異世界に来たって楽じゃない

コウ

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第六十四話

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 反撃のチャンスを待て!    チャンスはすぐに来る。
 
 
 痺れて動けない身体をいい事に、好き勝手にヤってくれるネクロマンサーと不死の女王。今に見てろよ、目にもの見せてやる。白百合団の団長は伊達じゃないんだ。
 
 「ロッサ、そろそろ良いである。その肉棒を自分のにあてがい、一気に入れるのである」
 
 一気はダメだろ。濡れてるのか?    ゆっくり入れた方がいいよ、初めてなんだからさ。    ……ちょ、ちょっと待て!    そこはお尻ではないですか!?    入れる場所が違ってるぞ。マジか!?    冗談か!?    新しい趣味か!?
 
 僕は神速の饒舌を最大まで上げ、ルフィナの腰を浮かして一呼吸入れた。あぁ、空気が美味しい……    なんて、言ってる場合じゃない!
 
 「ルフィナ!    ルフィナ!    ロッサを良く見ろ!    間違ってるぞ!」
 
 小さい頃、思った……    どこに入れるのだろうかと。大きくなって思った……    そんな趣味もあるのだと。    ……僕はノーマル、そんな経験しなくても充分なんだよ。
 
 「は、入らないっ…… 」
 
 入れて成るものかと肛門に力を入れれば、入る訳も無い僕のペティナイフ。ちょっと、ロッサさん。いくら初めてでも入れる所は分かるでしょ。もしかして趣味ですか?
 
 「ロッサ、大丈夫であるか?    今の団長レベルなら問題はないと思うのである。  どれ、押し込んでやるのである」
 
 このバカ……    このルフィナ・ラトランド準子爵様は後先どころか、状況も考えず上から体重を掛けて押し込みやがった。
 
 勿論、ペティナイフは根元から折れ、ロッサは上に乗るような形になったが、反対側に折れたらどうなるのだろうと、冷や汗が出た。
 
 「ルフィナ!    ロッサ!    良く見ろ!    間違ってる!」
 
 ロッサにお尻の趣味があれば間違ってはいないが、僕としては大いに間違ってる。僕は普通がいいんだよ。普通に愛し合いたい……
 
 「ロッサ……    どこに入れるのか分からない程の生娘だったとは……    ロードとして失格だったのである。これからはロードとして……」
 
 説明長いから省く!    僕の上で等々と説明すんなよ!    ロッサもなんで涙を流してるの?    今の説明で泣く所はどこにあった!? 
 
 「ありがとうございます、マイ・ロード。いつかの同一の為に……」
 
 「いつかの同一の為に……」
 
 盛り上がってる所、すみません。僕のペティナイフは盛り下がってしまったのですが、どうしたらいいですか?
 
 「どこまで愚弄するであるか!」
 
 スライム化したペティナイフを見て、何処から持ち出したか分からないナイフを僕の胸に突き刺し、ルフィナは僕を罵倒する。
 
 「貴様はロッサの為、勃たせれば良いのである!」
 
 百歩……    五百歩くらい譲ろう。その罵倒と胸に刺さったナイフの関係性を話せ!    刺す必要があったのか!?    無いよな!    刺すならロッサに肉棒だろ!
 
 「ル、ルフィナ……    こ、これは死ねる……」
 
 僕の胸に真っ直ぐ刺さったナイフは、綺麗に垂直に立っている。幸いな事に血は出てない。たぶん、抜いたら天井まで血の噴水が上がる気がするよ。
 
 「終わったら治すのである。ロッサ!    入れる場所はここである!」
 
 僕には見えない所で性教育をしてる二人に、僕は黙って胸に刺さったナイフを見ていた。これってソフィアさんクラスの魔法使いが必要なんじゃねえ?
 
