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九つの尾を持つ少女
九尾の狐 7
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自分の身長の約倍になる大きさのエネルギー玉が、泰斗に向かって来ていた。
泰斗は其れを見て、焦りも恐怖も無かった。其れどころか、とても落ち着いており、冷静であった。
泰斗はそんな状況の中、中指を曲げ、親指でその中指の爪を抑えて、デコピンをするような構えをとった。
ゆっくりと近づいて来るエネルギー玉に泰斗は中指に力をこめた。そして、泰斗にエネルギー玉が触れた直後、込めていた中指の力をエネルギー玉にぶつけた。
エネルギー玉は、ドン!と言う音と共に先程以上のスピードでサリアの横を通り過ぎて行った。
「なっ・・・・・!?」
僕の最大で最高の必殺技を指一本で弾き返したと言うのか?あり得ない。こいつ、強過ぎる!
「おい!いいのか?あのエネルギーの塊を放って置いて」
泰斗にそう言われ、サリアは心の奥底から嫌な予感がした。
「まさか!」
サリアは、走った。己が放ち、泰斗が跳ね返したエネルギー玉を追いかけて。
「クッ・・・!」
両手両足を使い必死に走り、爪を地面に突き立てて、サリアはようやくの想いでエネルギー玉へと追いつき、正面に立ち其れを受け止めた。渾身の力を込めて。
だが、それだけであった。弾き返すことも、逸らす事も今のサリアには出来なかった。理由としては、三つ。一つ目は、先程のエネルギー玉を追いかける為に残り少ない力を使ったこと。二つ目は、泰斗からのダメージが残っていたこと。そして三つ目は、今目の前にあるエネルギー玉に殆どの力を使ってしまった事である。
正直、サリア自身、どうなっても良かった。この身が滅びようと。だが、サリアには其れが出来なかった。サリアの後ろにある、ヒースに直撃するからである。街一つ消すこのエネルギー玉がヒースに直撃すれば、ヒースに残っている女子供が言うまでもなく、全滅する。
「謀ったな!クソガキが!」
「何だったら助けてあげようか?」
「んな!いつの間に」
「で、どうするんだ?助けて欲しいか?それとも自分でどうにかするのか?まあ、自分でどうにかなる程の力が残ってるとは思えないけどな」
「条件は?」
「話が早い。手を貸せ」
「・・・!?一体、どう言う事?」
「俺が異世界から来たのは知っているか?」
「知っているとも」
「俺は勇者として召喚され、嫌々引き受けた。そして、魔王サタンを倒した。その際、俺は気づいた。裏切り者がいると。お前は知っているよな?誰なのか・・・」
「・・・・・」
「アルハイドと魔界の状況を把握出来た人物。其れは、マヤ。あいつだけだ。今回の計画が分かった俺は、サタンに再召喚を依頼した」
「でも、君は勇者を嫌々していたと聞いたが?」
「確かに。俺はお人好しなんでね。この状況になるのを知ってて助けないと言う選択肢は、俺には無い」
「其れで?」
「この戦いでの勝敗は、アルハイド側の勝利は確実だ。故に、お前たちヒースは、自然と同盟国へと入ってもらうことで、六カ国のうちの三つがこちらに来る訳だ。だが、逆を言えば、残り三国もある。残り三国同士で、同盟を組むことは少ないとエリーシアは言っていたが、ゼロでは無いと、俺は思っている。それ故に、もし再び戦争が起こった場合、再び召喚されるやも知れない。だったら、残り三国も取り入れて、一つにすれば良いのでは無いかと」
「つまり君は、残り三国に戦争を吹っかけると?」
「その通り。そこで、サリアには力を貸して貰いたいんだよ」
「勝てる確率は?」
「見ての通り。さあ、どうする?このまま、押し負けて、自国にいる女子供を殺してしまうか。それとも、俺と一緒に世界を一つにするか?」
「・・・・・分かった。君に僕の人生を賭けてみるよ」
「交渉成立だな。とりあえず、このエネルギー玉を上に蹴り上げてやるよ」
泰斗はエネルギー玉をサッカーボールの如く、蹴り上げた。蹴り上げた玉は、次第に小さくなっていき、数秒もすれば、見えなくなっていた。
助かった。にしても、ひと蹴りであのエネルギー玉を弾き上げるとは、この子は一体何者なの?
サリアは気が抜けた所為か、今更ながら、泰斗への疑問を感じた。しかし、サリアは考えるのをやめた。
彼がどうあれ、僕は僕のやるべきことをやるまでだ。
「とりあえず、君が世界を一つにすることに関しての意味は分かった。しかし、どうして勇者が嫌なんだ?優遇されて、何か悪いとは思えないのだが?」
「確かにそうだ。飯は美味いし、部屋は広いし、メイドは可愛い。けど、俺のこの力は、それらを守るものではないんだよ。それは己自身もそうだ。深くは言えないんだが、この力の所為で、友達を殺しかけたんだよ。今はこの力をコントロール出来るが、いつコントロール出来なくなるか、分からない。其れに、この星の出来事は、この星で解決する必要があると、俺は思っているんだよ」
この星の問題は、この星で解決。確かにその通りかもしれない。でも彼は、其れをしなかった。何故であろうか?
