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第10話 武器屋
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冒険者ギルドへと向かう途中、昨日教えてくれた武器屋と書かれた看板の前でセバスチャンがピタリと止まった。
「セバスチャン?どうかしたんですか?」
なにか忘れ物でもしたのかな?と首を傾げながらセバスチャンを見ると、なにかを考えているらしく、ジッと武器屋の看板を凝視している。
「昴広様、つかぬ事をお伺い致します。
召喚士というのは、スハイル様のような召喚獣を武器に戦うと聞いておりますが、スハイル様が側にいない際に、ご自身の身を守る武器などはお持ちなのでしょうか?」
考えがまとまったらしいセバスチャンが昴広の方を向き、真剣な表情で尋ねてくる。
もちろん日本からやってきた昴広が武器などという物騒な物を持っているはずもない。
「武器というのは持ってません。
持っているとすれば仕事の時に使用するカッターくらいです。」
ゴソゴソと肩にかけていたカバンに手を入れ、百均などでよく見かけるカッターを取り出し、セバスチャンに見せる。
初めて目にする見たことのないものに、軽く目を見開いて驚きながらも、頭の中では冷静に思考を働かせ、武器にはなり得ないと判断する。
「こちらのかったぁと呼ばれるものは、あとで使い方をお教え願いたいと思うほどとても素晴らしいものでございます。
ですが、武器として使われるのは少々心もとないので、冒険者ギルドに行く前に、先に武器を購入致しませんか?」
あまりお時間はかかりませんのでと勧めてくる。
武器と言われても平和な日本で暮らしていた昴広に馴染みがなく、どのようなものなのか想像すらつかない。
〈昴広、セバスの言う通り俺が離れている場合もあるから、俺も武器のひとつやふたつ持っていた方がいいと思うぞ。〉
足元にいたスハイルも、うーんと悩む昴広に持つようにいう。
スハイルとしか契約していない今、昴広には自身の身を守るすべは他にないのだ。
「・・・・・・わかりました。でも、僕武器というものに詳しくないので、セバスチャンも一緒に選んでくれますか?」
よし、と購入することを決めた昴広は、セバスチャンを見上げながら頼む。
もちろんセバスチャン昴広の頼みを断るはずがなく、いや、むしろ昴広に頼まれて喜んでいる。
「もちろんでございます。このセバスチャン、これまで培ったあらゆる知識を元に、仮の武器とはいえ昴広様にあったものをお選び致します。」
セバスチャンの気合いの入れように苦笑し、程々の武器でお願いしますと言うと、セバスチャンが開けてくれていた扉をくぐった。
「いらっしゃいましぇー」
中に入ると幼い声で言葉をかけられ、カウンターらしきところにいるキツネの耳をした男の子と目が合う。
「お、おとうしゃーん!!ティリュリャしゃまがきたー!!」
ポカンと口をあけ、昴広の顔をマジマジと見ていた男の子は、いきなりガバッと立ち上がると裏手にいるらしい父親の所へと走っていった。
突然の出来事に昴広がオロオロとしていると、ガタンバタンと慌てたようにこちらにくる音が聞こえ、セバスチャンが昴広を守るかのように1歩前へと足を出す。
「・・・・・・。」
バサリと布をどかしながらでてきた小さいおじさんは、セバスチャンの後ろにいる昴広に目をやると何を言うでもなく膝をつき、昴広のことを崇め始める。
「え、ちょ!?待ってください!
