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第5話 大商人
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幾人も人が行き交う大きな通りを商人さんの後を置いていかれぬようついていく。
「ここがわしが営んでいるハウザー商会じゃ。」
門からほど近いところにある大きなお店の前で商人さんが立ち止まった。
他のお店の倍はある大きさに驚きながら中の方へ入るよう促され、来客用の部屋に通される。
流石商売をしているだけあって、部屋に入ると同時にお茶がだされ従業員の行き届いた接客の対応に思わず関心する。
「自己紹介がまだでしたな?わしはここの会頭をしているクラウディオ=ハウザーと申す。見ての通りただの老いぼれた爺だからそのように緊張することはないぞ?」
好々爺然とした表情で言っているが、このクラウディオ只者ではない。
リンドグレーン1の切れ者で知られ、この国の大貴族に勝るとも劣らぬ権力を持つ大商人なのだ。
昴広は知らず知らずのうちにそんな大物と知り合っていた。
幸運の女神 エルネスタの加護が遺憾なく発揮されているようだ。
「ご丁寧にありがとうございます、昴広と申します。この子は村から一緒に来たスハイルです。
先ほどもお礼申し上げましたが、再度感謝申し上げます。ありがとうございました。」
子狼姿でとなりに座っているスハイルをひと撫でしながら自己紹介をし、頭を下げる。
(会社でお客を相手に応対することはあったけど、ここまで緊張しながら話すことはなかったな。
クラウディオさん優しそうなお顔なんだけど威厳がすごいし、流石こんなに大きなお店を持つ人だな…。)
心の中でそう思っていると、服を持った従業員の方に隣室で着替えるよう促され、席を立つ。
手渡された服がどう見ても女性物の服なのだが一緒に来た従業員さんは先に出ていってしまったので、一旦それを着て隣室に戻ることにした。
「ほぉ…なかなか着こなせる者がおらず困っておったが、やはり服も着るものを選ぶようだのぉ?実に似合っておるぞ?」
書類を書いていたらしいクラウディオさんは書類から昴広に視線を移すと、目を細めながら満足気に頷いた。
「あ、ありがとうございます。えっとあのクラウディオさん、その…失礼なことをお聞きするのですが、この服もしかして女性物でしょうか…??」
チラリと着ている服を一瞥し、問いかけると不思議なことを聞かれたような表情でクラウディオさんは肯定した。
「似合うといって頂いて嬉しいのですが、その…出来れば男物の服と変えていただけないでしょうか?
紛らわしい見た目をしていて申し訳無いのですが、じつは僕男でして…」
申し訳なく交換を願うと、クラウディオと隣にいた秘書らしき人が愕然と目を見開き昴広を凝視したまま固まってしまった。
(よく間違われるから慣れてるけど、異世界共通で女性に思われるんだな…。)
「すまぬのう~。美の女神様のような美人さんだったから、てっきり女かと思ってしまってのぅ。今男物の服を用意させる故この書類を書きながら待ってくれるかの?」
先に思考を再開させたクラウディオに席を勧められ、大人しく座っているスハイルの隣に再度腰かけ、書類を受け取る。
こっちの文字を読めるのかと一瞬心配したが、友人がいっていた異世界補正というのがあるのか難なく読み書きができることがわかり、クラウディオの名前が書いてある下に昴広の名前を書く。
「こちらで大丈夫でしょうか?金額が貰いすぎな感じがして心配なのですが…。」
クラウディオに書き終えた書類を渡し、先に通過料と服代を差し引いた代金をと差し出された金貨を受け取りながら問いかける。
「心配はいらぬよ。むしろもう少し金額を上乗せしても良いかと考えておる。なにせ長年商人をしてきたが、一度も見たことがない生地だからのぅ。」
蓄えている顎髭あごひげをさわりながらクラウディオは考え込むがこれ以上受け取れないと慌ててとめにはいる。
あのままだと本当に金貨を増やされそうで怖い。
お茶を飲みながらクラウディオさんと楽しく話していると、さっき出ていった秘書の方が新しい服を持って着たので隣室で早速着替える。
今度はちゃんと男物の服だった。
「身分を証明するものを持たぬなら、わしも入っている商人ギルドか冒険者ギルドでギルドカードを貰うのが一番だとおもうのぅ。召喚獣は登録せねばならぬからまずは冒険者ギルドで登録するの良いと思うぞ?」
隣室に戻ると、遠い村からきたので一般的なことを教えて欲しいとお願いし、いろんなことを教わった。
ギルドは一日中開いているし身分を証明するものがないと困ることが多いと聞いて、クラウディオさんの言う通り冒険者ギルドに登録する為に冒険者ギルドまでの場所の地図をかいてもらい、登録したら一度戻ってくるようにクラウディオさんにいわれ、約束してからスハイルと一緒にギルドに向かった。
