異世界に来たって楽じゃない

コウ

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第七十五話

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 ダークエルフの襲撃。ダークエルフを敵に回す記憶は無いけれど、傭兵家業、どこで恨みを買ったのだか……
 
 
 襲撃者を撃退し、クリスティンさんには野営地にルフィナとオリエッタを向かいに行かせ、一人ぼっちになってしまって寂しい。
 
 どうしようか?    ダークエルフの死体。片付けないと、人道的に。こんな場合は穴を掘って埋めるのだろうか、それともエルフ式な埋葬方法があるのだろうか。
 
 死体の数は二十を越えているし一人で掘るのは嫌だ、疲れるから。オリエッタを待とう。装甲服で掘ればすぐだろうからね。
 
 生き残った女ダークエルフの六人のうち四人はまだ寝ている。一人は漏らしてしまい、一人は震えているのが分かる。とても話が出来る状態じゃないだろうからルフィナの記憶の掘り起こしに期待しよう。
 
 でもダークエルフっているんだね。マノンさんのエルフと一緒で肌の色が褐色で銀髪なくらい。耳は尖っていてどのエルフも綺麗だ。しかし……   よく見ると……   この六人ってみんな同じ顔してるよ。六つ子か!?   お父さん、頑張ったね。お母さんは出産が大変だったろうに。
 
 「こんにちは。ダークエルフの皆さん。白百合団、団長のミカエル・シン男爵です」
 
 皆さんと言っても歯をガタガタ震わせている人とビビッて漏らした人の二人しかいないけど……   後の四人はまだ寝てる。
 
 「その手足の縛っている紐は取れないと思いますので、無駄な抵抗は無しでお願いしますね。殺す気は無いですから」
 
 これで少しは安心してくれるかな。スパイと言うか密偵になって欲しいし。奴隷の契約がどう言うのか知らないけど、出来れば合意の元になってくれたらと、印象は良くしておきたい。第一印象は殺し合いだったけど。
 
 「貴女は後で川か何処かで洗いましょうね。そっちの貴女は歯を鳴らすほど震えるなくても大丈夫ですよ」
 
 満面の笑みを浮かべて語り掛けても返事がない。コミュニケーションは大切だと思います。しかし困った。残りの四人が目を覚ましても似たような感じだろうし、記憶を探るのはルフィナに何とかしてもらうとして、合意の元に奴隷密偵は厳しいかもしれない。
 
 少しくらいなら強制的もやむ終えない。でも絶対服従ってのはいいね。まずプリシラさんを服従させて……
 
 「皆さんは姉妹ですか?   僕にはみんな同じ顔に見えるのですが……」
 
 「今日はいい天気でしたね。僕は晴れ男なんですよ」
 
 「ダークエルフの皆さんはエールとか飲まれますか?   僕はお酒が大好きです」
 
 こんな会話だからか反応が少ない。無視をされてる様で、やる気が無くなるよ。二人ほど起き出して四人を前にしてコミュニケーションを取っても震えているだけだなんて。
 
 こんな時間がダラダラと流れ一方的な会話に飽きて来て、怪我の具合でも調べ様としたところ、遠くの方から単騎やって来るのが見えた。クリスティンさんにはルフィナとオリエッタは一人づつ馬に乗って来るように言ってあるから違う人かな。
 
 遠くて良く見えないけど、もしかしてイザベル嬢が心配して来てくれたとか。それなら嬉しいな。やっぱりモテる男は違うね、とか思っていられたのは騎上の人が見えるまでの短い時間でした。
 
 「プリシラさんお早いお着きで」
 
 馬の手綱を引かずに飛び降りて来たプリシラさんは無言のまま僕の横を通りすぎて行った。このパターンは分かる、手足を縛られ無抵抗で恐怖で震え上がっているダークエルフを蹴り上げた。人って飛ぶものなんですね、五メートルくらい。
 
 「プリシラさん、止めてください!   相手は無抵抗ですよ」
 
 漏らし飛ばされた娘、変な音もしたし、あばら骨が折れたかな。もっと早く止めれば良かったのだろうけど、あの蹴りがあそこに当たったら二つとも破裂する。
 
 「生きてんのは、これだけか」
 
 愛刀のバスターソードを引き抜きながら言った。プリシラさんは本当に容赦が無い時があるので怖いわー。ルフィナとオリエッタを呼んだのに何故に好戦的な貴女が先に来るのか。
 
