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第12話 初依頼②
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「・・・・・・セバスチャン。そこになおりなさい。」
昴広はアルビーンの家から早く遠ざけるかのようにセバスチャンの背中をグイグイと押し、人気のない公園のような所までやって来ると、ピタリと止まり、自身の目の前を指さしながら静かに声を発した。
男にしては涼やかな高めの声とは違う、感情を抑えこんでいるかのような声の低さから昴広が怒っていることがわかるが、なぜおこっているのでしょうか?と不思議に思いながらも、昴広の言葉に従い、膝をつく。
「誰が膝をつきなさいと言いましたか?
なおりなさいといったら正座にきまっているでしょう!!」
アクアブルーのキラキラとした目をつり上げながら、セバスチャンを睨みつけピシャリと一喝する。
昴広にそのように一喝されるなど思っておらず、ビクリと大きく身体を震わせると、セバスチャンは慌てて昴広の言う通りに正座した。
全く関係のないスハイルまでもが昴広の声にびっくりし、セバスチャンの横に伏せをする。
「セバスチャン。私がなぜ怒っているのか理解していますか?」
「それは・・・・・・昴広様の意見も聞かずにあの男に攻撃したことについてでしょうか?」
昴広の一人称が僕から私に変わっている時点で、昴広がとても怒っていることが分かり、セバスチャンは正座の状態から更に身を縮こませた。
昴広の問いかけに、自身のことを口元にのみ笑みを浮かべ、全く笑っていない冷たい目で見下ろす昴広におずおずと答える。
「確かに無抵抗の人物に対して暴力行為を行ったことは許されたことではありません。
ですが、私がセバスチャンに対して、怒っているのはその事についてではないのです。
私が怒っていることは、あのように人気の多い場所でナイフという危険なものを出して、万が一のことが起こったらどうするつもりだったのですか?
アルビーンは兵士なのでもしもアルビーンからの反撃にあった場合、セバスチャンが傷ついていた可能性もあるのですよ。
どんなに強くても絶対ということは無いのです。
私は自分を大事にしないものは好きではありません。」
昴広は淡々とセバスチャンに言い聞かせるかのようにゆっくりと話す。
初めは殊勝な様子でしょんぼりと話を聞いていたセバスチャンは、自身のことを案じて怒っているのだとわかると、熱の篭った目で昴広を見つめる。
「昴広様、申し訳ありません。
このセバスチャン、目の前の許せぬ出来事に気を取られてしまい、昴広様のご気分を害してしまったこと、真に申し訳ございません。
今後このようなことが無くなるよう、自身の身の安全を確保し、暴力行為でなく対話での対応から入るようにしたいと思います。
まだまだ未熟者でお恥ずかしい限りではありますが、精進致しますので、私めをお見捨てにならないようどうか宜しくお願い致します!」
真剣な表情で謝りながらズサッとお手本のように綺麗な土下座をするセバスチャンをみて、昴広は無表情だった顔を取り去り、見るもの全てを魅了する妖艶な笑みを浮かべた。
「分かればいいのです。
今後、今回のようなことが無くなるようにしてください。
ほらまだ最後の依頼が残っているので、早く終わらせましょう。」
セバスチャンに対する軽いお説教を終えると、再度謝りながら立ち上がり、姿勢を正したセバスチャンとスハイルを連れて、3件目の依頼場所に向かう。
✤
「昴広様、こちらが薬屋 ハンスでございます。」
ヴァルファードにきて2日目である昴広に場所など分かるはずもないので、セバスチャンの案内で最後の依頼場所へとやってきた。
何に使うのか分からないギョェーとなく不気味な薬草やネズミのようなイタチのような両方の特徴を持っている干からびた動物をみて、昴広は固まりながら顔を青ざめさせる。
いや、薬屋といわず、魔女の館と呼ぶ方があっているこの異様な光景をみたら誰でも昴広のような反応をすると思う。
