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第三十九話
しおりを挟む「決めておかないとダメだろ。今回はすぐにって、訳には行かないからな」
陣決めでも無く、戦術でも無く、最初に決めるのは戦時報酬。
はぁ!? お前は撤退中に僕を押し倒したろうが! ライカンスロープになって僕の◯◯◯に牙と爪を立てたのを忘れたのかよ! 僕もプリシラさんに突き立てた気持ち良さは、忘れてませんけどね。
戦時報酬も決めないといけないが、その前にクリーゼル男爵に話を通したり、仲間を募ったり、陣を構えたり、段取りを決めたりする事が多いでしょ。
「それは団長の仕事だ」
なんて、あっさりと丸投げ。なんて、楽しい職場環境。
「今回は全てが終わってから報酬を払うと言うことでいいんですよね。途中は無しで。敵が居なくても無しで」
「そうだな。今回は撤退が全て終わって、マクジュルに戻ってからにしようぜ」
普通だと思うけど久し振りに聞くまともな意見。なんて、素晴らしい部下達か。
「今、決めちゃうんですか」
「そうだ。戦時報酬を想って戦った方がやり甲斐があるだろう」
確かに。やる気になる想いがある方が生き残り易い。僕にも戦時報酬は適用されるのでしょうか。やる気になる想いが欲しい。
「まずは、あたいからだな。あたいは気の済むまでミカエルを抱かせてもらう。あのバスターソードは逸品だ。楽しませてもらうぜ」
あれですね。凝縮する僕のバスターソード。バスターソードとは良いネーミングだよね。僕のバスターソードが唸りをあげるぜ! ちょっとかっこいい。
「そんなに凄いんですか」
「あぁ、あれに比べたら普段はペティナイフでヤられてる様なもんだ」
ペティナイフ!? 自分で言うのは気にならないが、人に言われると凹む。僕のってペティナイフ扱いだったんですね。
せめてペティナイフがショートソードとかショートソードがバスターソードになったくらいにしてください。比喩のハードル上げすぎです。
「私もバスターソードが良いですね…… あ、もちろんペティナイフも好きですよ。良く切れますし扱いやすいですしね。ペティナイフだっていいんですよ」
ソフィアさん、ペティ、ペティと連呼しないで下さい。とても恥ずかしいです。
「それじゃあ、ソフィアもバスターソードと言う事で…… アラナは決まったか」
「……僕は、……僕は武器が欲しいッス」
偉い! 偉いよアラナは! 傭兵たるもの武器や防具に気を使うべきだ。僕も今回の戦いで武器や防具を壊しているから一緒に買いに行こう。僕が自腹で高いのを買ってあげるよ。
「……僕は、 ……僕はさすがにバスターソードで貫かれたら口まで出るんじゃないッスか。口でするのもいいッスけど、今度はお尻まで出るッス」
………それはない。それはないよ、アラナ。人間はそんな構造になってませんから。それに牙の生えたアラナの口に入れるのは、ちょっと……
「ハッハッハッ、違いねぇ。アラナの身長じゃ、まさに串刺しだな」
下品ですよ、とても。でも、串刺しか…… 興味が無い訳でもないが、本当に出来るのだろうか? 途中で折れたりしないだろうか。
「じゃあ、アラナは武器と串刺し刑な。ハッハッハッ」
僕のバスターソードは拷問器具ではありません。愛し合う道具の一つと考えて欲しい。
「クリスティンはどうだ」
お願い神様。どうか、まともなお願いでありますように。
「……私に付いて来ている人達の抹殺」
スゲーお願いを簡単に言いやがった!! あの人達はクリスティンを慕って着いて来てるのに、本人は抹殺希望なんて、もし聞かれたら…… 喜んで死ぬのかな。
「それはダメ。みんなクリスティンさんを女神の様に思っている人ばかりじゃないですか。みんな死ねと言えば死ぬくらいクリスティンさんの事を慕ってますよ」
「……じゃあ、死んで下さい」
人の話しはちゃんと聞きましょう。
「ダメです。理由は何ですか。あの人達に何か酷い事でもされたんですか」
それならオーケー。
「……ウザい。臭い。存在が許せない。団長以外の男はみんな死ねばいい。雄、そう雄。ゴブリンもオーガもトロールも団長以外の雄は全部死ねばいい」
真顔で言われると反対の意見が言いにくい。トロールに性別があるのかは知らないが、ここまで想いが強い人を説得する方法があれば誰か教えて欲しい。
「とにかくダメです。絶対にダメです。何がなんでもダメです。他の事にして下さい」
「………考えておきます」
説得する方法、力押し。クリスティンさんには、何か他の事を考えておかないと。二人で休暇をもらってバカンスにでも行きたいね。
そして後、二人もいるのか…… 悪魔のコンビが。
「ルフィナは何かあるか」
「我は団長の血が欲しいのである」
「我」、自分の事を「我」と呼ぶのか? キャラ変か? それにしても血が好きな娘だね。吸血鬼ですか。
「……少しならいいですよ」
「二リットル」
アホか! 死ぬわボケ!
「500」
「1.5」
「700」
「1.3」
「850」
「1.2」
「950」
「1」
僕達はガッチリと握手した。
「以外と、まとまったな。ルフィナは血を一リットルと串刺しの刑な」
だから僕のバスターは拷問器具ではありません。アラナならともかく、ルフィナに使う時には容赦はしないぜ! 日頃の行いの悪さを教育してやる。
「最後はオリエッタか。どうする?」
「オリちゃんは団長の記憶がいいです~」
思ってたより「まとも」だ。もう、まともなのか分からなくなってるけど。それに「オリちゃん」? オリエッタもキャラ変なのか。
「記憶が取れるのはルフィナだけですよね」
「オリちゃんの時にはルフィナちゃんが手伝ってくれれば大丈夫です~」
「異議あり! この二人が組むと最悪の結果をもたらします」
「却下するぜ。推論で物を言うんじゃねぇ」
プリシラめ、向こうの味方か。推論なんて難しい言葉を使うなんて。
「せめて第三者の同席を求めます。ルフィナはプライベートに踏み込み過ぎる傾向にあります」
「認める。でも誰が一緒にヤるんだ?」
ヤりませんよ。ルフィナが変な記憶を探らないか監視して欲しいだけです。
「私がヤってもいいですか」
だから、ヤりません…… ってソフィアさんか。ソフィアさんなら安心出来る。ルフィナやオリエッタを押さえる事が出来るし、何より公平だ。
「よし、決まりだ。オリエッタは団長の記憶と串刺し四だ」
何ですか、最後の四て言うのは。四人ではしませんよ。興味が無いと言えば嘘になるかもしれませんが、ヤりません。いや、でもちょっと……
「これで全員だな。なんだか楽しくなって来ないか」
「そうですね。早く終わらせて戦時報酬が欲しいです」
「気が早いである。先ずは皆殺しで楽しむのである」
「……雄は死ね」
「あの~、僕の戦時団則は……」
「早くクリーゼルの所に行って話をつけてこいよ」
泣くぞこのヤロー。誰か胸を貸してくれ。そこで泣く。
「行ってきます……」
「早く行ってこいバスター」
次、覚えてろよ。後で死ぬほど串刺しの刑を喰らわしてやる。僕の想いは白百合団を串刺しの刑に処す事か。普通でいいんだけどね。でも、期待には応えよう。
今回の戦時報酬は僕も絡めて良かった。知らない間に決まったり、いきなり襲われたりするよりずっといい。
それでは、ちょっと戦争してくるか。
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