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第三話
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マーダ砦の攻略の為の補給をし予定通りの出発になったがプリシラさんは最後まで駄々を捏ねてベットから出なかった。
アラナとは輪番で一昨日の夜に寝てしまったが、アラナは猫の亜人、鳴き声が可愛くて必ず背中に爪を立てる。後ろからすればいいのだろうけど、力はアラナの方が上だ。僕なんか簡単に首の骨を折られます。
オリエッタは昨日の夜に輪番が回って来た。 必ず怪しげな薬を飲ませようとする。一応、命の危険が無いことと仕事に影響が無いことを確認してから飲んだけれど、その後はどうなったかは記憶がないからね。 薬を飲まなかったらいいのだけど、飲まなかったら次はガスを振り撒く。回りに迷惑はかけられない。
マーダ砦の攻略は簡単だ。相手は傭兵や騎士が百名くらい。こちらは白百合団の六名のみ。僕は馬車に乗ってるだけ。現代の日本人が刀を持って戦える訳がない。
僕の仕事は兵站だ。補給、移動、食事、交渉、夜のお勤め。直接の戦闘指揮はプリシラさんが取るから僕の出番は終わってからだ。
出来るだけ血を見ないで終わらせて欲しい。戦場で血を見ないでってのもおかしな話だけど、血を見ると興奮するメンバーばかりだから。作戦は立てたから後は勝手にやってくれ。後の事は頑張るから。 ……出来るだけ。
マーダ砦の攻略が夕刻を狙って始まった。先頭はオリエッタ。錬金術師のオリエッタに戦闘能力は僕と同じかそれ以下しか無いけれど「装甲錬金術式」と言う僕達の世界でパワードスーツに似た服を身にまとっていた。力だけではライカンスロープになった時のプリシラさん並にある。
砦からの弓や魔法の攻撃も装甲錬金術式の前には効かず無駄にパワーアップしたオリエッタはマーダ砦の門を撃ち破った。
「上出来だオリエッタ。後は団長の所に戻っていいぞ。クリスティン、アラナ突っ込むぞ。ルフィナ! アクビをしてないで死体を起こせ! ソフィアは魔法で牽制しろ。行くぞ!」
バスターソードを振り回し人間を紙の如く切り裂くプリシラさん。
一合も交えず回りの人間が不幸にも心臓発作を起こすクリスティンさん。
殺した相手をもてあそび、それを邪魔する者も切り裂くアラナ。
ゾンビの群れを手足の様に操り群れで一人をいたぶるルフィナ。
一度見た事があるから何をしてるか分かる。可哀想な砦の人達。たった百人程度で白百合団を止められる訳がないのに。「問題は攻略の後に起こること」 その問題の一つが帰って来た。
「お疲れ、オリエッタ。攻略は順調かな?」
オリエッタの着ている装甲錬金術式を脱がしながら聞いてみると、裸のオリエッタが抱き付いてきた。
「まだ戦闘中ですよ。それに装甲服を付ける時は服も着てください」
「私の服だと装甲服に挟まれちゃうんです~」
「あのゴスロリ風な服を止めて下さいよ。もっと戦闘にむいた服があるでしょ」
「いいんです~。 これの方がすぐに出来るんじゃないですか~」
出来る? そうです。その通りです。この白百合団はみんな戦闘になると興奮してしまい、その興奮を押さえないとヌーユの二の前になる。
団長の仕事はこれも入ってる。団則の中にキッチリ明記されている、興奮を押さえる事。
「今日はプリシラさんの番だよ」
無理を承知で言ってみても聞いてくれる子はいません。無理強いすれば矛先が僕に向かって来るのは間違いない。
「まだやってる最中です~。こちらも「やる」のです~」
オリエッタは団の中でもアラナと並んで小柄だが、何故かパワーだけは団の中でも一番でパワードスーツなんて要らないぐらいだ。
その小さいオリエッタにギュッと抱き締められると、折られたアバラ骨の痛みを思い出す。以前、オリエッタが絶頂を迎えたのだろうか、僕を強く抱き締め左右のアバラ骨を二本づつ折った。
「チューしたいです~」
可愛いオリエッタに逆らえるハズも無く、僕はキスをして抱き締めた。オリエッタの身長だけを言うと、とてもヤバい気がするけど、アラナも含めて成人の儀式は済んでるらしい。
ここまで敵が来る事はも無いだろう。僕は馬車の上にオリエッタを運び、用意しておいた柔らかいクッションに寝かせた。
「オリエッタ、綺麗だよ」
もう見慣れているとは言え、オリエッタの肌は綺麗だ。とても傭兵をやる女の子には見えないが、装甲服で傭兵相手に頭を砕いたのを見た事もある。
僕は、みんなが戦ってる時にオリエッタを抱いた。不謹慎だなんて思わない。僕が拒否ってオリエッタがまた装甲服を着たら、どうなるかなんて簡単だ。門を一撃で壊す威力がこちらに飛んで来る。
