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第6話 冒険者ギルドへ
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クラウディオに書いてもらった地図のとおりに道を進むと冒険者ギルドと書かれた大きな看板が見えた。
いかにもって感じの荒々しい雰囲気を醸し出し、中からゲラゲラと粗野な笑い声が聞こえてくる。
「・・・ここが冒険者ギルドっぽいんだけど、なんか怖いね。」
腕に抱えたスハイルをキュッと抱きしめながら昴広は呟く。
27歳のアラサー野郎が怖がるなよとか言ってはいけない。
いじめにはあうことはあっても、争いごとをしたことがない昴広をビビらせるのには充分で中に入らずとも正面だけで威力があった。
それにこちらの世界に来てから昴広の年齢は20歳に若返っているので仕方ない。
<む。何を怖がる必要があるのだ。昴広になにかするようなら俺が相手になるのだから怖がる必要はないし、登録せねば戻れぬだろう。>
元気づけるようにタシタシと前足で昴広の腕を軽く叩きながらスハイルが言う。
「うん、そうだよね。スハイルが一緒なんだから大丈夫だよね!」
スハイルの言葉に同意を示し気を持ちなおす。
「昴広様、お待ち下さいませ。」
よしっと再度ギルドの中に入ろうと気を引き締め1歩踏み出そうとすると背後から声をかけら、振り返るとクラウディオさんの秘書さんが立っていた。
「あれ?クラウディオさんの秘書さんですよね?どうかされたんですか?」
見知った者と再会し、嬉しげに頬を緩めながら問いかける。
「申し上げるのが遅れました。クラウディオの秘書をしておりますセバスチャンでございます。敬称は不要ですので、どうかセバスチャンとお呼びくださいませ。」
秘書さんというよりは、偉い貴族の方に仕えてそうな執事さんのように腰を曲げお辞儀をする。
「ギルドへの登録の際に多少の金銭が必要になるのでお困りになるのではないかと思い、こちらをお届けに参りました。」
服との交換で頂いたお金をうっかりクラウディオのお店に忘れていたようで、わざわざ届けてくれたようだ。
「うわぁ!ありがとうございます!!
すっかりお金のこと頭から抜けてました…。
届けて頂いて申し訳ないです…。」
申し訳なくしょぼんと肩を落としながら、お金を受け取る。
「人間誰しもうっかりすることもございますので、気にする必要はございません。
まだギルドの方でご登録なされていないご様子ですので、このセバスチャン。お供させて頂きたく存じます。」
胸に手を当て、柔和な笑みを浮かべながら願い出る。
セバスチャンがお金を届けに来たのも事実だが、実際は礼儀正しい昴広のことを気に入り、ギルドでなにかあるのではないかと心配したクラウディオがセバスチャンを向かわせたのだが、昴広がそのことを知るはずもない。
「え?いいんですか??