サリアは一瞬疑問を感じたが、すぐに考えるのをやめた。
「とりあえず、軍を退いてくれ。又後日、手紙を送るから、そこに書かれている時間とその場所に来てくれ」
「分かった」
サリアがそう言ったその時、泰斗の後ろから物凄い速さで、そいつは現れた。
泰斗は其れを見て、焦りも恐怖も無かった。其れどころか、とても落ち着いており、冷静であった。
泰斗はそんな状況の中、中指を曲げ、親指でその中指の爪を抑えて、デコピンをするような構えをとった。
ゆっくりと近づいて来るエネルギー玉に泰斗は中指に力をこめた。そして、泰斗にエネルギー玉が触れた直後、込めていた中指の力をエネルギー玉にぶつけた。
エネルギー玉は、ドン!と言う音と共に先程以上のスピードでサリアの横を通り過ぎて行った。
「なっ・・・・・!?」
僕の最大で最高の必殺技を指一本で弾き返したと言うのか?あり得ない。こいつ、強過ぎる!
「おい!いいのか?あのエネルギーの塊を放って置いて」
泰斗にそう言われ、サリアは心の奥底から嫌な予感がした。
「まさか!」
サリアは、走った。己が放ち、泰斗が跳ね返したエネルギー玉を追いかけて。
「クッ・・・!」
両手両足を使い必死に走り、爪を地面に突き立てて、サリアはようやくの想いでエネルギー玉へと追いつき、正面に立ち其れを受け止めた。渾身の力を込めて。
だが、それだけであった。弾き返すことも、逸らす事も今のサリアには出来なかった。理由としては、三つ。一つ目は、先程のエネルギー玉を追いかける為に残り少ない力を使ったこと。二つ目は、泰斗からのダメージが残っていたこと。そして三つ目は、今目の前にあるエネルギー玉に殆どの力を使ってしまった事である。
正直、サリア自身、どうなっても良かった。この身が滅びようと。だが、サリアには其れが出来なかった。サリアの後ろにある、ヒースに直撃するからである。街一つ消すこのエネルギー玉がヒースに直撃すれば、ヒースに残っている女子供が言うまでもなく、全滅する。
「謀ったな!クソガキが!」
「何だったら助けてあげようか?」
「んな!いつの間に」
「で、どうするんだ?助けて欲しいか?それとも自分でどうにかするのか?まあ、自分でどうにかなる程の力が残ってるとは思えないけどな」
「条件は?」
「話が早い。手を貸せ」
「・・・!?一体、どう言う事?」
「俺が異世界から来たのは知っているか?」
「知っているとも」
「俺は勇者として召喚され、嫌々引き受けた。そして、魔王サタンを倒した。その際、俺は気づいた。裏切り者がいると。お前は知っているよな?誰なのか・・・」
「・・・・・」
「アルハイドと魔界の状況を把握出来た人物。其れは、マヤ。あいつだけだ。今回の計画が分かった俺は、サタンに再召喚を依頼した」
「でも、君は勇者を嫌々していたと聞いたが?」
「確かに。俺はお人好しなんでね。この状況になるのを知ってて助けないと言う選択肢は、俺には無い」
「其れで?」
「この戦いでの勝敗は、アルハイド側の勝利は確実だ。故に、お前たちヒースは、自然と同盟国へと入ってもらうことで、六カ国のうちの三つがこちらに来る訳だ。だが、逆を言えば、残り三国もある。残り三国同士で、同盟を組むことは少ないとエリーシアは言っていたが、ゼロでは無いと、俺は思っている。それ故に、もし再び戦争が起こった場合、再び召喚されるやも知れない。だったら、残り三国も取り入れて、一つにすれば良いのでは無いかと」
「つまり君は、残り三国に戦争を吹っかけると?」
「その通り。そこで、サリアには力を貸して貰いたいんだよ」
「勝てる確率は?」
「見ての通り。さあ、どうする?このまま、押し負けて、自国にいる女子供を殺してしまうか。それとも、俺と一緒に世界を一つにするか?」
「・・・・・分かった。君に僕の人生を賭けてみるよ」
「交渉成立だな。とりあえず、このエネルギー玉を上に蹴り上げてやるよ」
泰斗はエネルギー玉をサッカーボールの如く、蹴り上げた。蹴り上げた玉は、次第に小さくなっていき、数秒もすれば、見えなくなっていた。
助かった。にしても、ひと蹴りであのエネルギー玉を弾き上げるとは、この子は一体何者なの?
サリアは気が抜けた所為か、今更ながら、泰斗への疑問を感じた。しかし、サリアは考えるのをやめた。
彼がどうあれ、僕は僕のやるべきことをやるまでだ。
「とりあえず、君が世界を一つにすることに関しての意味は分かった。しかし、どうして勇者が嫌なんだ?優遇されて、何か悪いとは思えないのだが?」
「確かにそうだ。飯は美味いし、部屋は広いし、メイドは可愛い。けど、俺のこの力は、それらを守るものではないんだよ。それは己自身もそうだ。深くは言えないんだが、この力の所為で、友達を殺しかけたんだよ。今はこの力をコントロール出来るが、いつコントロール出来なくなるか、分からない。其れに、この星の出来事は、この星で解決する必要があると、俺は思っているんだよ」
この星の問題は、この星で解決。確かにその通りかもしれない。でも彼は、其れをしなかった。何故であろうか?
サリアは一瞬疑問を感じたが、すぐに考えるのをやめた。
「とりあえず、軍を退いてくれ。又後日、手紙を送るから、そこに書かれている時間とその場所に来てくれ」
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