「す、すみません。冒険者ギルドで依頼を受けてきました、昴広です。」
ゴクリと喉を鳴らし、意を決してドアを開けて中に入る。
「お!やっと来たか!!」
昴広達が中に入ると、扉を背に何かを調薬していたボサボサの頭をした男が声に喜色を混じらせながら振り向く。
「いやーよく来てくれた!俺が依頼を出したハンスだ。よろしく頼む!」
人好きのする満面の笑みを浮かべるハンスに昴広はポカンと口を開けたまま固まる。
このような場所にいるので偏屈な人なのかもと想像していたのに、全くの真逆の元気で人当たりのいい人の登場に面食らったのだ。
「依頼内容なんだが、ポーションを作る際に使う薬草がそろそろ底をつきそうなんで
、その薬草が欲しいんだ。
まぁ、見ての通りこの店は俺ひとりでやってる。
俺が取りに行こうにも店を休業にするわけにもいかんから、取りに行くわけにも行かないんだなこれが。
それで依頼を出してみたんだが、いやまさか嬢ちゃんのようなひょろっこいのがくるとはな。」
昴広の顔に多少驚きつつ、ハンスが話す。
昴広のことを嬢ちゃんと呼んだ時に、ピクリとセバスチャンの眉が跳ね上がるが、先程怒られたばかりなのでこらえる。
「あ・・・・・・紛らわしい見た目でもう訳ないのですが、僕、男です。
あと、薬草についてなのですが、こちらの都市に来る途中にあったので採取していたのがあるのですが、こちらでもいいでしょうか?」
いつも通り性別の間違いをただし、ヴァルファードに来る途中にスハイルからポーションの材料になるはずだと聞いて採取していた複数の薬草をカバンの中から取り出す。
人に関わらずに生きてきた割にはスハイルはとても博識で、ポーションなどについて色々教えてくれた。
「ほー物凄い別嬪さんなのに男とは、二重で驚いた!
ま、生まれ持ったものはしょうがないよな。
どれ、どれ持ってきた薬草を見せてもらうぞ。」
ワハハと笑いながら昴広の肩を叩き、1人で勝手に納得すると、昴広が取り出した薬草を鑑定し始める。
似ているものが複数あるらしいのだが、昴広はなぜか既に使えていた鑑定魔法を使って説明文を読みながら採取したので、間違ったものはとっていないと思う。
「うん。全部ポーション作りの薬草で間違いない!
ここまで薬草を見分けられるなんて実は鑑定魔法を持っているとかだったりしてな!」
昴広は薬師であるハンスからのお墨付きを得て、ほっと安堵の息を吐く。
鑑定魔法は珍しいらしいので、口外しない方がいいとスハイルに言われているので、苦笑を浮かべながらスルーする。
「じゃあ、これで依頼達成ということで大丈夫ですか?」
「おー、満点合格だ!」
昴広はサインを貰うために依頼用紙を取り出し問いかけると、ハンスはニコニコと機嫌良さげに笑いながら昴広から依頼用紙を受け取り達成欄に名前を書く。
「ありがとうございます。では、お仕事の邪魔をしないようにここらへんで失礼致します。」
ハンスから依頼用紙を返されると丁寧に降りカバンになおすと、昴広は頭を下げ、またよろしくなーというハンスの声を聞きながらお店から出た。
✤
「よかった。ちゃんと全部依頼達成出来た・・・・・・。」
初依頼でちゃんと出来るかと内心ドキドキしていた昴広は、達成感を味わう。
こんなに達成感を感じるの会社に勤め始めた時以来だなと懐かしく思いながら、セバスチャン達を連れて達成報告をし終えた冒険者ギルドを後にする。
今日のスハイルと、セバスチャンの威圧がきいているのか、帰ってきてからは誰からも絡まれることく無事に報告することが出来た。
「お疲れ様でございました。初めての依頼受注とは思えないほど、しっかりとした対応で、このセバスチャン感動致しました。」
大袈裟に昴広を褒めるセバスチャンに、褒めすぎですよと頬を赤く染めながら否定する。
会社での対応とほとんど変わらないのでそこまで褒められることではないと昴広は思っているのだが、ここはリンドグレーン。
昴広がいた礼儀にうるさい日本と違い、礼儀正しい対応をするものの方が圧倒的に少なく、逆に粗暴な人の方が多いのだ。
「大袈裟ではございません!