いきなりどうしたんですか!!?」
慌てて小さいおじさんの前に出て、起き上がらせた。
(セバスチャンは、そのおじさんの様子をみながら、崇めてしまう気持ちは分かりますといった表情を浮かべている。)
「ガルム、ドワーフである貴方が間違えるほどティルラツィーリ様にそっくりですが、昴広様はちゃんと人間ですよ。」
このおじさんと知り合いらしく、穏やかな表情を浮かべたまま、ガルムと呼ばれた小さなおじさんに話しかける。
「セバスじゃねぇーか!冒険者を引退して、久しぶりに見たかと思ったら、こんな美人に仕えてやがったのか!」
「ふふ。羨ましいでしょう?でも、私のことは今はどうでもいいのですよ。
今日は、冒険者になられた昴広様に合う武器を探しにきたのです。なにかオススメのものはありませんか?」
ガルムがセバスチャンの声に反応し、ギンっと鋭く視線を飛ばすが、ガルムに慣れているセバスチャンがびくつくはずもない。
「セバスが言うなら信じるんだが、その子本当にティルラツィーリ様じゃねーんだろうな?」
まだ信じきれず、チラチラと自分のことを見ているガルムに昴広は、申し訳なさそうに眉を下げる。
「はじめまして、昴広と申します。セバスチャンの紹介で武器を購入するために来たのですが、僕のせいで困惑させてしまい申し訳ありません。」
謝りながらぺこりと頭を下げると、昴広にガルムだけでなく裏手に隠れてみていた男の子が慌てて昴広に気にするなと声を出す。
「わしの方こそ見苦しい所を見せてすまん。こんなボロく野蛮な店にあんたのような美人さんが来ることなんか滅多にないから勘違いしちまったんだ。」
ガルムはガシガシと恥ずかしそうに頭をかくと、あんたに合いそうなやつもってくるからちょっと待ってろと言い残し、裏手に戻る。
パタパタと可愛らしい尻尾を振りながら、ジーと興味津々に昴広をみる男の子に気づき、目線を合わせるようにしゃがみこむ。
「はじめまして、昴広です。
僕のお名前を教えてくれるかな?」
「あい!ふぉっくしゅじょくのべりゅむでしゅ!おねーたんからしゅごくおいししょーなにおいがしましゅ!!」
昴広が優しげに微笑みながら問いかけると、手を挙げながら元気よく名前を言い、クンクンと昴広を匂う。
「フォックス族のベルム君かー。ベルム君あのね、僕はお姉ちゃんじゃなくてお兄ちゃんなんだよ?」
苦笑しつつ間違いを訂正すると、カバンの中からハート柄の可愛らしい袋を取り出す。
「いい匂いってこれかな・・・・・・?これ僕が作ったクッキーっていうんだけど、食べる?」
会社で食べようと作っていたクッキーを袋の中からひとつ手に取る。
「たべりゅー!おにーたんありあとー!」
ニッコニコの満面の笑みを浮べ、クッキーを受け取るとクンクンと匂い、シャクシャクと食べ始めた。
「すまん、待たせた。」
美味しそうにクッキーを頬張るベルムを微笑ましく見ていると、ガルムが戻ってきた。
「これ扇子ですか??」
ガルムに手渡された鉄で出来ているらしい黒い扇子を広げながら武器になるようにはみえず、昴広は首を傾げる。
「これはまた珍しいものを出してきましたね・・・・・・。
昴広様、そちらは鉄扇と呼ばれる護身用の武具になります。ガルムが作ったようですので普通の鉄扇とは違うところがあるかと思われます。」
セバスチャンはふふっと面白そうにガルムを一瞥し、説明役を譲るように後に下がる。
「セバスにはバレバレみたいだな。
まぁ鉄扇自体が珍しいだが、わしが作った鉄扇は鉄の他にミスリルも一緒に混ぜてある。
対象に対して普通の鉄扇よりも強い打撃を与えられるようにドワーフ族だけが使える付与魔法がかけてある。
あと、多種類の斬撃波が飛ばせるようにもしてある。」
ガルムの説明になにやらすごいものを持っているらしいと昴広は瞬き繰り返す。
「え・・・・・・こんなすごいものを僕にいいんですか?」
「あんたに剣や斧とかはにあいそうにねぇーし、その鉄扇を使いこなせそうな奴がなかなかいなくて困ってたんだ。買ってくれた方がわしは助かる。」
昴広は広げていた扇子を閉じ、不安そうな目をガルムに向けると、コクンとガルムは頷き、安心させるように昴広に笑いかける。
