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汚部屋訪問
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相生叶恵先生。年齢は確か24歳。担当科目は日本史。俺の所属している2年2組のクラス担任。出身はこの街で、大学は東京の某有名私大。卒業後は大手出版社勤務だったが、程なく教員に転職して帰郷。現在に至る。
俺の知る限りの先生のプロフィールを簡素に纏めるとこうなる。より詳しく説明すると背は俺より若干低く、目元がパッチリした美人で、スタイル抜群で巨乳(悪友の山本の推測によればEかF相当)。いつも長く艶かな黒髪を靡かせ、きちんとしたスーツを着込んでいる。授業は分かりやすく、今時珍しい、真摯に生徒に向き合ってくれる、真面目な先生で男女問わず慕われている人気者ということになる。
そのしっかり者の人気で真面目な女教師は、大通りで拾ったタクシーの後部座席で俺にもたれかかるようにして爆睡中。柔らかい胸が俺の身体に当たるのは役得と言えなくも無いが、口からは涎も出ていて、はっきり言って同一人物とは思えなかった。
20分ほどでタクシーは中心部を抜け、市の西側にある郊外の住宅地に入った。在来線の駅からだいぶ離れた閑静な住宅街の一角に建つ、小洒落た雰囲気の単身者向けらしき二階建てのアパートの前でタクシーが停まる。持ち合わせが足りないので、申し訳無いながら足らずを先生の財布から拝借して代金を支払った。
熟睡中の先生を背負ってタクシーを降り、一階にある集合ポストに向かう。チラリと見えた駐車場の一角に、カモメみたいなエンブレムが付いた、見覚えのある赤色の小型SUVが停まっていた。多分アレが先生の愛車だろう。飲酒運転する訳にはいかないから、今日は公共交通機関で通勤して来たらしい。
(やっぱり真面目な先生なんだよなぁ)
そんなことを再認識しつつポストを確認すると、相生と書かれたポストが目に入った。上には部屋番号が書かれたシールも貼られている。2階らしいので階段を上がっていくことにした。正直、人一人を背負って階段登りは多少なりともきつかったが、どうにか登り切り、部屋の前にたどり着く。車のキーとセットになっていた鍵を回すと、あっさりと解錠出来た。
「ほら叶恵先生、着きましたよ」
背中の先生に声をかけるとフニャフニャと猫みたいな声にならない返事が返って来た。仕方なくお邪魔しますと一声挨拶してから部屋に足を踏み入れた途端、いきなり脱ぎ散らかされていたサンダルに足を取られかけた。
「どぅわっ!」
どうにか先生を落っことす事なく踏みとどまり、冷や汗を拭う。玄関の三和土を見下ろして思わず絶句した。サンダルだけでなく、スニーカーやらハイヒールやら、ミュールやらありとあらゆる靴が脱ぎ散らかされていたからだ。
「き、汚ねぇ・・・」
ホントにコレが人気者の美人女性教師の家なのかよと思いつつ、とりあえず靴を脱ぎ、先生の靴もどうにか脱がしてから家に上がった。廊下を歩くと、脱衣所兼洗面所らしき扉やトイレが並び、奥に少し開きかけのドアが現れる。多分あそこがリビングだろう。
ドアを開けてから横のスイッチを押すと、部屋が明るくなった。そして俺は唖然とした。6畳ほどのコンパクトなリビングには液晶テレビと本がズラリと並ぶ本棚、ガラステーブル、小さめのソファが並んでいる。そのほとんどが色んな物で埋まっていた。
缶ビールや缶チューハイの空き缶、脱ぎ散らかされた衣類、大量の書類、開きっぱなしの雑誌、空のコンビニ弁当の容器、カップ麺の容器、割り箸、本、テレビやエアコンのリモコン、ノートパソコン、タブレット端末、空のペットボトル、家庭用ゲーム機とコントローラー、etc・・・といったものだ。いわゆる汚部屋に俺はいた。よく見るとブラやらショーツらしき物まで乱雑に散らかっている。
「コレは酷い・・・」
思わず漏らしてから気を取り直し、奥にあるこれまた僅かに開いたドアを開けると、ベッドとデスクと本棚が並んだ部屋が現れた。リビングやりは多少マシだが、散らかっているのは変わらない。