 「ちょっと待ってクリスティンさんから彼女達の扱いを聞いてませんか。生かしておきたいんです」
 
 「そんなもんは知らねぇ。やつらは真っ二つか八つ裂きかしかねぇ」
 
 その二択の行き着く先は同じだよ。他の選択肢は何処にいった?    一人で来たところから話を全部、聞かないで来たな。心配して来てくれたんだろうけど考えがあるのだよ。
 
 僕はプリシラさんとダークエルフの間に立って、これまでの経緯とこれからの事を話した。少しずつダークエルフから離しながら。    ……結果。
 
 「ダメだな。こいつらはミカエルを狙った以上、死ぬか惨たらしく死ぬか、ぐちゃぐちゃになって死ぬしかねぇな。どけっ!」
 
 おっと、三択になった。こいつを説得する材料が欲しい。僕の肩をグイっと押し退けて進むプリシラさんを僕は後ろから抱き締めるように止めた。
 
 「待って。せめてルフィナを待ってからでも。何でダークエルフに狙われたのか知りたいんです。もう少しで来ますから」
 
 僕の説得を受け入れたのかプリシラさんは立ち止まってくれた。力任せならプリシラさんの方が上なのに。やっぱり愛の力は偉大だ。
 
 「てめぇは何やってんだ」
 
 狂暴な貴女の説得に決まってるでしょ。まずダークエルフに狙われるいわれはない。次に密偵として雇えないかの二つですが、どうせ最後まで聞かないで来たんだろ。
 
 「てめぇは何やってんだ」
 
 大事な事だから二回、言ったのかな?   彼女達を殺すにしても、もう少し生かしておいた方が色々と役に立つんですよ。
 
 見ればダークエルフの皆さんは同じ顔だけど美形揃いだ。娼館に売るのも有りだけど、出来る事ならその前に……
 
 「てめぇは何やってんだ」
 
 大事な事だから三回?    確かに大事にしないといけませんね、プリシラさんの巨乳は。僕は後ろから抱き締める時に服と鎧の間に手を入れてしまいプリシラさんの手に収まりきれない胸をモミモミしていた。
 
 「プ、プリシラさん。これは誤解です。偶然の事故です。だってこんな隙間が有るなんて知らなかった」
 
 普通ならこんな隙間は無い。鎧をしっかりと身に着けないと要らない衝撃が加わる。モミモミ。
 
 「おめぇは、やっぱり腐れ団長だな。こいつら殺す前にお前が死ね!」
 
 身体をひねって振り落とそうとするプリシラさん。振り落とされたら死ぬ!   僕は必死になってしがみついた。モミモミ。
 
 プリシラさんはもがきながら振り落とそうとしたが僕のモミモミ作戦が項をそうしたのか力が余り入って無いようだ。
 
 しかし百戦錬磨のプリシラさん。背中にいる僕を潰そうと後ろに飛んだ。先に地面に当たるのは僕だ。プリシラさんの跳躍と体重?キロを僕は抱き止める様に潰された。
 
 「ぐへっ!」
 
 手を離して神速を使えば逃げれるのに、何故か僕の手は離れなかった。重い衝撃が全身を駆け巡る。目眩を起こしそうになるのを振り絞って、離しちゃダメだ。離しちゃダメだ、この巨乳を。僕は足を絡ませて立てないようにし攻撃を加える。モミモミ。
 
 「ふざけるなぁ!」
 
 こっちは命懸けの超真面目だ。真剣にプリシラしんを離さない様にモミモミしてるんだ。離れたら殺される。斬り合ったばかりで、もう斬り合いなんていやだ。モミモミ。
 
 「分かった、分かったから離せ」
 
 嫌だ!    信じないぞ!    手を離した隙にバスターソードで斬り掛かってくるんだろ。その手には乗らないぞ。    ……あっ、乳首が立って来てる。モミモミ。
 
 「て、てめぇ…    あっ、くっ…    はぁあ……」
 
 
 プリシラさんの甘い吐息の中での降伏宣言。勝った!   僕は完全勝利を確信し皆が来るまでモミモミを続けた。モミモミ。

 
 
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