このように心優しく、お美しい昴広の側に居られるなど、私めの誇りでございます。」
セバスチャンは昴広のことを神として信仰するかのように、恍惚とした表情で見つめる。
「もう!そんな変なこと言ってないでさっさと帰りますよ!」
既にセバスチャンの変な行動に慣れ始めた昴広は、またかと流しながら、クラウディオの店へと帰り始めた。
昴広はアルビーンの家から早く遠ざけるかのようにセバスチャンの背中をグイグイと押し、人気のない公園のような所までやって来ると、ピタリと止まり、自身の目の前を指さしながら静かに声を発した。
男にしては涼やかな高めの声とは違う、感情を抑えこんでいるかのような声の低さから昴広が怒っていることがわかるが、なぜおこっているのでしょうか?と不思議に思いながらも、昴広の言葉に従い、膝をつく。
「誰が膝をつきなさいと言いましたか?
なおりなさいといったら正座にきまっているでしょう!!」
アクアブルーのキラキラとした目をつり上げながら、セバスチャンを睨みつけピシャリと一喝する。
昴広にそのように一喝されるなど思っておらず、ビクリと大きく身体を震わせると、セバスチャンは慌てて昴広の言う通りに正座した。
全く関係のないスハイルまでもが昴広の声にびっくりし、セバスチャンの横に伏せをする。
「セバスチャン。私がなぜ怒っているのか理解していますか?」
「それは・・・・・・昴広様の意見も聞かずにあの男に攻撃したことについてでしょうか?」
昴広の一人称が僕から私に変わっている時点で、昴広がとても怒っていることが分かり、セバスチャンは正座の状態から更に身を縮こませた。
昴広の問いかけに、自身のことを口元にのみ笑みを浮かべ、全く笑っていない冷たい目で見下ろす昴広におずおずと答える。
「確かに無抵抗の人物に対して暴力行為を行ったことは許されたことではありません。
ですが、私がセバスチャンに対して、怒っているのはその事についてではないのです。
私が怒っていることは、あのように人気の多い場所でナイフという危険なものを出して、万が一のことが起こったらどうするつもりだったのですか?
アルビーンは兵士なのでもしもアルビーンからの反撃にあった場合、セバスチャンが傷ついていた可能性もあるのですよ。
どんなに強くても絶対ということは無いのです。
私は自分を大事にしないものは好きではありません。」
昴広は淡々とセバスチャンに言い聞かせるかのようにゆっくりと話す。
初めは殊勝な様子でしょんぼりと話を聞いていたセバスチャンは、自身のことを案じて怒っているのだとわかると、熱の篭った目で昴広を見つめる。
「昴広様、申し訳ありません。
このセバスチャン、目の前の許せぬ出来事に気を取られてしまい、昴広様のご気分を害してしまったこと、真に申し訳ございません。
今後このようなことが無くなるよう、自身の身の安全を確保し、暴力行為でなく対話での対応から入るようにしたいと思います。
まだまだ未熟者でお恥ずかしい限りではありますが、精進致しますので、私めをお見捨てにならないようどうか宜しくお願い致します!」
真剣な表情で謝りながらズサッとお手本のように綺麗な土下座をするセバスチャンをみて、昴広は無表情だった顔を取り去り、見るもの全てを魅了する妖艶な笑みを浮かべた。
「分かればいいのです。
今後、今回のようなことが無くなるようにしてください。
ほらまだ最後の依頼が残っているので、早く終わらせましょう。」
セバスチャンに対する軽いお説教を終えると、再度謝りながら立ち上がり、姿勢を正したセバスチャンとスハイルを連れて、3件目の依頼場所に向かう。
✤
「昴広様、こちらが薬屋 ハンスでございます。」
ヴァルファードにきて2日目である昴広に場所など分かるはずもないので、セバスチャンの案内で最後の依頼場所へとやってきた。
何に使うのか分からないギョェーとなく不気味な薬草やネズミのようなイタチのような両方の特徴を持っている干からびた動物をみて、昴広は固まりながら顔を青ざめさせる。
いや、薬屋といわず、魔女の館と呼ぶ方があっているこの異様な光景をみたら誰でも昴広のような反応をすると思う。
「す、すみません。冒険者ギルドで依頼を受けてきました、昴広です。」
ゴクリと喉を鳴らし、意を決してドアを開けて中に入る。
