異世界に来たって楽じゃない

コウ

文字の大きさ
27 / 292

第二十七話

しおりを挟む

  ヌーユの仕事が入った。

 
 いよいよな感じもするが、何をすれば正解なのか分からない。傭兵ギルドに行くとマクジュル王国でヌーユ方面への傭兵の募集があり僕はこれを受ける事にした。

 「ヌーユでの仕事があります。白百合団はマクジュル王国軍の一員として、これに参加します」

 「どう言った感じなのか分かっているのかい」

 「はい。現在、ヌーユにはハリヌーク帝国のステフォン城を落とさんとプロメリア王国が出陣しています。マクジュル王国は漁夫の利を得る為にプロメリアを叩くかステフォン城を落とすかになります」

 「そんな都合良く行くのですかね?」

 「行かないでしょうね。ステフォン城は出来てから一度も落ちた事が無い難攻不落だそうですし、プロメリアとマクジュルを合わせた位のハリヌークの軍事力がプロメリア一国だけで何とかなるとは思えません」

 「ステフォン城の前でプロメリアとやり合うのは嫌だねぇ」

 「マクジュルが出遅れてるので着く前に勝負が決まっているか三つ巴で睨み合って長引くのがいいですね。何もしないでお金が入りますからね」

 「長引くのも嫌だねぇ」

 何もしないでお金が入るのだから、楽でいいと思うんですけどね。プリシラさんとしては戦いたいところか。

 「私も一戦交じりたいです~」

 「BC兵器は禁止ですよ」

 オリエッタが戦いたいとは珍しい。否、ヤバそうだ。屋敷での前科持ちは釘を刺しておかないと、味方も巻き込んで使いかねない。

 「大丈夫ですよ~。まだ完成してませんから~。作ったのは鎧です~」

 鎧と聞いても、いい予感がしないのはなぜだろう。不思議だ。人間不振になっているのかな。

 「それは味方を巻き込んだりしないものですよね?」

 「ただの鎧ですから~」

 今は信じる事にしよう。疑い始めたら切りがないし戦の準備をしなければならないから。

 「出発は明日になります。それまでに準備を整えて下さい」

 「チッ、今日は オリエッタの番か。つまんねぇ。クリスティン、飲みに行こうぜ」

 「……行きましょう」

 準備をするように言ったのに……。 クリスティンさんが一緒なら大丈夫かな。何か怒ってる様な気もするけど。ヌーユの途中の駐屯地まで行ってから合同で出陣になるから、早めに準備はしておいて欲しい。
 