 僕はされるがまま、肉棒を預けた。今さら何を言う?    罵詈雑言なんて届く二人じゃない。命乞いなんてしたら、ゾンビ街道まっしぐらだ。
 
 「そろそろ行くのである。覚悟はいいであるか!?」
 
 そんな大袈裟に言わなくてもいいんだよ。バンジージャンプじゃないんだから……    あまりにも時間を掛けて、それでも飛ばない芸能人を見ると時間の無駄を感じる。
 
 でも初めてのエッチなら覚悟も必要なんだろうね。ロッサは僕の肉棒を握り、自分の秘部にあてがうが、なかなか入れる勇気が湧かないようだ。
 
 「はうっ!」
 
 早く飛ばないジャンパーを押す役目のルフィナさん。あんた、鬼ですか!?    ロッサの背中に乗り、体重を掛けて押し込むなんて……    ロッサも主人を間違ったか。
 
 「これで入ったのである。後は上下に動き団長を気持ち良くさせたら射精するのである」
 
 単純に言うとその通りなんだけど、機械じゃないんだから、もう少し愛を感じる言い方をお願いしたいよ。だが、入った。とても狭くて肉圧が凄い。不死の女王の初めてのエッチ。    ……血は出るのかな。
 
 「い、痛いぃ。初めては痛いと聞いてましたが……    ほ、本当に……」
 
 ロッサの身体が震えているのは、感激の為か。それともルフィナを背負い、これ以上は肉棒を押し込まれまいと、力を入れている為か。
 
 やっと巡ってきた反撃のチャンス。身体を痺れさせ、ナイフで胸を刺されても待っていたチャンスを活かさないでどうする!?
 
 が、正直なところ、どこまで出来るか分からない。悪魔の血の力……    凝縮でロッサの中を貫いてやる!    のは、流石に可哀想だ。
 
 魔力の流れを意識して集中する。大きさはショートソードより小さくてもいい。大きさよりロッサの中で長さや太さを変える凝縮。
 
 ■■■■、凝縮。心の中で唱え、意識を集中して魔力の流れを制御する。突き刺さった根元を大きく膨らませ、その状態の膨らみを先の方まで行かせたら融解。それを何度も繰り返す。
 
 「マ、マイ・ロード。な、中でミカエル様の物がうごめいております」
 
 「何を言うのである。団長は痺れて動けないのである」
 
 ルフィナは僕と目を合わせるが、知らんぷりして、凝縮と融解を繰り返した。これは外からでは、分かるまい。中でうごめくなんて初めての経験だろう。そう言えば、エッチ自体も初めてだったね。
 
 「あ、あぁ……     これが、これが……    ううぅぁあっ、はうぅぅ…ふわっううぅ」
 
 初めてなのにヤり過ぎたかな。僕もこんなに上手く行くとは思わなかったよ。根元から先へ、先から根元へうごめく肉棒はロッサが動かなくても膣壁を刺激する。
 
 「ああぁぁ!あぁは…ぁっあぁん…    中で、中で動くぅぅ!」
 
 処女の痛みは快楽に代わってロッサを包み込む。溢れ出す愛液に赤い物も混ざっていたが、今のロッサには関係ないようだ。
 
 「イグゥぅ、いくゥ…    も、もう……」
 
 そこまで言って、ロッサは消えてしまった。    ……えっ!?    殺してないよね?    何で消えた!?    僕のやり場の無い下半身はどうすればいい!
 
 「ロッサも満足したようである。団長には感謝するのである」
 
 僕の満足はどうなるのでしょうか?    感謝の気持ちは大切だけど、最後まで責任を取ってから消えて欲しいよ。
 
 「ルフィナさん、この後は……」
 
 「ふむ、後はゆっくり休むと良いのである」
 
 アホか、てめぇは!?    下半身も大切だけど、胸に刺さったナイフはどうする気だ!    寝返りをうったらどうするんだ!?
 
 「冗談である。後は我がもらおう」
 
 ロッサの代わりに僕の上に乗ったルフィナは、凝縮の魔法を使う余裕が無いほど激しく腰を振った。
 
 
 
 「てめぇ、なに輪番無視してんだよ!」
 
 僕ではなくルフィナに言って下さい。それと踵落としも止めて下さい。鳩尾に入ると息が出来ません。
 
 朝から派手に起こされ容赦なく蹴られ二度寝するより、失神するくらいの踵落としでハッキリと起こされた。二つ付け加えると輪番を無視したのは僕では無いし、怪我人は輪番免除の項目が団則にあります。
 