本当に大丈夫なのかと後ろにいるセバスチャンに目で問いかけると、穏やかに頷きで返され、しばし悩んだあと、鉄扇を購入することに決めた。
「メンテもしてやるから、困ったことがあったらここに持ってきてくれ。」
武器というので高いのかと思ったら、セバスチャンの紹介であることと在庫だったことから銀貨3枚と破格の値段で購入することが出来た。
(普通に購入した場合、3倍以上の値段になるらしい。)
昴広たちが話しているなか、邪魔をしないようにベルム君と仲良く遊んでいたスハイルに声をかけ、ベルム君に手を振りながらガルムの店をあとにし、再度冒険者ギルドへと足を向ける。
─────────────────────────────────────
次話はバレンタインの日に書いたお話です。
内容が分かりにくくなる場合もありますので、飛ばして読まれても大丈夫です((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
「セバスチャン?どうかしたんですか?」
なにか忘れ物でもしたのかな?と首を傾げながらセバスチャンを見ると、なにかを考えているらしく、ジッと武器屋の看板を凝視している。
「昴広様、つかぬ事をお伺い致します。
召喚士というのは、スハイル様のような召喚獣を武器に戦うと聞いておりますが、スハイル様が側にいない際に、ご自身の身を守る武器などはお持ちなのでしょうか?」
考えがまとまったらしいセバスチャンが昴広の方を向き、真剣な表情で尋ねてくる。
もちろん日本からやってきた昴広が武器などという物騒な物を持っているはずもない。
「武器というのは持ってません。
持っているとすれば仕事の時に使用するカッターくらいです。」
ゴソゴソと肩にかけていたカバンに手を入れ、百均などでよく見かけるカッターを取り出し、セバスチャンに見せる。
初めて目にする見たことのないものに、軽く目を見開いて驚きながらも、頭の中では冷静に思考を働かせ、武器にはなり得ないと判断する。
「こちらのかったぁと呼ばれるものは、あとで使い方をお教え願いたいと思うほどとても素晴らしいものでございます。
ですが、武器として使われるのは少々心もとないので、冒険者ギルドに行く前に、先に武器を購入致しませんか?」
あまりお時間はかかりませんのでと勧めてくる。
武器と言われても平和な日本で暮らしていた昴広に馴染みがなく、どのようなものなのか想像すらつかない。
〈昴広、セバスの言う通り俺が離れている場合もあるから、俺も武器のひとつやふたつ持っていた方がいいと思うぞ。〉
足元にいたスハイルも、うーんと悩む昴広に持つようにいう。
スハイルとしか契約していない今、昴広には自身の身を守るすべは他にないのだ。
「・・・・・・わかりました。でも、僕武器というものに詳しくないので、セバスチャンも一緒に選んでくれますか?」
よし、と購入することを決めた昴広は、セバスチャンを見上げながら頼む。
もちろんセバスチャン昴広の頼みを断るはずがなく、いや、むしろ昴広に頼まれて喜んでいる。
「もちろんでございます。このセバスチャン、これまで培ったあらゆる知識を元に、仮の武器とはいえ昴広様にあったものをお選び致します。」
セバスチャンの気合いの入れように苦笑し、程々の武器でお願いしますと言うと、セバスチャンが開けてくれていた扉をくぐった。
「いらっしゃいましぇー」
中に入ると幼い声で言葉をかけられ、カウンターらしきところにいるキツネの耳をした男の子と目が合う。
「お、おとうしゃーん!!ティリュリャしゃまがきたー!!」
ポカンと口をあけ、昴広の顔をマジマジと見ていた男の子は、いきなりガバッと立ち上がると裏手にいるらしい父親の所へと走っていった。
突然の出来事に昴広がオロオロとしていると、ガタンバタンと慌てたようにこちらにくる音が聞こえ、セバスチャンが昴広を守るかのように1歩前へと足を出す。
「・・・・・・。」
バサリと布をどかしながらでてきた小さいおじさんは、セバスチャンの後ろにいる昴広に目をやると何を言うでもなく膝をつき、昴広のことを崇め始める。
「え、ちょ!?待ってください!
