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■Ⅴ■ON INDIA■
[1]ウサギの正体 ● 怪力のワケ (S&U)
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「どうして……? 「あれ」も「これ」も早く来てほしいという意志表示だったのに」
「……そうでしょうか? そうせずとも定期的に伺っている筈ですが」
頭の上で「二人」の会話が聞こえた。先の声には聞き覚えがないが、若い男のようだ。答えたのはメリルだが、明らかに嫌悪が感じられた。
「マザーシップでお二人から事情をお聴きしている間に、シド様が『ムーン・バイキング』の内部を偵察していたことは記憶にございます。あの時操舵室に煙幕装置を、エンジン・ルームに爆発物を仕掛けられましたね?」
「それくらい構わないと思うけれど? あちらは私の船に大穴を開けてくれたのだから、これでおあいこ、でしょ?」
「お二人は修理代を弁償する予定でございました」
「私の元へ姫を届けるという約束を破った報いだとしたら、こちらが責められる覚えはないけどね」
「……」
頭に靄が掛かったようで、夢なのか現実なのかもハッキリしない。確かなことはメリルが青年にやり込められている、ということくらいだった。
「ガブリエル様はシド様との約束をお守りするつもりでございました。今回のことはわたくしが無理にお願いしたまでです。報いを受けるべきはわたくしでございます」
「ふ~ん、じゃあ姫は私からお仕置きされたかったってこと? お仕置きされたくて寄らずに帰ろうとしたの? 違うよね? 全てはクウヤのためだ。どうして? こんな──」
会話に自分の名が現れて、ようやく意識が覚醒した。クウヤは勢い良く身を起こして、背後の二人を振り返った。同時に二人の横顔もこちらを向く──少し気まずそうなメリルと、特に驚いた気配もなく悠然とした美しい青年。
「もう少し眠っていてくれても良かったのに」
「……え?」
まるで手術室のような真っ白で眩しい空間のど真ん中、クウヤは寝台から脚を下ろし、メリルとの時間を邪魔されたような発言をして近付く青年と相対する。メリルと同じく西欧風な彼自身も、透けるような白い肌と、肩に掛かるホワイト・グレイの髪が室内に溶け込んで、まだ視力が完全に機能していないクウヤには、その輪郭はおぼつかなかった。
「クウヤ様、お身体に問題はございませんか? こちらは……ムンバイ上空です」
「姫、まずは場所より私を紹介すべきでしょ? やぁ、クウヤ。『ムーン・シールド』上でのお目覚めはいかがかい?」
「ムーン……、着いたのか!?」
だがその前にメリルは「ムンバイ上空」と言った。つまり──
「……シドに捕まったのか?」
操舵室の白煙の中、見えた余分な影にはウサギのような長い耳があった。クウヤはそれを思い出し、この白い空間にもシドウサギが紛れ込んでいるのではないかと見回した。
「捕まったとは聞き捨てならないね。私は二人をお招きしたまでだ」
「クウヤ様……こちらがウサギ型ロボットの持ち主であられます……シド様、です」
「え? あ……シドっ!?」
徐々に鮮明になった目の前の青年が、ニッコリと笑って握手を求めてくる。驚きで呆然としたクウヤの右手を強引に握り締める青年「シド」。その袖口へ目をやれば様々な色のシミで汚れていて、見上げてみれば彼を覆う白衣は、至る所そんな汚れで染められていた。
「あれを介して会話していたから、初対面の気がしないね。そろそろお腹も空いたんじゃない? ダイニングへ案内するよ」
「……ぇえ?」
シドはそのまま右手を引き寄せ、クウヤを無理矢理立たせた。メリルの向こうの出口へと二人を手招きする。無言で視線を合わせたメリルと共に、クウヤはシドの後を追った。