その…。中に入るのちょっとだけ怖いなって思っていたので、僕としては願ってもいないことなのですが…。」
キョトキョトと視線を彷徨わせ、恐る恐る聞き返す。
セバスチャンの方が昴広よりも身長が高いため必然的に上目遣いになっている。
道行く人々がギルドの前で愛らしい仕草をする昴広に目を奪われ、一部の者が鼻を抑えているが当の本人である昴広はその事に全く気づきもしていない。
「ええ、お供させていただきます。」
(昴広様はご自分がどれほどお美しくご注目を集めているのかご理解なされていないので、クラウディオ様が心配するのも当然ですね。)
セバスチャンは心の中で苦笑しながら、ギルドへと向かい始めた昴広の後を歩く。
入口付近で昴広が中に入りやすいようスっと前に出たセバスチャンが扉を開ける。
お礼を言いつつギルド内に2・3歩入ると、先程まで聞こえていた笑い声をけし、場違いな場所にやってきた昴広達を冒険者達が鋭い目線を向けてきた。
「おいおい。ここは綺麗なお嬢ちゃんがお遊びで来る場所じゃねぇーぞ!」
「ガハハッ!いいじゃねえか!こっちに来て酌でもしろよ!!」
冒険者たちが静かになったのも一瞬のこと、昴広の姿を見るとゲラゲラと大声で笑いながらはやし立てる。
これが田村がよく言っていた冒険者ギルドの鉄板なのかと別のことを考えていると、入口からほど近い場所にいた小汚い男がビール瓶らしきものを手にしたままニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら昴広の元へと歩いて来るのが見え、昴広を守るように前に出ようとしていたセバスチャンよりも早く、一瞬のうちに小狼姿から元の大きいフェンリルの姿に戻ったスハイルが立ちふさがった。
<それ以上こちらに近づくでない。昴広に指1本触れたら貴様ら全員八つ裂きにするぞ。>
昴広を自分の前足の間に守りながら、グルルと昴広の腕の倍はある太い牙を剥き出して威嚇する。
突然現れた見ただけで分かるほどの強大な力を持つスハイルの姿に、ゲラゲラと機嫌よく笑っていた冒険者たちは一様にザッと顔を青ざめさせた。
昴広に近づこうとしていた男なんかは、恐怖で腰を抜かし大きな水たまりを作っている。
「昴広様。冒険者の方々も落ち着かれましたし、今のうちの登録をなさってはいかがでしょうか?」
この場をどうすればいいのかとオロオロと視線をさまよわせていると、いつの間にか横に来ていたセバスチャンが何事も無かったかのように登録するよう促す。
冷静そうに見えるセバスチャンだが、彼も実際はただの子狼だと思っていたものがフェンリルへと変わって内心驚いている。
日頃クラウディオの秘書をしているためこのような出来事に慣れているだけなのだ。
「え?でも…」
辺りを見回し本当にいいのかと困惑していると、大丈夫ですのでとセバスチャンに手を取られ受付嬢の前と連れていかれる。
「昴広様どうぞお座りくださいませ。」
セバスチャンは昴広の前にある椅子をサッと引き昴広を座らせると、控える様に背後に立つ。
のっそのっそと昴広達のあとをついてきていたスハイルもセバスチャンの横の腰をおろした。
いかにもって感じの荒々しい雰囲気を醸し出し、中からゲラゲラと粗野な笑い声が聞こえてくる。
「・・・ここが冒険者ギルドっぽいんだけど、なんか怖いね。」
腕に抱えたスハイルをキュッと抱きしめながら昴広は呟く。
27歳のアラサー野郎が怖がるなよとか言ってはいけない。
いじめにはあうことはあっても、争いごとをしたことがない昴広をビビらせるのには充分で中に入らずとも正面だけで威力があった。
それにこちらの世界に来てから昴広の年齢は20歳に若返っているので仕方ない。
<む。何を怖がる必要があるのだ。昴広になにかするようなら俺が相手になるのだから怖がる必要はないし、登録せねば戻れぬだろう。>
元気づけるようにタシタシと前足で昴広の腕を軽く叩きながらスハイルが言う。
「うん、そうだよね。スハイルが一緒なんだから大丈夫だよね!」
スハイルの言葉に同意を示し気を持ちなおす。
「昴広様、お待ち下さいませ。」
よしっと再度ギルドの中に入ろうと気を引き締め1歩踏み出そうとすると背後から声をかけら、振り返るとクラウディオさんの秘書さんが立っていた。
「あれ?クラウディオさんの秘書さんですよね?どうかされたんですか?」
見知った者と再会し、嬉しげに頬を緩めながら問いかける。
「申し上げるのが遅れました。クラウディオの秘書をしておりますセバスチャンでございます。敬称は不要ですので、どうかセバスチャンとお呼びくださいませ。」
秘書さんというよりは、偉い貴族の方に仕えてそうな執事さんのように腰を曲げお辞儀をする。
「ギルドへの登録の際に多少の金銭が必要になるのでお困りになるのではないかと思い、こちらをお届けに参りました。」
服との交換で頂いたお金をうっかりクラウディオのお店に忘れていたようで、わざわざ届けてくれたようだ。
「うわぁ!ありがとうございます!!