「お!やっと来たか!!」
昴広達が中に入ると、扉を背に何かを調薬していたボサボサの頭をした男が声に喜色を混じらせながら振り向く。
「いやーよく来てくれた!俺が依頼を出したハンスだ。よろしく頼む!」
人好きのする満面の笑みを浮かべるハンスに昴広はポカンと口を開けたまま固まる。
このような場所にいるので偏屈な人なのかもと想像していたのに、全くの真逆の元気で人当たりのいい人の登場に面食らったのだ。
「依頼内容なんだが、ポーションを作る際に使う薬草がそろそろ底をつきそうなんで
、その薬草が欲しいんだ。
まぁ、見ての通りこの店は俺ひとりでやってる。
俺が取りに行こうにも店を休業にするわけにもいかんから、取りに行くわけにも行かないんだなこれが。
それで依頼を出してみたんだが、いやまさか嬢ちゃんのようなひょろっこいのがくるとはな。」
昴広の顔に多少驚きつつ、ハンスが話す。
昴広のことを嬢ちゃんと呼んだ時に、ピクリとセバスチャンの眉が跳ね上がるが、先程怒られたばかりなのでこらえる。
「あ・・・・・・紛らわしい見た目でもう訳ないのですが、僕、男です。
あと、薬草についてなのですが、こちらの都市に来る途中にあったので採取していたのがあるのですが、こちらでもいいでしょうか?」
いつも通り性別の間違いをただし、ヴァルファードに来る途中にスハイルからポーションの材料になるはずだと聞いて採取していた複数の薬草をカバンの中から取り出す。
人に関わらずに生きてきた割にはスハイルはとても博識で、ポーションなどについて色々教えてくれた。
「ほー物凄い別嬪さんなのに男とは、二重で驚いた!
ま、生まれ持ったものはしょうがないよな。
どれ、どれ持ってきた薬草を見せてもらうぞ。」
ワハハと笑いながら昴広の肩を叩き、1人で勝手に納得すると、昴広が取り出した薬草を鑑定し始める。
似ているものが複数あるらしいのだが、昴広はなぜか既に使えていた鑑定魔法を使って説明文を読みながら採取したので、間違ったものはとっていないと思う。
「うん。全部ポーション作りの薬草で間違いない!
ここまで薬草を見分けられるなんて実は鑑定魔法を持っているとかだったりしてな!」
昴広は薬師であるハンスからのお墨付きを得て、ほっと安堵の息を吐く。
鑑定魔法は珍しいらしいので、口外しない方がいいとスハイルに言われているので、苦笑を浮かべながらスルーする。
「じゃあ、これで依頼達成ということで大丈夫ですか?」
「おー、満点合格だ!」
昴広はサインを貰うために依頼用紙を取り出し問いかけると、ハンスはニコニコと機嫌良さげに笑いながら昴広から依頼用紙を受け取り達成欄に名前を書く。
「ありがとうございます。では、お仕事の邪魔をしないようにここらへんで失礼致します。」
ハンスから依頼用紙を返されると丁寧に降りカバンになおすと、昴広は頭を下げ、またよろしくなーというハンスの声を聞きながらお店から出た。
✤
「よかった。ちゃんと全部依頼達成出来た・・・・・・。」
初依頼でちゃんと出来るかと内心ドキドキしていた昴広は、達成感を味わう。
こんなに達成感を感じるの会社に勤め始めた時以来だなと懐かしく思いながら、セバスチャン達を連れて達成報告をし終えた冒険者ギルドを後にする。
今日のスハイルと、セバスチャンの威圧がきいているのか、帰ってきてからは誰からも絡まれることく無事に報告することが出来た。
「お疲れ様でございました。初めての依頼受注とは思えないほど、しっかりとした対応で、このセバスチャン感動致しました。」
大袈裟に昴広を褒めるセバスチャンに、褒めすぎですよと頬を赤く染めながら否定する。
会社での対応とほとんど変わらないのでそこまで褒められることではないと昴広は思っているのだが、ここはリンドグレーン。
昴広がいた礼儀にうるさい日本と違い、礼儀正しい対応をするものの方が圧倒的に少なく、逆に粗暴な人の方が多いのだ。
「大袈裟ではございません!
このように心優しく、お美しい昴広の側に居られるなど、私めの誇りでございます。」
セバスチャンは昴広のことを神として信仰するかのように、恍惚とした表情で見つめる。
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