この「シド」があのシドと呼ばれたウサギの主人で、シドウサギを介して会話していたというからには、あの声そのものがこの青年だったということだ。ロボットを通しての声質は機械的で、かなり特異な喋り方をしていたが、目の前の青年はやや嘲笑的であるものの、それなりにまともな雰囲気ではあった。が、これだけメリルが警戒気味に遠巻きにするのだから、やはりクセ者ではあるのだろう。
ガラス張りの温室のような広い部屋に通されて、楕円形のガラステーブルの端に着く。何時間眠っていたのか、外は夜のような暗闇で何も見えなかった。やがてあのシドウサギが料理を乗せたワゴンを押してきて、クウヤは一瞬ビクッとした。反対の端に着席したシドが面白そうに笑う。が、その声はシドウサギのスピーカーを経由することなく、しっかり青年の口元から聞こえてきた。
「色々と悪かったね。こうでもしないと姫が来てくれなかったもので」
「海賊船はどうなったんだ? 二人は無事なのか?」
質問は青年へ向けて発したが、それからクウヤは斜め後ろに立つメリルの表情を見上げてみた。
「ご心配なく、姫にはこれ以上嫌われたくないのでね。あれ以上は損傷させずに不時着させてあげたよ。二人も無事な筈だ」
この答えはメリルもまだ聞き出せていなかったらしい。クウヤと共に安堵の溜息が零れ落ちた。
「どうしてあんなことを……その前にあんたらの関係も教えてほしいけどな」
この日もマザーシップで朝食を食べたきり、クウヤは何も口に出来ていなかったため、無言のシドウサギから供された食事にがっつきながら尋ねる。場所はインドの上空であったが、シドの母国らしい西欧料理のフルコースであった。
「ではまず……私は彼女のメンテナンス・ドクターだよ。三ヶ月に一度は此処に来てもらい、メンテナンスを行なう。けれど最近半年に一度しか来てもらえなくてね……寂しいからちょっと悪戯しちゃったワケ」
「イタズラ?」
その言葉にクウヤは少し前の過去を思い出した。ラヴィから貰い受けた軽自動車を大破させた後、メリルが発した「あのお方の悪戯が功を奏した模様です」──「あのお方」というのがシドだったということか?
「前回のメンテナンスの時、彼女の右手にちょっと細工をさせてもらってね。盗聴マイクとリモート・システムを混入させてもらったんだ。だから君のこともある程度会話から知ることが出来たし……姫がバンコクの市場で君の腕を掴んだ時、ちょっと力を倍にしてみた」
「あれ、あんたの仕業だったのかよ……」
メリルに急かされ腕を引かれた際に、異様な怪力で悲鳴を上げたあの時のことは良く覚えている。それをまさかシドが遠隔操作で倍増させていたとは──シドはついでに『ムーン・モービル』走行中の「ロケットランチャー本体投げつけ攻撃」についても、手助けしたことを告白した。
「まぁ盗聴はやり過ぎたかと反省もしているよ。姫、今夜はもう遅いから明朝剥離作業を行なおう。大丈夫、クウヤに立ち会ってもらうから……なら、いいよね?」
「立ち会う? 俺が?」
「……」
再び振り向いて見上げたメリルの顔は、じっとシドへと向けられたまま、しばらく返事をすることはなかった。が、熟考したのだろう、
「分かりました。お願い致します」
その「お願い致します」は、シドと、そしてクウヤに向けられたように視線が移動した。
「あ、あぁ、了解」
「さて……クウヤ、おかわりは?」
「え?」
姿勢を戻した先のシドがクウヤの腹具合を尋ねる。ちょうど全皿を空にしたところだ。
「いや、もう十分……どうもご馳走様、でした」
「なら、今日は疲れただろうし、話の続きも明日にしようか。客室は幾つかあるから適当に使ってくれていいよ。明日朝八時半までに此処で食事を済ませて、先ほど君が眠っていたメンテナンス・ルームへ来て」