マーダ砦が静かになるのに反比例して、遠く離れた森の中でオリエッタのあえぎ声が響いた。
アラナとは輪番で一昨日の夜に寝てしまったが、アラナは猫の亜人、鳴き声が可愛くて必ず背中に爪を立てる。後ろからすればいいのだろうけど、力はアラナの方が上だ。僕なんか簡単に首の骨を折られます。
オリエッタは昨日の夜に輪番が回って来た。 必ず怪しげな薬を飲ませようとする。一応、命の危険が無いことと仕事に影響が無いことを確認してから飲んだけれど、その後はどうなったかは記憶がないからね。 薬を飲まなかったらいいのだけど、飲まなかったら次はガスを振り撒く。回りに迷惑はかけられない。
マーダ砦の攻略は簡単だ。相手は傭兵や騎士が百名くらい。こちらは白百合団の六名のみ。僕は馬車に乗ってるだけ。現代の日本人が刀を持って戦える訳がない。
僕の仕事は兵站だ。補給、移動、食事、交渉、夜のお勤め。直接の戦闘指揮はプリシラさんが取るから僕の出番は終わってからだ。
出来るだけ血を見ないで終わらせて欲しい。戦場で血を見ないでってのもおかしな話だけど、血を見ると興奮するメンバーばかりだから。作戦は立てたから後は勝手にやってくれ。後の事は頑張るから。 ……出来るだけ。
マーダ砦の攻略が夕刻を狙って始まった。先頭はオリエッタ。錬金術師のオリエッタに戦闘能力は僕と同じかそれ以下しか無いけれど「装甲錬金術式」と言う僕達の世界でパワードスーツに似た服を身にまとっていた。力だけではライカンスロープになった時のプリシラさん並にある。
砦からの弓や魔法の攻撃も装甲錬金術式の前には効かず無駄にパワーアップしたオリエッタはマーダ砦の門を撃ち破った。
「上出来だオリエッタ。後は団長の所に戻っていいぞ。クリスティン、アラナ突っ込むぞ。ルフィナ! アクビをしてないで死体を起こせ! ソフィアは魔法で牽制しろ。行くぞ!」
バスターソードを振り回し人間を紙の如く切り裂くプリシラさん。
一合も交えず回りの人間が不幸にも心臓発作を起こすクリスティンさん。
殺した相手をもてあそび、それを邪魔する者も切り裂くアラナ。
ゾンビの群れを手足の様に操り群れで一人をいたぶるルフィナ。
一度見た事があるから何をしてるか分かる。可哀想な砦の人達。たった百人程度で白百合団を止められる訳がないのに。「問題は攻略の後に起こること」 その問題の一つが帰って来た。
「お疲れ、オリエッタ。攻略は順調かな?」
オリエッタの着ている装甲錬金術式を脱がしながら聞いてみると、裸のオリエッタが抱き付いてきた。
「まだ戦闘中ですよ。それに装甲服を付ける時は服も着てください」
「私の服だと装甲服に挟まれちゃうんです~」
「あのゴスロリ風な服を止めて下さいよ。もっと戦闘にむいた服があるでしょ」
「いいんです~。 これの方がすぐに出来るんじゃないですか~」
出来る? そうです。その通りです。この白百合団はみんな戦闘になると興奮してしまい、その興奮を押さえないとヌーユの二の前になる。
団長の仕事はこれも入ってる。団則の中にキッチリ明記されている、興奮を押さえる事。
「今日はプリシラさんの番だよ」
無理を承知で言ってみても聞いてくれる子はいません。無理強いすれば矛先が僕に向かって来るのは間違いない。
「まだやってる最中です~。こちらも「やる」のです~」
オリエッタは団の中でもアラナと並んで小柄だが、何故かパワーだけは団の中でも一番でパワードスーツなんて要らないぐらいだ。
その小さいオリエッタにギュッと抱き締められると、折られたアバラ骨の痛みを思い出す。以前、オリエッタが絶頂を迎えたのだろうか、僕を強く抱き締め左右のアバラ骨を二本づつ折った。
「チューしたいです~」
可愛いオリエッタに逆らえるハズも無く、僕はキスをして抱き締めた。オリエッタの身長だけを言うと、とてもヤバい気がするけど、アラナも含めて成人の儀式は済んでるらしい。
ここまで敵が来る事はも無いだろう。僕は馬車の上にオリエッタを運び、用意しておいた柔らかいクッションに寝かせた。
「オリエッタ、綺麗だよ」
もう見慣れているとは言え、オリエッタの肌は綺麗だ。とても傭兵をやる女の子には見えないが、装甲服で傭兵相手に頭を砕いたのを見た事もある。
僕は、みんなが戦ってる時にオリエッタを抱いた。不謹慎だなんて思わない。僕が拒否ってオリエッタがまた装甲服を着たら、どうなるかなんて簡単だ。門を一撃で壊す威力がこちらに飛んで来る。
マーダ砦が静かになるのに反比例して、遠く離れた森の中でオリエッタのあえぎ声が響いた。
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