 「アラナ、僕の買い出しに付き合って下さい」
 
 「ぼ、僕が行ってもいいッスか……」
 
 ソフィアさんのに確認するように振り返らなくても大丈夫だよ。ソフィアさんはそんな人じゃないから……  たぶん……    レーザー撃てるけど……
 
 「いってらっしゃいな、アラナ。私も用事があるから」
 
 黙って頷くだけのアラナ。ほら、大丈夫だろ。今日だってオリエッタの番なんだから、ダメだったら今頃は全員が真っ二つに焼き切られてるよ。
 
 買い出しの時のアラナはまるでデートを楽しむかの様だった。こっちの方では亜人は人間と同じ扱いを受けていたので、一緒に買い物をしている者や店を出してる者もいる。
 
 アラナが不意に止まりると、亜人と人間が仲良く腕を組んで歩いていた。二人は幸せそうに見つめ合って笑っていた。アラナはそんな二人を羨ましそうに見ていた。
 
 「アラナ、僕達も腕を組んで歩こうか」
 
 急に声を掛けられて驚いたのかトラウマを思い出したのかアラナは周りを見渡してから
 
 「ダメッスよ。不味いッスよ」
 
 恥ずかしながら、恐怖を押さえながら、囁く様に答えるだけだったが、僕が無理やり腕を組んでみると顔を少しだけ赤らめて嬉しそうに笑っていた。
 
 アラナのこういう所が好き。変な話に聞こえるかもしれないが今だに恥ずかしがる。裸も見てるんだけどね。乙女なアラナが大好きだ。
 
 買い出しの仕事から買い物デートに代わって、必要な物を揃えきれなかったけど、この時間は何物より変えがたい。こんなラブラブもいいよね。
 
 宿屋に着く遥か前にアラナは腕を振りほどいてしまったのが残念だったが、人気の少ない路地裏で軽いキスをすると恥ずかしがりながら
 
 「僕、頑張るッス……」
 
 と、消え入るような声で答えてくれた。やっぱりアラナは可愛い。
 
 宿屋に着くと飲んだくれ二人組とソフィアさんは帰って来ず、悪魔のコンビが密談しているのに気が滅入る。僕の記憶で遊ぶの禁止ですよ。
 
 開口一番
 
 「今日は私の番です~。明日から戦場に行くのでゆっくりしたいです~」
 
 おお!    オリエッタ、いい事を言う。さっきの悪魔の件は訂正しよう。明日の夜には駐屯地で夜営してその後は揃い次第ヌーユまでの行軍。三つ巴の戦いで忙しくなるのは必定。こんな時こそ英気を養って戦場で名を上げよう。
 
 「それはいいですね。ゆっくりするのも必要な事ですから」
 
 僕達はソフィアさんが揃ってから夕ご飯を食べ、終わったら各自の部屋に行き、僕は一人でお風呂に入って待つ事にした。明日からは、お風呂なんて贅沢になるし日本人なら暖かいお風呂が恋しくなるからね。
 
 こんな時にオリエッタが一緒に入ればと思うけど、一人でゆっくりもいい。こっちの世界の人は暖かいお風呂に入る事が少ないらしいから仕方がないしね。
 
 お風呂から出るとオリエッタはベッドで服を着たまま待っていた。この世界でも高価なシルクで作られ、フリルが「これでもか!」と満載でシースルーなオリエッタに似合ったネグリジェだった。
 
 「待ちくたびれてしまいます~。今日はゆっくりと休みます~」
 
 それはねぇだろうよ……    そこまで見せておいて、「ゆっくり休みます~」だと!    これって何もしないで寝ちゃうのかな?    その姿で縛るのはとかは遠慮したいが、普通にしたいよ、普通に。
 
 だが、これはこれで問題がある。オリエッタのネグリジェ姿は可愛い。これはネグリジェの魔力と言っても過言では無い。そして僕はその魔力に勝てない。
 
 勝てないなら無理に戦う必要は無い、負けたって良いじゃないか。そのネグリジェ姿のオリエッタが座っているベッドに僕は引き寄せられて行った。
 
 「ゆっくり眠るです~」
 
 寝ましょ、寝ましょ、キスをしてからね。僕はオリエッタの頬に手を当て、唇を寄せた。目を閉じ待っていてくれるオリエッタ。寝るって言ってたのに、いいのかな?
 
 「んちゅっ……    あむっんふ……」
 
 柔らかい唇から声が漏れる。このまま押し倒して、首筋も。けっして大きくは無いが形のいい胸をネグリジェの上から優しく触った。
 
 「あっあぁっ……    っんんっ! ぁあっあ……」
 
 寝るって言ってたのに、いいみたいだ。今日は手を縛ったりしない普通のエッチにしよう。でも今度は縛るのもいいかな。
 
 左手は胸に、右手はショーツの中に手を入れ、柔らかい蜜壷は硬い指を受け入れた。
 
 「ぁあっああっ……    ああっぁぁあっ……」
 
 オリエッタは身体を小刻みに振るわせ、悶えた。それに合わせて指で腟壁を刺激する。  

 「もお…おぅうダアァ……メェ…エェ……」
 
 オリエッタの準備は出来てる様だ。ペティナイフも鋼鉄化している。せっかくのネグリジェを脱がすのは勿体ない。着たまま、ショーツをずらして差し込んだ。
 
 「入…っっ…てえ……くぅるぅ……    あっ……あっあはっぁあっっんんっ!」
 
 オリエッタは身体を激しく痙攣させ、一瞬止まったかと思えば、息を切らせて崩れ落ちた。    ……え!?    何もしてないんですけど、入れただけなんですけど。
 
 「オ、オリエッタ、もう少しいいかな?    僕はまだなんだけど……」
 
 「もう、もう無理ですぅぅ~。それに時間も無いです~」
 
 オリエッタの素早い手刀が僕の首筋を襲って、僕はそのまま崩れた。もしかして、こんなプレーなのか!?    それは嫌だ、叩くのも叩かれるのも趣味じゃないんだ。
 
 
 僕はオリエッタの少ない胸の谷間に顔を埋めて眠った。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...