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第二話
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僕達、白百合団は何事も無く…… 野党を返り討ちするくらいで目的の街に着いた。
「団長。これからどうするんですか?」
いい質問です、ソフィアさん。貴女の声は小鳥が囀ずる様で気持ちが良いですね。いつまでも聞いていたくなる声ですよ。
「これから僕は領主様に会いに行って来ます。グレゴール・ハップ・ハールトーク伯爵様ですよ。皆さんは宿屋でゆっくりしていてください」
「おっし、クリスティン男を漁りに行こうぜ」
「…………」
「僕はベッドで待ってるッス」
「私もゆっくりさせてもらいます」
「ここの墓場からいい匂いがするのである」
「錬金術ギルドに行って来ます~」
「……宿屋でゆっくりしていて下さい!」
お願いだから大人しくしてくれ。男漁りと言って声を掛けて来た男を半殺しにしてるじゃないですか! 墓場も駄目だ、死人が起きる! ギルドも遠慮して欲しい、死人が増える!
ソフィアさんは、ゆっくりしてください。貴方は僕の心を癒してくれるから。
今日の輪番はアラナか。疲れてるなら先に寝てて朝まで起きないでいいんだよ。背中に突き刺さる爪が痛いんだよ。
「とにかく問題を起こさないで下さいね。今回の領主様の仕事はハスハント商会の繋がりのある仕事で、どうしても欲しいんですから」
「ハスハントなんてどうでもいいじゃねぇか。楽しくやろうぜ」
これが今まで団長だった人の言葉か!? だから僕が団長になったのか……
「分かりました。もし大人しくしててくれたら今回の領主様の仕事が終わった後に一人一回、「なんでも言うことを出来る限りかなえる券」をあげましょう」
「「「ウオォォォ」」」
「何でもって何でもありか?」
「どんな事でもいいの?」
「あんな事やこんな事もいいんッスね」
「刺すのもありであるか?」
「新しい薬~」
「……」
子供か! いっぺんに喋るな。何人か物騒な事を言ってるやつ、聞こえてるぞ。それとクリスティンさんは何か喋って。「頑張ってね」とか。
「皆さんの興味は尽きないと思いますが、今回の仕事はどうしても成功させたいので大人しくしていて下さい」
「絶対に仕事取ってこい!」
「頑張って下さいね」
「……」
ちょっと失敗したかな。「なんでも」しか聞いてないんだろうね。ちゃんと聞いてたかな? 「出来る限り」って言葉を。僕は宿屋に全員を押し込んで馬車を預け、領主様の屋敷に向かった。
「これは、これは遠い所までご足労痛み入る」
「この度はご指名頂きまして、ありがとうございます」
「ヌーユでの働きぶりは聞いておるぞ。さすが殲滅旅団の方々と」
ハァ~、殲滅旅団か。本当は「白百合団」これが僕達の団の名前だけど、以前の仕事で全員が勝手に暴れだして相手の旅団を壊滅させて以来、二つ名として付いたのが「殲滅旅団」
名前としてはカッコいい「殲滅旅団」 ヌーユの戦場で白百合団がどれほどの活躍をしたか、どれほどの凶悪さを見せつけたか。
「白百合団でございます。領主様」
「ハッハッハッ。二つ名が恥じぬほどの活躍を今回も期待してるぞ。貴公の名はなんと言う」
「はい。白百合団団長、ミカエル・シン(見返 真)と申します」
ハールトーク伯爵はとても気品のある方だが軍事に関しては少し弱く、いつも後手に回っている戦略を取るタイプでそれを解消するべく白百合団に協力を求めてきた。
僕達に依頼して内容は「マーダ砦の攻略」 攻略の中に砦を破壊してもいいとなっているのが、やり易い。
マーダ砦には百名ほどの敵軍がいるらしいが、それくらいなら白百合団にとって問題にならない。問題は攻略の後に起こること……
出発は二日後に決まり僕は屋敷を出た。ハートルーク伯爵は殲滅旅団の名前を買ってか大枚の報償金を出してくれるし、後は宿屋で皆に話をして作戦を立て物資を補給して出発だ。
宿に帰ると皆が大人しく待っていた。よほど「なんでも券」が欲しいのか。プリシラさんとルフィナは居なくなってると期待したのに残念だ。
ニタニタ笑って仕事の後の事を想像しているだろうプリシラさんに向かって僕はハートルーク伯爵との仕事の話をした。
「仕事を取って来ましたよ」
「偉い!さすが団長だな」
「マーダ砦の攻略です。明後日、出発します。明日は物資の補給と各自武器などの点検に当ててください」
「待て! 出発は明々後日に出来ないのか?」
プリシラさんが珍しく出発を遅らせようとしている。いつもなら「今すぐに」「さあ、殺そうぜ」と言うのに不思議な事もあるもんだ。
「ハールトーク伯爵との取り決めでもありますし、何か問題でもありますか?」
「明後日はあたいの番だ!」
「それが……?」
「久しぶりにベッドでしたい」
「却下です」
仕事をしようぜ、仕事を。
「団長。これからどうするんですか?」
いい質問です、ソフィアさん。貴女の声は小鳥が囀ずる様で気持ちが良いですね。いつまでも聞いていたくなる声ですよ。
「これから僕は領主様に会いに行って来ます。グレゴール・ハップ・ハールトーク伯爵様ですよ。皆さんは宿屋でゆっくりしていてください」
「おっし、クリスティン男を漁りに行こうぜ」
「…………」
「僕はベッドで待ってるッス」
「私もゆっくりさせてもらいます」
「ここの墓場からいい匂いがするのである」
「錬金術ギルドに行って来ます~」
「……宿屋でゆっくりしていて下さい!」
お願いだから大人しくしてくれ。男漁りと言って声を掛けて来た男を半殺しにしてるじゃないですか! 墓場も駄目だ、死人が起きる! ギルドも遠慮して欲しい、死人が増える!