すっかりお金のこと頭から抜けてました…。
届けて頂いて申し訳ないです…。」
申し訳なくしょぼんと肩を落としながら、お金を受け取る。
「人間誰しもうっかりすることもございますので、気にする必要はございません。
まだギルドの方でご登録なされていないご様子ですので、このセバスチャン。お供させて頂きたく存じます。」
胸に手を当て、柔和な笑みを浮かべながら願い出る。
セバスチャンがお金を届けに来たのも事実だが、実際は礼儀正しい昴広のことを気に入り、ギルドでなにかあるのではないかと心配したクラウディオがセバスチャンを向かわせたのだが、昴広がそのことを知るはずもない。
「え?いいんですか??
その…。中に入るのちょっとだけ怖いなって思っていたので、僕としては願ってもいないことなのですが…。」
キョトキョトと視線を彷徨わせ、恐る恐る聞き返す。
セバスチャンの方が昴広よりも身長が高いため必然的に上目遣いになっている。
道行く人々がギルドの前で愛らしい仕草をする昴広に目を奪われ、一部の者が鼻を抑えているが当の本人である昴広はその事に全く気づきもしていない。
「ええ、お供させていただきます。」
(昴広様はご自分がどれほどお美しくご注目を集めているのかご理解なされていないので、クラウディオ様が心配するのも当然ですね。)
セバスチャンは心の中で苦笑しながら、ギルドへと向かい始めた昴広の後を歩く。
入口付近で昴広が中に入りやすいようスっと前に出たセバスチャンが扉を開ける。
お礼を言いつつギルド内に2・3歩入ると、先程まで聞こえていた笑い声をけし、場違いな場所にやってきた昴広達を冒険者達が鋭い目線を向けてきた。
「おいおい。ここは綺麗なお嬢ちゃんがお遊びで来る場所じゃねぇーぞ!」
「ガハハッ!いいじゃねえか!こっちに来て酌でもしろよ!!」
冒険者たちが静かになったのも一瞬のこと、昴広の姿を見るとゲラゲラと大声で笑いながらはやし立てる。
これが田村がよく言っていた冒険者ギルドの鉄板なのかと別のことを考えていると、入口からほど近い場所にいた小汚い男がビール瓶らしきものを手にしたままニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら昴広の元へと歩いて来るのが見え、昴広を守るように前に出ようとしていたセバスチャンよりも早く、一瞬のうちに小狼姿から元の大きいフェンリルの姿に戻ったスハイルが立ちふさがった。
<それ以上こちらに近づくでない。昴広に指1本触れたら貴様ら全員八つ裂きにするぞ。>
昴広を自分の前足の間に守りながら、グルルと昴広の腕の倍はある太い牙を剥き出して威嚇する。
突然現れた見ただけで分かるほどの強大な力を持つスハイルの姿に、ゲラゲラと機嫌よく笑っていた冒険者たちは一様にザッと顔を青ざめさせた。
昴広に近づこうとしていた男なんかは、恐怖で腰を抜かし大きな水たまりを作っている。
「昴広様。冒険者の方々も落ち着かれましたし、今のうちの登録をなさってはいかがでしょうか?」
この場をどうすればいいのかとオロオロと視線をさまよわせていると、いつの間にか横に来ていたセバスチャンが何事も無かったかのように登録するよう促す。
冷静そうに見えるセバスチャンだが、彼も実際はただの子狼だと思っていたものがフェンリルへと変わって内心驚いている。
日頃クラウディオの秘書をしているためこのような出来事に慣れているだけなのだ。
「え?でも…」
辺りを見回し本当にいいのかと困惑していると、大丈夫ですのでとセバスチャンに手を取られ受付嬢の前と連れていかれる。
「昴広様どうぞお座りくださいませ。」
セバスチャンは昴広の前にある椅子をサッと引き昴広を座らせると、控える様に背後に立つ。
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