いきなりどうしたんですか!!?」
慌てて小さいおじさんの前に出て、起き上がらせた。
(セバスチャンは、そのおじさんの様子をみながら、崇めてしまう気持ちは分かりますといった表情を浮かべている。)
「ガルム、ドワーフである貴方が間違えるほどティルラツィーリ様にそっくりですが、昴広様はちゃんと人間ですよ。」
このおじさんと知り合いらしく、穏やかな表情を浮かべたまま、ガルムと呼ばれた小さなおじさんに話しかける。
「セバスじゃねぇーか!冒険者を引退して、久しぶりに見たかと思ったら、こんな美人に仕えてやがったのか!」
「ふふ。羨ましいでしょう?でも、私のことは今はどうでもいいのですよ。
今日は、冒険者になられた昴広様に合う武器を探しにきたのです。なにかオススメのものはありませんか?」
ガルムがセバスチャンの声に反応し、ギンっと鋭く視線を飛ばすが、ガルムに慣れているセバスチャンがびくつくはずもない。
「セバスが言うなら信じるんだが、その子本当にティルラツィーリ様じゃねーんだろうな?」
まだ信じきれず、チラチラと自分のことを見ているガルムに昴広は、申し訳なさそうに眉を下げる。
「はじめまして、昴広と申します。セバスチャンの紹介で武器を購入するために来たのですが、僕のせいで困惑させてしまい申し訳ありません。」
謝りながらぺこりと頭を下げると、昴広にガルムだけでなく裏手に隠れてみていた男の子が慌てて昴広に気にするなと声を出す。
「わしの方こそ見苦しい所を見せてすまん。こんなボロく野蛮な店にあんたのような美人さんが来ることなんか滅多にないから勘違いしちまったんだ。」
ガルムはガシガシと恥ずかしそうに頭をかくと、あんたに合いそうなやつもってくるからちょっと待ってろと言い残し、裏手に戻る。
パタパタと可愛らしい尻尾を振りながら、ジーと興味津々に昴広をみる男の子に気づき、目線を合わせるようにしゃがみこむ。
「はじめまして、昴広です。
僕のお名前を教えてくれるかな?」
「あい!ふぉっくしゅじょくのべりゅむでしゅ!おねーたんからしゅごくおいししょーなにおいがしましゅ!!」
昴広が優しげに微笑みながら問いかけると、手を挙げながら元気よく名前を言い、クンクンと昴広を匂う。
「フォックス族のベルム君かー。ベルム君あのね、僕はお姉ちゃんじゃなくてお兄ちゃんなんだよ?」
苦笑しつつ間違いを訂正すると、カバンの中からハート柄の可愛らしい袋を取り出す。
「いい匂いってこれかな・・・・・・?これ僕が作ったクッキーっていうんだけど、食べる?」
会社で食べようと作っていたクッキーを袋の中からひとつ手に取る。
「たべりゅー!おにーたんありあとー!」
ニッコニコの満面の笑みを浮べ、クッキーを受け取るとクンクンと匂い、シャクシャクと食べ始めた。
「すまん、待たせた。」
美味しそうにクッキーを頬張るベルムを微笑ましく見ていると、ガルムが戻ってきた。
「これ扇子ですか??」
ガルムに手渡された鉄で出来ているらしい黒い扇子を広げながら武器になるようにはみえず、昴広は首を傾げる。
「これはまた珍しいものを出してきましたね・・・・・・。
昴広様、そちらは鉄扇と呼ばれる護身用の武具になります。ガルムが作ったようですので普通の鉄扇とは違うところがあるかと思われます。」
セバスチャンはふふっと面白そうにガルムを一瞥し、説明役を譲るように後に下がる。
「セバスにはバレバレみたいだな。
まぁ鉄扇自体が珍しいだが、わしが作った鉄扇は鉄の他にミスリルも一緒に混ぜてある。
対象に対して普通の鉄扇よりも強い打撃を与えられるようにドワーフ族だけが使える付与魔法がかけてある。
あと、多種類の斬撃波が飛ばせるようにもしてある。」
ガルムの説明になにやらすごいものを持っているらしいと昴広は瞬き繰り返す。
「え・・・・・・こんなすごいものを僕にいいんですか?」
「あんたに剣や斧とかはにあいそうにねぇーし、その鉄扇を使いこなせそうな奴がなかなかいなくて困ってたんだ。買ってくれた方がわしは助かる。」
昴広は広げていた扇子を閉じ、不安そうな目をガルムに向けると、コクンとガルムは頷き、安心させるように昴広に笑いかける。
本当に大丈夫なのかと後ろにいるセバスチャンに目で問いかけると、穏やかに頷きで返され、しばし悩んだあと、鉄扇を購入することに決めた。
「メンテもしてやるから、困ったことがあったらここに持ってきてくれ。」
武器というので高いのかと思ったら、セバスチャンの紹介であることと在庫だったことから銀貨3枚と破格の値段で購入することが出来た。
(普通に購入した場合、3倍以上の値段になるらしい。)
昴広たちが話しているなか、邪魔をしないようにベルム君と仲良く遊んでいたスハイルに声をかけ、ベルム君に手を振りながらガルムの店をあとにし、再度冒険者ギルドへと足を向ける。
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次話はバレンタインの日に書いたお話です。
内容が分かりにくくなる場合もありますので、飛ばして読まれても大丈夫です((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
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