、指輪のお礼を言うと、ラドゥ様は僕たちの手元を見て、にこっと笑った。うんうんと頷きながら、ぱくりと燻製肉のソテーを口に運んだ。レオリムのお腹が、くぅ、と鳴って、部屋のあちこちから、クスクスと笑い声。
僕たちの元にも、朝餉のお皿が運ばれてきた。目玉焼きが二つ、揚芋、煮豆、燻製肉と腸詰肉、野菜とキノコのソテー、麺麭。レオリムは、さらに鼻をピクピクさせて、従僕さんが席を離れた途端、かぶりついた。まずは腸詰なんだね。パリッと香ばしい音。僕は、揚芋から。
「今日はね、二人に王都の街の散策を勧めようと思っていてね。その前にお護りを用意出来て良かった」
半分くらい食べ進めて、少しお腹が落ち着いた頃合いを見計らったように、ラドゥ様が、そう声を掛けた。父さんは、ラドゥ様の言葉で、何かを思い出したように、シーラン、と僕を呼んだ。
「イラーゼたちへのおみやげを、買って来てくれないか」
「おみやげ?」
「そうだ。アランカと、赤ん坊の分も忘れずに頼む」
「分かった」
確かに。学園都市より、王都の方が、おみやげ色々ありそう。
レオリムと顔を見合わせ頷き合う。港や、学校のみんなの分も買って良いかな。
「王都に詳しいのと一緒に行くと良いよ。誰が良いかな」
ラドゥ様が横の円卓を見ながら言うと、騎士さんの一人が、騎士のみんなを見渡してから答えた。
「マーチナーとエイプハラフはどうでしょう。王都出身です」
名前を挙げられたマーチナーさんが、苦笑しながら手を上げた。
「喜んでお供しますが、詳しくはないですよ。王都にいたのは、もうずいぶん昔なので」
「エイプハラフは、王都邸の警備もしていたろう」
エイプハラフさんは、いなかった。今、ここで朝餉を摂っている騎士さんは、半数の6人だ。マーチナーさんは、エイプハラフもどうかなぁ、アイツも王都を離れてずいぶん経つだろうと言うと、最初に二人の名前を挙げた騎士さんが、俺たちよりはマシだろうと言った。それで、マーチナーさんは、立ち上がり、胸に手を当てて頭を下げた。
「拝命致します。エイプハラフには私から伝えます。昼餉はどうなさいますか」
レオリムを見ると、ぱぁっと明るい笑顔。ラドゥ様は、美味しいものを見つけておいで、と笑った。
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