「ここがわしが営んでいるハウザー商会じゃ。」
門からほど近いところにある大きなお店の前で商人さんが立ち止まった。
他のお店の倍はある大きさに驚きながら中の方へ入るよう促され、来客用の部屋に通される。
流石商売をしているだけあって、部屋に入ると同時にお茶がだされ従業員の行き届いた接客の対応に思わず関心する。
「自己紹介がまだでしたな?わしはここの会頭をしているクラウディオ=ハウザーと申す。見ての通りただの老いぼれた爺だからそのように緊張することはないぞ?」
好々爺然とした表情で言っているが、このクラウディオ只者ではない。
リンドグレーン1の切れ者で知られ、この国の大貴族に勝るとも劣らぬ権力を持つ大商人なのだ。
昴広は知らず知らずのうちにそんな大物と知り合っていた。
幸運の女神 エルネスタの加護が遺憾なく発揮されているようだ。
「ご丁寧にありがとうございます、昴広と申します。この子は村から一緒に来たスハイルです。
先ほどもお礼申し上げましたが、再度感謝申し上げます。ありがとうございました。」
子狼姿でとなりに座っているスハイルをひと撫でしながら自己紹介をし、頭を下げる。
(会社でお客を相手に応対することはあったけど、ここまで緊張しながら話すことはなかったな。
クラウディオさん優しそうなお顔なんだけど威厳がすごいし、流石こんなに大きなお店を持つ人だな…。)
心の中でそう思っていると、服を持った従業員の方に隣室で着替えるよう促され、席を立つ。
手渡された服がどう見ても女性物の服なのだが一緒に来た従業員さんは先に出ていってしまったので、一旦それを着て隣室に戻ることにした。
「ほぉ…なかなか着こなせる者がおらず困っておったが、やはり服も着るものを選ぶようだのぉ?実に似合っておるぞ?」
書類を書いていたらしいクラウディオさんは書類から昴広に視線を移すと、目を細めながら満足気に頷いた。
「あ、ありがとうございます。えっとあのクラウディオさん、その…失礼なことをお聞きするのですが、この服もしかして女性物でしょうか…??」
チラリと着ている服を一瞥し、問いかけると不思議なことを聞かれたような表情でクラウディオさんは肯定した。
「似合うといって頂いて嬉しいのですが、その…出来れば男物の服と変えていただけないでしょうか?
紛らわしい見た目をしていて申し訳無いのですが、じつは僕男でして…」
申し訳なく交換を願うと、クラウディオと隣にいた秘書らしき人が愕然と目を見開き昴広を凝視したまま固まってしまった。
(よく間違われるから慣れてるけど、異世界共通で女性に思われるんだな…。)
「すまぬのう~。美の女神様のような美人さんだったから、てっきり女かと思ってしまってのぅ。今男物の服を用意させる故この書類を書きながら待ってくれるかの?」
先に思考を再開させたクラウディオに席を勧められ、大人しく座っているスハイルの隣に再度腰かけ、書類を受け取る。
こっちの文字を読めるのかと一瞬心配したが、友人がいっていた異世界補正というのがあるのか難なく読み書きができることがわかり、クラウディオの名前が書いてある下に昴広の名前を書く。
「こちらで大丈夫でしょうか?金額が貰いすぎな感じがして心配なのですが…。」
クラウディオに書き終えた書類を渡し、先に通過料と服代を差し引いた代金をと差し出された金貨を受け取りながら問いかける。
「心配はいらぬよ。むしろもう少し金額を上乗せしても良いかと考えておる。なにせ長年商人をしてきたが、一度も見たことがない生地だからのぅ。」
蓄えている顎髭あごひげをさわりながらクラウディオは考え込むがこれ以上受け取れないと慌ててとめにはいる。
あのままだと本当に金貨を増やされそうで怖い。
お茶を飲みながらクラウディオさんと楽しく話していると、さっき出ていった秘書の方が新しい服を持って着たので隣室で早速着替える。
今度はちゃんと男物の服だった。
「身分を証明するものを持たぬなら、わしも入っている商人ギルドか冒険者ギルドでギルドカードを貰うのが一番だとおもうのぅ。召喚獣は登録せねばならぬからまずは冒険者ギルドで登録するの良いと思うぞ?」
隣室に戻ると、遠い村からきたので一般的なことを教えて欲しいとお願いし、いろんなことを教わった。
ギルドは一日中開いているし身分を証明するものがないと困ることが多いと聞いて、クラウディオさんの言う通り冒険者ギルドに登録する為に冒険者ギルドまでの場所の地図をかいてもらい、登録したら一度戻ってくるようにクラウディオさんにいわれ、約束してからスハイルと一緒にギルドに向かった。
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