黒髪の魔女は暗闇を恐れている

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1、正義を裁く神

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 第二次世界大戦中、ナチスドイツに協力する魔術組織に対抗する為に連合国軍は超常現象の専門家や優秀な情報部員を招集。対超常現象作戦対応チームを編成した
 秘密作戦であったがチームの活躍により魔術組織は壊滅し、連合国軍はドイツ第三帝国に勝利した。
 だが戦後に魔術が関連する犯罪が世界中で発生。対超常現象作戦対応チームが再招集される
 新たに超常現象に精通した学者や特殊部隊経験者、特殊能力者が加わり世界的捜査機関に生まれ変わる。
 魔術犯罪対応するその組織はこう呼ばれた。
 ユースティティア・デウス《正義を裁く神》


 多くの人々が暮らす大都会。
 ここでは人々が知らない裏の姿がある。悪意のある魔術を犯罪に使われ、日々多くの人々が危機に直面しているのだ。
 ユースティティア・デウスはそんな魔術犯罪を取り締まる秘密の捜査機関である。
 この組織は、一般には知られていない国際捜査機関で世界中にネットワークを持っている。

 僕の名前は、神成 朝斗(かみなり あさと)
 以前は日本で警官をやっていた。[r]とりわけスゴイ優秀な警官……というわけではなかったが、ちょっとばかり”霊感”があった事でユースティティア・デウスにスカウトされた。
 今は正式な捜査官になるべく研修中の身である。
 僕の事は追々語るとして、今は魔術犯罪捜査期間ユースティティア・デウスについて語ろう

 機関が扱うのは”魔術”が関わっているという異質な犯罪、あるいは超常的な存在の人間社会に影響を与える行動に対しての対抗。このふたつが主な大きな任務である。
 所属する捜査官は皆、特殊な能力や特技の持ち主ばかり。魔術や超能力が使える者もいるという話で、正直、霊感が少しあるだけでやれる仕事ではない気がする。こんな特殊な組織に何故、僕が捜査官としてスカウトされたのか不思議だったが、未知の仕事に興味を持った僕は組織のオファーを受けた。

 そして今、僕がいるのはマニック・カースル城。
 機関の欧州での活動拠点で、古い城だが大掛かりな改築を施し近代化されていている。
 歴史を感じる外見とは違い、内部は中世の雰囲気を残しつつ、あらゆる最新の設備が設けられている。
 近代的オフィスや大規模なサーバーを備えたコンピュータ専門施設。
 他にも化学捜査の為の設備や、通常火器の訓練施設やハイテクと魔術のハイブリッド防衛システム。
 そんな中でも今、一番気に入っているのは常設されている24時間営業のカフェだ。
 某有名チェーン店にも劣らない品揃えと美味しさなのだ。
 そして最近の日課は毎朝、このカフェでコーヒーを注文することになっていた。

「おはよう、シュア」
 そう声をかけると長い髪をツインテール気味に縛った女性スタッフが笑顔を返した。
「おはようございます。眠そうですね、神成さん」
「覚える事が多くてさぁ。睡眠時間を削って勉強してるんだ」

 シュアは中国系イギリス人でバイトとしてカフェの店員として働いている[r]一般人である彼女が採用された経緯は不明だが性格も良くユーモアのセンスも持ち合わす彼女は職員や捜査官たちの間でも人気の的だ。

「それはお疲れ様です。注文は、いつもの?」
「うん。ああ、それと今日は、これを頼みます。持ち帰りでね」
「承りました。少し待っていてください」
 そう言うとシュアは、カウンターから離れ、注文されたドリンクを作り始めた。
 それを待っている間、人気の少ないカフェの店内を眺めると、テーブル席にはまばらに人が座ってる。
 席には事を終えた者や、これから仕事の者。同じ捜査官であろう人間が思い思いの時間を過ごしていた。
街のカフェと変わらない風景に見える。
 しかしこの城は人間の世界と別の世界との均衡を保つ最前線でもあるのだ。

「お待たせ」
 カップを手渡すシュアが僕に何かを言った。
「磨杵成针《ティエ・チゥー・モォー・チァン・ヂェン》」
「ん?……えーと」
 突然の聞き慣れない中国語に僕は理解しようと頭を捻る。
「中国の言葉で"根気よく続けていればいつか成果が得られる"という意味ですよ。頑張ってくださいね! 神成さん」
「なるほど……ありがとう、シュア」

何かに迷ったり、頭を整理したいときにはカフェに立ち寄る事にしている。不思議な事にシュアとの何気ない会話が何かのヒントになる場合もあるのだ。そこも彼女が人気のある理由だろう。

 眠気覚ましのコーヒーでゆったりとした時間を過ごしていたが……
 今朝は支部局長に呼び出されているのを思い出す。
 僕はコーヒーを一気に飲み干すと慌ててオフィスに向かった。
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