 「おはようございます、プシリラさん。体が痺れて頭しか動かないので何とかなりませんか?」
 
 朝になって動くのは首から上だけ。僕は今日、皇帝陛下に会う予定です。
 
 「おはよう、プシリラ。朝から騒がしいである。団長も、おはようである。昨日は何時に無く激しかったである」
 
 そう言うと裸のルフィナは僕の胸にもたれ掛かった。火に油を注ぐから二発目の踵落としが僕の下腹部に突き刺さる。もしバスターソードになってたら間違いなく千切れたね。
 
 「激しかったのはルフィナだろ。僕なんて痺れて動けなかったのに」
 
 これを、いちゃラブと見たのか三発目の踵落としが顔面にヒットした。僕はこれから皇帝陛下に会いに行きます。
 
 騒ぎを聞きつけ皆がやって来た。特にソフィアさんが女神に見える。
 
 「ソフィアさん。体が痺れて動かないんです。このナイフも危ない所まで刺さっているし、助けて下さい」
 
 ソフィアさんが小走りで駆け寄ると小さな声で詠唱し始め、ナイフの傷も体の痺れも引いていった。ルフィナは舌打ちしながら着替えているけど、ロッサは何処に行った?   無事に帰れたのだろうか。何処にと言われても困るが。
 
 案の定、起き上がる前にソフィアさんからのボディブローを喰らい、拳が身体にメリ込む感覚。慣れっこだよ、避けられないけど。
 
 全員に輪番の事を責められ怪我人の団則は忘れ去られルフィナも「準備がある」と部屋を去って行った。五人の集中砲火で精神的にズタボロになった所でラトランド侯爵が入って来た。
 
 「朝から騒がしいお嬢さん方々だね。いつも静かな屋敷に活気が溢れるようだよ」
 
 活気はあればいいってもんじゃねぇんだよ!   と、侯爵様に口が割けても言えません。    ……昨日の夜は娘さんとエッチな事をしていた、なんて言えません。自分、小心者なので。
 
 ラトランド侯爵はわざわざ起こしに来てくれたらしい。逃げられたら困るのもあるんだろうね。逃げれる状態でも無かった。
 
 「シン殿、左手はどうするかね?   皇帝陛下に会うのだ。義手を付けた方が良いと思うがね」
 
 オリエッタに頼んだ義手はまだ完成もしていない。完成しても使いこなすには、少し時間が掛かると言われている。ラトランド侯爵は屋敷にある義手を貸してくれると言うので、有り難く借りる事にしよう。
 
 「シン殿は魔力が有る様だが義手には魔力を通さぬよう。慣れずに通すと暴走するぞ」
 
 大丈夫です。僕の多くない魔力は昨日のルフィナとロッサの「凝縮」と「融解」で殆どありませんから。
 
 
 義手と服を借りてラトランド侯爵が手配した馬車に乗って僕達は帝都の城、ハリルトン城に向かった。僕達は……
 
 「なんでルフィナが一緒なの?   呼ばれたのは僕でしょ」
 
 「我は爵位受領の為である。不死の女王を従属化させた事で準子爵から子爵になるのである」
 
 忘れてた小悪魔じゃなくて貴族だったね。もしかして僕も貴族になれるんじゃないか!?    ルフィナを手伝ったのは僕だし不死の女王を倒したのは僕だ。
 
 二度目の不死の女王を従属化させる戦力を壊滅させ、侯爵の首を何回か切り落とし、そんな事を皇帝陛下の足元でやってしまってるのも僕達だ。
 
 死刑か貴族か帝都の壊滅か。行く前にプシリラさんが言ってたっけ。
 
 「今夜の十二時までに帰って来なかったらハリルトン城を攻めるぜ」
 
 きっと僕を安心させる為に言ってくれたのだろうけど、最初に聞いたときは開いた口が塞がらなかった。門の前で待っていると言ったが、ハリルトン城は東京ドーム何個分とか……    東京ドームは知らないけど、とにかく大きい。この世界で見た建造物では比較にならない程の大きさ。
 
 とても白百合団で何とかなる物じゃ無いのに僕を思って言ってくれてる。死刑にはならないだろう、たぶん。投獄はあるかもしれない、たぶん。貴族になれるかもしれない、たぶん。貴族の首輪を付けられたらプシリラさんは喜ぶだろうか。
 
 
 色々と頭を悩ませている横でルフィナは寝息をたてていた。ムカついたのでキスしてやった。
 
 
 
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