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第1話 エンカウント
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「はぁ~…もう無理。歩き疲れた…。」
とりあえず体力も尽きてきたので近場にあった石に腰を降ろすことにした。
これがもし仮定として、本当に異世界トリップなら異世界系につきもののステータス?というものがあるんじゃないのかな?
「えーと確かステータスオープンだったかな?」
僕はほとんど小説を読まないので分からないのだけど、友人がよく興奮気味に異世界系の小説につきものだ!と話していたステータスオープンと口の中で唱えて見た。
何も起こらない。
周りに誰もいないとはいえ厨二病患ってる痛いやつみたいで恥ずかしすぎる。誰もそばにいなくて良かった…。
言い方がまずかったのか、それとも呼び方が違うのか…。
友人に聞いただけの知識では謎が多すぎる。
普段の倍くらい体力使ったから太陽の位置的にいつもより早い時間っぽいんけど、お腹も空いたし現実逃避したくなったのでお弁当を食べることにした。
なんか会社に持っていってる鞄は一番初めにいた場所に僕と一緒にいみたいであったんだよね。
共働きで忙しい両親と生活能力が乏しい姉3人の中で育ったから小さい時から外で遊ぶよりも家事をするのことが多かった。
(あ、嫌々やっていた訳でなく楽しんでやってたのでそこは心配しないで欲しい。他に外に居たくない理由があったのだ。)
父が外国人で、母は純日本人の両親の間に生まれた僕は生まれつき色素が薄く、雪のように真っ白な肌と父から引き継いだ澄んだアクアブルーの瞳をしている。
見た目が黒髪黒瞳の日本人と違ったので、小さい頃は遊びの仲間に入れてもらえない所か話すことすらしてもらえなかった。
まぁ、いわゆるぼっちだったのだ。
今では普通に会社で働いて楽しく生活しているが、大人になるにつれてなぜかよく女性と間違われることが多くなったのは不思議で仕方がない。
僕の幼少期の話でだいぶそれてしまった。
昔から特に料理を作るのが好きで、一人暮らしをしている今でも毎日お昼のお弁当を作っているのだが、今日ほど心の底から自炊をしていて良かったと思ったことは無いかもしれない。自炊をしていなかったらお弁当を持っているはずもないので、何も無いこの大草原に空腹で倒れていたはずだ。
お弁当の蓋を開け、日本人らしく頂きますと手を合わせる。
「ん。ちゃんと肉に味染み込んでるな~。」
ちなみに今日のお弁当の中身は、
・シャケと青菜の混ぜこみご飯
・ひじきと枝豆の煮物
・きんぴらごぼう
・甘めの玉子焼き
それとメインのおかずである碓氷家特製のタレに一晩漬け込んだ唐揚げだ。外はカリッと中はジュワッと程よい肉汁のある唐揚げは最高だと思う。空腹のお腹にお肉の美味しさが染み渡っていく。
きんぴらごぼうも辛すぎず、ちょうど良い味付けになっている。
僕の場合は、シャケのフレークを使わずにシャケの切り身を研いだお米と醤油、だし汁、酒などと炊飯器で一緒に炊いている。(今はお吸い物の素やめんつゆで簡単にできるらしいので、是非やって見てほしい。)
ご飯が炊けたらある程度蒸らしてからシャケの皮を取ってしゃもじでほぐし、作っておいた塩分控えめの青菜の漬物を刻んで最後に白ごまと混ぜ合わせたら完成!
シャケの程よい塩分と青菜のシャキシャキ感、後白ごまのプチプチ感がいいバランスで美味しい。
<ギュルルルル~>
お弁当の出来栄えに満足しながら食べていると後ろの方から大きめのお腹の音が聞こえた。
「え…??」
大草原の真っ只中にいることをすっかり忘れさってお弁当に夢中になっていた僕は恐る恐る後ろを振り向くと、大きいハスキーのような風貌の真っ黒な体毛に覆われた狼が僕のすぐ後ろでヨダレを垂らしながらお弁当を凝視していた。
「…お弁当食べる?」
この世界にきて初めて会う大きな生物に呆然としてしまったが、お腹を空かせてお弁当を見られているならあげない訳にはいかない。
ひもじい思いをするのはつらすぎるのだ。
お弁当箱を狼の前に置くと僕の太ももと同じくらいの大きさがある尻尾をバサバサと振りながら一心不乱に食べ始めた。
僕の肩ほどの背丈のある狼が現れたことで、軽く現実逃避していたがここが生まれ育った日本ではなく別の世界だという確信を得ることができた。
「ねぇ、狼さん。そのお弁当僕が作ったんだけど、美味しいかな?」
ふわふわと顔をうずめたら気持ち良さそうなお腹の体毛を横目に見ながら、ガツガツと唐揚げや玉子焼きなどを食す狼に話しかける。気持ちのいい食べっぷりに思わず笑みが浮かぶ。
<ゲプッ。うむ、初めて食べるもの達でとても美味かったぞ。
あと俺は狼ではなくフェンリルだ。あのような下等な生き物と俺を一緒にしてもらったら困る。
まぁ、ほかのフェンリル共とは毛の色が違うがな。>
「え!?なんか声が聞こえたんだけど!!?」
先程までのほのぼのとした和やかな雰囲気が消え、突然聞こえた若々しく力強い男の声に昴広は驚き、大きな目を猫の目のように丸くしながら素っ頓狂な声を上げた。
キョロキョロと挙動不審な様子であたりを見回してみたが、今この場にいるのは昴広の他に目の前の狼…いやフェンリル?という生き物しかいない。
ということは今の声はこのフェンリルが発したことになる。
ポカンとつけまつ毛をつけているかのような長いまつ毛を瞬かせ、本日二度目の大きすぎる衝撃に身を固まらせた。
とりあえず体力も尽きてきたので近場にあった石に腰を降ろすことにした。
これがもし仮定として、本当に異世界トリップなら異世界系につきもののステータス?というものがあるんじゃないのかな?
