軍将の踊り子と赤い龍の伝説

糸文かろ

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第三章

もう一度、初めから 3 ※R18

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 先ほどまでの切羽詰まった気迫は収まったが、それでも名残惜しそうに鎖骨のくぼみに唇をあわせる。
「訊きたい、こと?」
「俺が記憶をなくして、店でまた出会わなければどうしてた? とか」
 言い終わって、額や頬に軽いキスを落としていく。されるがままになりながらぽつぽつと答えた。
「ど、どうもしないです……私はこの二年、あなたを遠くから見ているだけでしたから」
「偶然に感謝だな。なぜ急に逃げたんだ?」
「いきなり号泣してしまいましたから、完全に変な人に思われたものと焦ってしまい」
「あれには確かにびっくりした。でも、悲しそうに大きな目からぼろぼろこぼれる涙を見て、俺が助けてやらねばと直感的に思ったんだ。名前も知らないくせに、また一目惚れしていた」
「私はてっきり、悪い印象を与えてしまったものだと……」
「まさか。何回やってもどんなシチュエーションでも、同じように好きになるさ。俺にとってサニは唯一無二なのだから」
「でももう、記憶は二度となくさないでください」
 鼻が近づいてきたので、目を閉じた。顔中にキスの雨を降らせていた唇がそっと、重なる。
「サニ、今まで忘れていてすまない。サニが何かにつけて言っていた愛する人とは、全部俺のことだったのだな。ずっと好きでいてくれて、ありがとう」
「そうですよっ……ようやくわかりましたか」
 憎まれ口が、もつれてうまく言えない。戯れだった唇の重なりが、また深くなる。
「その顔、好きだな」
 しみじみとしたつぶやきの後、繋がっていた奥から、振動がまたわずかに与えられる。
「ん……」
 なだらかな快楽に揺られていると、中心が懲りもせず固くなっていく。さっきと違って今度はサニの反応を伺っているようで、それがかえって焦れてしまう。
「あ、……あ、……も、もっと」
 強く突き上げてほしくて、必死に訴える。望んだ振動を与えてくれたかと思えば、また緩くなる。その繰り返しが物足りなくて、気づけば首にすがりついてねだった。
「サニ、大好きだ。愛してる」
「私も、愛しています」
 嬉しくて、瞳から涙が溢れた。
 二度目に通じ合うのに、初めてみたいな気持ちがする。
 前回は悲しいセックスだったから。
 ただ相手のことを愛していると言えることは、こんなにも幸せなことのだ。
 愛し合う人と気持ちが繋がっている。
 この先何が起こっても、もう何も怖くないと思えた。
 頬を包まれ微笑み合うと、どちらからともなく顔を寄せ合う。
 頂点に達するためのキスをした。
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