シドが指を鳴らすと、あのウサギ型ロボットがやって来た。どうやらシドが音声を当てないと話すことはないらしい。二人を案内するように目の前でクルリと方向転換をして出口を目指す。釣られて歩き出したクウヤはふと振り向いてみたが、既にシドはテーブルから消えていた。
「……お宅の整備士は随分変わりもんだな」
ウサギ型ロボットが二人を案内し終えて帰っていった直後、クウヤの入室まで廊下に待機していたメリルへ、クウヤは何とも言えない表情を見せた。
メリルが人間だったら犯罪レベルのストーカー野郎で間違いない。が、対象がアンドロイドだとなると、監視や研究のためだと言われれば反論は難しくなる。加えて現在彼のテリトリーにいる訳だから、此処で大っぴらに責め立てるのは身の危険も懸念された。
「明日のわたくしのメンテナンスについてですが」
「うん? ……あぁ」
メリルは先の感想には反応することなく話を進めた。
「シド様が仰いました通り、不具合がございますのはわたくしの右手──詳しくは前腕部のみになります」
「ふむ」
その不具合を作ったのは整備士本人な上に、それが故意だというのだから、厄介なもんだと内心クウヤは苦笑した。
「施術中わたくしはスリープ状態に入りますので、全ての対応が難しくなります。そのためクウヤ様には大変お手数をお掛けしてしまうのですが……シド様がわたくしの他の部位に触れないよう監視をお願いしたいのです」
「え? ……あ、ぁ……わ、分かった」
クウヤがこれほど返答を言い淀んだのは、メリルの表情が言葉以上に懇願を示していたからだった。整備対象が整備士にこれほどの憂慮を抱えるというのは、一体どういった経緯からなのだろう? それでもメリルが此処に来なければならないというのは、他に整備出来る人間がいないということなのだろうか?
「誠にありがとうございます、クウヤ様」
いつものように深く腰を折り礼を捧げたメリルの面は、少しばかり気が楽になったように和らいで見えた。
「じゃあ、明日な。おやすみ、メリル」
「おやすみなさいませ、クウヤ様」
部屋に入って一息をつき、クウヤは早速シャワーを浴びた。
しっかり監視出来るように良く眠っておかなきゃいけない──珍しく結んだメリルとの約束を必ず果たしたいと、不思議と強く思っていた──。
「……そうでしょうか? そうせずとも定期的に伺っている筈ですが」
頭の上で「二人」の会話が聞こえた。先の声には聞き覚えがないが、若い男のようだ。答えたのはメリルだが、明らかに嫌悪が感じられた。
「マザーシップでお二人から事情をお聴きしている間に、シド様が『ムーン・バイキング』の内部を偵察していたことは記憶にございます。あの時操舵室に煙幕装置を、エンジン・ルームに爆発物を仕掛けられましたね?」
「それくらい構わないと思うけれど? あちらは私の船に大穴を開けてくれたのだから、これでおあいこ、でしょ?」
「お二人は修理代を弁償する予定でございました」
「私の元へ姫を届けるという約束を破った報いだとしたら、こちらが責められる覚えはないけどね」
「……」
頭に靄が掛かったようで、夢なのか現実なのかもハッキリしない。確かなことはメリルが青年にやり込められている、ということくらいだった。
「ガブリエル様はシド様との約束をお守りするつもりでございました。今回のことはわたくしが無理にお願いしたまでです。報いを受けるべきはわたくしでございます」
「ふ~ん、じゃあ姫は私からお仕置きされたかったってこと? お仕置きされたくて寄らずに帰ろうとしたの? 違うよね? 全てはクウヤのためだ。どうして? こんな──」
会話に自分の名が現れて、ようやく意識が覚醒した。クウヤは勢い良く身を起こして、背後の二人を振り返った。同時に二人の横顔もこちらを向く──少し気まずそうなメリルと、特に驚いた気配もなく悠然とした美しい青年。
「もう少し眠っていてくれても良かったのに」
「……え?」