とりあえずベッドに先生を寝かすくらいのスペースはあったので、そこに寝かしてからリビングへ引き返した。奥に小さめのダイニングテーブルと二脚の椅子があって、備え付けのシンクや小型冷蔵庫、コンロも見えた。カウンターの上に並べられたガラスコップを手に取り、水道水を注いでから先生の寝室らしき部屋へ引き返す。
俺の知る限りの先生のプロフィールを簡素に纏めるとこうなる。より詳しく説明すると背は俺より若干低く、目元がパッチリした美人で、スタイル抜群で巨乳(悪友の山本の推測によればEかF相当)。いつも長く艶かな黒髪を靡かせ、きちんとしたスーツを着込んでいる。授業は分かりやすく、今時珍しい、真摯に生徒に向き合ってくれる、真面目な先生で男女問わず慕われている人気者ということになる。
そのしっかり者の人気で真面目な女教師は、大通りで拾ったタクシーの後部座席で俺にもたれかかるようにして爆睡中。柔らかい胸が俺の身体に当たるのは役得と言えなくも無いが、口からは涎も出ていて、はっきり言って同一人物とは思えなかった。
20分ほどでタクシーは中心部を抜け、市の西側にある郊外の住宅地に入った。在来線の駅からだいぶ離れた閑静な住宅街の一角に建つ、小洒落た雰囲気の単身者向けらしき二階建てのアパートの前でタクシーが停まる。持ち合わせが足りないので、申し訳無いながら足らずを先生の財布から拝借して代金を支払った。
熟睡中の先生を背負ってタクシーを降り、一階にある集合ポストに向かう。チラリと見えた駐車場の一角に、カモメみたいなエンブレムが付いた、見覚えのある赤色の小型SUVが停まっていた。多分アレが先生の愛車だろう。飲酒運転する訳にはいかないから、今日は公共交通機関で通勤して来たらしい。
(やっぱり真面目な先生なんだよなぁ)
そんなことを再認識しつつポストを確認すると、相生と書かれたポストが目に入った。上には部屋番号が書かれたシールも貼られている。2階らしいので階段を上がっていくことにした。正直、人一人を背負って階段登りは多少なりともきつかったが、どうにか登り切り、部屋の前にたどり着く。車のキーとセットになっていた鍵を回すと、あっさりと解錠出来た。
「ほら叶恵先生、着きましたよ」
背中の先生に声をかけるとフニャフニャと猫みたいな声にならない返事が返って来た。仕方なくお邪魔しますと一声挨拶してから部屋に足を踏み入れた途端、いきなり脱ぎ散らかされていたサンダルに足を取られかけた。
「どぅわっ!」
どうにか先生を落っことす事なく踏みとどまり、冷や汗を拭う。玄関の三和土を見下ろして思わず絶句した。サンダルだけでなく、スニーカーやらハイヒールやら、ミュールやらありとあらゆる靴が脱ぎ散らかされていたからだ。
「き、汚ねぇ・・・」
ホントにコレが人気者の美人女性教師の家なのかよと思いつつ、とりあえず靴を脱ぎ、先生の靴もどうにか脱がしてから家に上がった。廊下を歩くと、脱衣所兼洗面所らしき扉やトイレが並び、奥に少し開きかけのドアが現れる。多分あそこがリビングだろう。
ドアを開けてから横のスイッチを押すと、部屋が明るくなった。そして俺は唖然とした。6畳ほどのコンパクトなリビングには液晶テレビと本がズラリと並ぶ本棚、ガラステーブル、小さめのソファが並んでいる。そのほとんどが色んな物で埋まっていた。
缶ビールや缶チューハイの空き缶、脱ぎ散らかされた衣類、大量の書類、開きっぱなしの雑誌、空のコンビニ弁当の容器、カップ麺の容器、割り箸、本、テレビやエアコンのリモコン、ノートパソコン、タブレット端末、空のペットボトル、家庭用ゲーム機とコントローラー、etc・・・といったものだ。いわゆる汚部屋に俺はいた。よく見るとブラやらショーツらしき物まで乱雑に散らかっている。
「コレは酷い・・・」
思わず漏らしてから気を取り直し、奥にあるこれまた僅かに開いたドアを開けると、ベッドとデスクと本棚が並んだ部屋が現れた。リビングやりは多少マシだが、散らかっているのは変わらない。
とりあえずベッドに先生を寝かすくらいのスペースはあったので、そこに寝かしてからリビングへ引き返した。奥に小さめのダイニングテーブルと二脚の椅子があって、備え付けのシンクや小型冷蔵庫、コンロも見えた。カウンターの上に並べられたガラスコップを手に取り、水道水を注いでから先生の寝室らしき部屋へ引き返す。
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