「えーと確かステータスオープンだったかな?」
僕はほとんど小説を読まないので分からないのだけど、友人がよく興奮気味に異世界系の小説につきものだ!と話していたステータスオープンと口の中で唱えて見た。
何も起こらない。
周りに誰もいないとはいえ厨二病患ってる痛いやつみたいで恥ずかしすぎる。誰もそばにいなくて良かった…。
言い方がまずかったのか、それとも呼び方が違うのか…。
友人に聞いただけの知識では謎が多すぎる。
普段の倍くらい体力使ったから太陽の位置的にいつもより早い時間っぽいんけど、お腹も空いたし現実逃避したくなったのでお弁当を食べることにした。
なんか会社に持っていってる鞄は一番初めにいた場所に僕と一緒にいみたいであったんだよね。
共働きで忙しい両親と生活能力が乏しい姉3人の中で育ったから小さい時から外で遊ぶよりも家事をするのことが多かった。
(あ、嫌々やっていた訳でなく楽しんでやってたのでそこは心配しないで欲しい。他に外に居たくない理由があったのだ。)
父が外国人で、母は純日本人の両親の間に生まれた僕は生まれつき色素が薄く、雪のように真っ白な肌と父から引き継いだ澄んだアクアブルーの瞳をしている。
見た目が黒髪黒瞳の日本人と違ったので、小さい頃は遊びの仲間に入れてもらえない所か話すことすらしてもらえなかった。
まぁ、いわゆるぼっちだったのだ。
今では普通に会社で働いて楽しく生活しているが、大人になるにつれてなぜかよく女性と間違われることが多くなったのは不思議で仕方がない。
僕の幼少期の話でだいぶそれてしまった。
昔から特に料理を作るのが好きで、一人暮らしをしている今でも毎日お昼のお弁当を作っているのだが、今日ほど心の底から自炊をしていて良かったと思ったことは無いかもしれない。自炊をしていなかったらお弁当を持っているはずもないので、何も無いこの大草原に空腹で倒れていたはずだ。
お弁当の蓋を開け、日本人らしく頂きますと手を合わせる。
「ん。ちゃんと肉に味染み込んでるな~。」
ちなみに今日のお弁当の中身は、
・シャケと青菜の混ぜこみご飯
・ひじきと枝豆の煮物
・きんぴらごぼう
・甘めの玉子焼き
それとメインのおかずである碓氷家特製のタレに一晩漬け込んだ唐揚げだ。外はカリッと中はジュワッと程よい肉汁のある唐揚げは最高だと思う。空腹のお腹にお肉の美味しさが染み渡っていく。
きんぴらごぼうも辛すぎず、ちょうど良い味付けになっている。
僕の場合は、シャケのフレークを使わずにシャケの切り身を研いだお米と醤油、だし汁、酒などと炊飯器で一緒に炊いている。(今はお吸い物の素やめんつゆで簡単にできるらしいので、是非やって見てほしい。)
ご飯が炊けたらある程度蒸らしてからシャケの皮を取ってしゃもじでほぐし、作っておいた塩分控えめの青菜の漬物を刻んで最後に白ごまと混ぜ合わせたら完成!
シャケの程よい塩分と青菜のシャキシャキ感、後白ごまのプチプチ感がいいバランスで美味しい。
<ギュルルルル~>
お弁当の出来栄えに満足しながら食べていると後ろの方から大きめのお腹の音が聞こえた。
「え…??」
大草原の真っ只中にいることをすっかり忘れさってお弁当に夢中になっていた僕は恐る恐る後ろを振り向くと、大きいハスキーのような風貌の真っ黒な体毛に覆われた狼が僕のすぐ後ろでヨダレを垂らしながらお弁当を凝視していた。
「…お弁当食べる?」
この世界にきて初めて会う大きな生物に呆然としてしまったが、お腹を空かせてお弁当を見られているならあげない訳にはいかない。
ひもじい思いをするのはつらすぎるのだ。
お弁当箱を狼の前に置くと僕の太ももと同じくらいの大きさがある尻尾をバサバサと振りながら一心不乱に食べ始めた。
僕の肩ほどの背丈のある狼が現れたことで、軽く現実逃避していたがここが生まれ育った日本ではなく別の世界だという確信を得ることができた。
「ねぇ、狼さん。そのお弁当僕が作ったんだけど、美味しいかな?」
ふわふわと顔をうずめたら気持ち良さそうなお腹の体毛を横目に見ながら、ガツガツと唐揚げや玉子焼きなどを食す狼に話しかける。気持ちのいい食べっぷりに思わず笑みが浮かぶ。
<ゲプッ。うむ、初めて食べるもの達でとても美味かったぞ。
あと俺は狼ではなくフェンリルだ。あのような下等な生き物と俺を一緒にしてもらったら困る。
まぁ、ほかのフェンリル共とは毛の色が違うがな。>
「え!?なんか声が聞こえたんだけど!!?」
先程までのほのぼのとした和やかな雰囲気が消え、突然聞こえた若々しく力強い男の声に昴広は驚き、大きな目を猫の目のように丸くしながら素っ頓狂な声を上げた。
キョロキョロと挙動不審な様子であたりを見回してみたが、今この場にいるのは昴広の他に目の前の狼…いやフェンリル?という生き物しかいない。
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