ソフィアさんは、ゆっくりしてください。貴方は僕の心を癒してくれるから。
今日の輪番はアラナか。疲れてるなら先に寝てて朝まで起きないでいいんだよ。背中に突き刺さる爪が痛いんだよ。
「とにかく問題を起こさないで下さいね。今回の領主様の仕事はハスハント商会の繋がりのある仕事で、どうしても欲しいんですから」
「ハスハントなんてどうでもいいじゃねぇか。楽しくやろうぜ」
これが今まで団長だった人の言葉か!? だから僕が団長になったのか……
「分かりました。もし大人しくしててくれたら今回の領主様の仕事が終わった後に一人一回、「なんでも言うことを出来る限りかなえる券」をあげましょう」
「「「ウオォォォ」」」
「何でもって何でもありか?」
「どんな事でもいいの?」
「あんな事やこんな事もいいんッスね」
「刺すのもありであるか?」
「新しい薬~」
「……」
子供か! いっぺんに喋るな。何人か物騒な事を言ってるやつ、聞こえてるぞ。それとクリスティンさんは何か喋って。「頑張ってね」とか。
「皆さんの興味は尽きないと思いますが、今回の仕事はどうしても成功させたいので大人しくしていて下さい」
「絶対に仕事取ってこい!」
「頑張って下さいね」
「……」
ちょっと失敗したかな。「なんでも」しか聞いてないんだろうね。ちゃんと聞いてたかな? 「出来る限り」って言葉を。僕は宿屋に全員を押し込んで馬車を預け、領主様の屋敷に向かった。
「これは、これは遠い所までご足労痛み入る」
「この度はご指名頂きまして、ありがとうございます」
「ヌーユでの働きぶりは聞いておるぞ。さすが殲滅旅団の方々と」
ハァ~、殲滅旅団か。本当は「白百合団」これが僕達の団の名前だけど、以前の仕事で全員が勝手に暴れだして相手の旅団を壊滅させて以来、二つ名として付いたのが「殲滅旅団」
名前としてはカッコいい「殲滅旅団」 ヌーユの戦場で白百合団がどれほどの活躍をしたか、どれほどの凶悪さを見せつけたか。
「白百合団でございます。領主様」
「ハッハッハッ。二つ名が恥じぬほどの活躍を今回も期待してるぞ。貴公の名はなんと言う」
「はい。白百合団団長、ミカエル・シン(見返 真)と申します」
ハールトーク伯爵はとても気品のある方だが軍事に関しては少し弱く、いつも後手に回っている戦略を取るタイプでそれを解消するべく白百合団に協力を求めてきた。
僕達に依頼して内容は「マーダ砦の攻略」 攻略の中に砦を破壊してもいいとなっているのが、やり易い。
マーダ砦には百名ほどの敵軍がいるらしいが、それくらいなら白百合団にとって問題にならない。問題は攻略の後に起こること……
出発は二日後に決まり僕は屋敷を出た。ハートルーク伯爵は殲滅旅団の名前を買ってか大枚の報償金を出してくれるし、後は宿屋で皆に話をして作戦を立て物資を補給して出発だ。
宿に帰ると皆が大人しく待っていた。よほど「なんでも券」が欲しいのか。プリシラさんとルフィナは居なくなってると期待したのに残念だ。
ニタニタ笑って仕事の後の事を想像しているだろうプリシラさんに向かって僕はハートルーク伯爵との仕事の話をした。
「仕事を取って来ましたよ」
「偉い!さすが団長だな」
「マーダ砦の攻略です。明後日、出発します。明日は物資の補給と各自武器などの点検に当ててください」
「待て! 出発は明々後日に出来ないのか?」
プリシラさんが珍しく出発を遅らせようとしている。いつもなら「今すぐに」「さあ、殺そうぜ」と言うのに不思議な事もあるもんだ。
「ハールトーク伯爵との取り決めでもありますし、何か問題でもありますか?」
「明後日はあたいの番だ!」
「それが……?」
「久しぶりにベッドでしたい」
「却下です」
仕事をしようぜ、仕事を。
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