まるで手術室のような真っ白で眩しい空間のど真ん中、クウヤは寝台から脚を下ろし、メリルとの時間を邪魔されたような発言をして近付く青年と相対する。メリルと同じく西欧風な彼自身も、透けるような白い肌と、肩に掛かるホワイト・グレイの髪が室内に溶け込んで、まだ視力が完全に機能していないクウヤには、その輪郭はおぼつかなかった。
「クウヤ様、お身体に問題はございませんか? こちらは……ムンバイ上空です」
「姫、まずは場所より私を紹介すべきでしょ? やぁ、クウヤ。『ムーン・シールド』上でのお目覚めはいかがかい?」
「ムーン……、着いたのか!?」
だがその前にメリルは「ムンバイ上空」と言った。つまり──
「……シドに捕まったのか?」
操舵室の白煙の中、見えた余分な影にはウサギのような長い耳があった。クウヤはそれを思い出し、この白い空間にもシドウサギが紛れ込んでいるのではないかと見回した。
「捕まったとは聞き捨てならないね。私は二人をお招きしたまでだ」
「クウヤ様……こちらがウサギ型ロボットの持ち主であられます……シド様、です」
「え? あ……シドっ!?」
徐々に鮮明になった目の前の青年が、ニッコリと笑って握手を求めてくる。驚きで呆然としたクウヤの右手を強引に握り締める青年「シド」。その袖口へ目をやれば様々な色のシミで汚れていて、見上げてみれば彼を覆う白衣は、至る所そんな汚れで染められていた。
「あれを介して会話していたから、初対面の気がしないね。そろそろお腹も空いたんじゃない? ダイニングへ案内するよ」
「……ぇえ?」
シドはそのまま右手を引き寄せ、クウヤを無理矢理立たせた。メリルの向こうの出口へと二人を手招きする。無言で視線を合わせたメリルと共に、クウヤはシドの後を追った。
この「シド」があのシドと呼ばれたウサギの主人で、シドウサギを介して会話していたというからには、あの声そのものがこの青年だったということだ。ロボットを通しての声質は機械的で、かなり特異な喋り方をしていたが、目の前の青年はやや嘲笑的であるものの、それなりにまともな雰囲気ではあった。が、これだけメリルが警戒気味に遠巻きにするのだから、やはりクセ者ではあるのだろう。
ガラス張りの温室のような広い部屋に通されて、楕円形のガラステーブルの端に着く。何時間眠っていたのか、外は夜のような暗闇で何も見えなかった。やがてあのシドウサギが料理を乗せたワゴンを押してきて、クウヤは一瞬ビクッとした。反対の端に着席したシドが面白そうに笑う。が、その声はシドウサギのスピーカーを経由することなく、しっかり青年の口元から聞こえてきた。
「色々と悪かったね。こうでもしないと姫が来てくれなかったもので」
「海賊船はどうなったんだ? 二人は無事なのか?」
質問は青年へ向けて発したが、それからクウヤは斜め後ろに立つメリルの表情を見上げてみた。
「ご心配なく、姫にはこれ以上嫌われたくないのでね。あれ以上は損傷させずに不時着させてあげたよ。二人も無事な筈だ」
この答えはメリルもまだ聞き出せていなかったらしい。クウヤと共に安堵の溜息が零れ落ちた。
「どうしてあんなことを……その前にあんたらの関係も教えてほしいけどな」
この日もマザーシップで朝食を食べたきり、クウヤは何も口に出来ていなかったため、無言のシドウサギから供された食事にがっつきながら尋ねる。場所はインドの上空であったが、シドの母国らしい西欧料理のフルコースであった。
「ではまず……私は彼女のメンテナンス・ドクターだよ。三ヶ月に一度は此処に来てもらい、メンテナンスを行なう。けれど最近半年に一度しか来てもらえなくてね……寂しいからちょっと悪戯しちゃったワケ」
「イタズラ?」
その言葉にクウヤは少し前の過去を思い出した。ラヴィから貰い受けた軽自動車を大破させた後、メリルが発した「あのお方の悪戯が功を奏した模様です」──「あのお方」というのがシドだったということか?
「前回のメンテナンスの時、彼女の右手にちょっと細工をさせてもらってね。盗聴マイクとリモート・システムを混入させてもらったんだ。だから君のこともある程度会話から知ることが出来たし……姫がバンコクの市場で君の腕を掴んだ時、ちょっと力を倍にしてみた」
「あれ、あんたの仕業だったのかよ……」
メリルに急かされ腕を引かれた際に、異様な怪力で悲鳴を上げたあの時のことは良く覚えている。それをまさかシドが遠隔操作で倍増させていたとは──シドはついでに『ムーン・モービル』走行中の「ロケットランチャー本体投げつけ攻撃」についても、手助けしたことを告白した。
「まぁ盗聴はやり過ぎたかと反省もしているよ。姫、今夜はもう遅いから明朝剥離作業を行なおう。大丈夫、クウヤに立ち会ってもらうから……なら、いいよね?」
「立ち会う? 俺が?」
「……」
再び振り向いて見上げたメリルの顔は、じっとシドへと向けられたまま、しばらく返事をすることはなかった。が、熟考したのだろう、
「分かりました。お願い致します」
その「お願い致します」は、シドと、そしてクウヤに向けられたように視線が移動した。
「あ、あぁ、了解」
「さて……クウヤ、おかわりは?」
「え?」
姿勢を戻した先のシドがクウヤの腹具合を尋ねる。ちょうど全皿を空にしたところだ。
「いや、もう十分……どうもご馳走様、でした」
「なら、今日は疲れただろうし、話の続きも明日にしようか。客室は幾つかあるから適当に使ってくれていいよ。明日朝八時半までに此処で食事を済ませて、先ほど君が眠っていたメンテナンス・ルームへ来て」
シドが指を鳴らすと、あのウサギ型ロボットがやって来た。どうやらシドが音声を当てないと話すことはないらしい。二人を案内するように目の前でクルリと方向転換をして出口を目指す。釣られて歩き出したクウヤはふと振り向いてみたが、既にシドはテーブルから消えていた。
「……お宅の整備士は随分変わりもんだな」
ウサギ型ロボットが二人を案内し終えて帰っていった直後、クウヤの入室まで廊下に待機していたメリルへ、クウヤは何とも言えない表情を見せた。
メリルが人間だったら犯罪レベルのストーカー野郎で間違いない。が、対象がアンドロイドだとなると、監視や研究のためだと言われれば反論は難しくなる。加えて現在彼のテリトリーにいる訳だから、此処で大っぴらに責め立てるのは身の危険も懸念された。
「明日のわたくしのメンテナンスについてですが」
「うん? ……あぁ」
メリルは先の感想には反応することなく話を進めた。
「シド様が仰いました通り、不具合がございますのはわたくしの右手──詳しくは前腕部のみになります」
「ふむ」
その不具合を作ったのは整備士本人な上に、それが故意だというのだから、厄介なもんだと内心クウヤは苦笑した。
「施術中わたくしはスリープ状態に入りますので、全ての対応が難しくなります。そのためクウヤ様には大変お手数をお掛けしてしまうのですが……シド様がわたくしの他の部位に触れないよう監視をお願いしたいのです」
「え? ……あ、ぁ……わ、分かった」
クウヤがこれほど返答を言い淀んだのは、メリルの表情が言葉以上に懇願を示していたからだった。整備対象が整備士にこれほどの憂慮を抱えるというのは、一体どういった経緯からなのだろう? それでもメリルが此処に来なければならないというのは、他に整備出来る人間がいないということなのだろうか?
「誠にありがとうございます、クウヤ様」
いつものように深く腰を折り礼を捧げたメリルの面は、少しばかり気が楽になったように和らいで見えた。
「じゃあ、明日な。おやすみ、メリル」
「おやすみなさいませ、クウヤ様」
部屋に入って一息をつき、クウヤは早速シャワーを浴びた。
しっかり監視出来るように良く眠っておかなきゃいけない──珍しく結んだメリルとの約束を必ず果たしたいと、不思議と強く思っていた──。
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